高山氏は粛清と並行して出身母体である弘道会の人事を刷新、
自らの組織作りの方向性を示してもいる。
「注目は若頭の交代です。
実は高山氏の放免祝いは弘道会の前若頭、中野寿城組長の事務所で行なわれる予定で準備を進めていたのですが、
直前に中野氏が岐阜刑務所で山健組の中田氏と兄弟分になっていたことが問題視され、
急遽別の場所に変更になった経緯があります。
新たに若頭に就いた『野内組』の野内正博組長は資金力が豊富で、
弘道会の切り込み隊長として名前が轟いている存在。
岐阜を拠点にしていますが、
今では古川氏亡き後の尼崎を席巻しているとも言われます。
この人事をみる限り、時計の針が、高山氏が恐怖政治を敷いていた5年前に戻ったと感じざるを得ない」(前出・警察関係者
戦闘モードにギアを入れる一方、高山氏は11月中旬に東京を訪れ、
住吉会など他団体との友好関係を積極的に深めてもいる。
「高山氏は獄中で出所後の“青写真”をノート数十冊に書き留めていたそうですが、
その骨格になっているのは組織犯罪処罰法の適用から逃れ、
民事の使用者責任もかわす新たな組織像。山口組にホールディングス制を取り入れて名古屋山口組、畿内山口組などとし、
朝廷の官名をまねた“東百官”に倣って官位を授ける“高山王朝”とでもいうべき構想もその一つです。
最近は極道社会を描いたVシネマ『日本統一』シリーズを好み、天下取りの策を巡らせているようだ」(同前)
目下、山口組統一の鍵を握るとみられるのが、
冒頭の山健組、中田氏の動きだ。
「今年8月に弘道会系組員が銃撃された事件後、
井上氏と中田氏の関係は修復不能なレベルまで悪化したとされています。
報復を巡る見解の相違が根底にあるとみられますが、
12月13日のヤクザ社会の新年行事にあたる“事始め”までに中田氏が組織を割って出る観測すら出ています。
高山氏がこの造反の動きをどう捉えているかが、
一つの試金石になるとみられています」(前出・山口組関係者)
抗争か和戦か。
運命の期限は刻々と近付いて