ヤフーレビューに投稿しようと思ったけど、クソ長文になったし映画外の監督の発言を含めるのもどうかと思ったからここにレビュー書くわ

 内容に関しては割とハードなSFで、矛盾もなく設定も良く練られている。
 …と思っていました。監督の解釈を聞くまでは。

以下、ネタバレです。

 基本設定と、大人直美視点での物語の流れをおさらいすると

 この作品は、以下の3つの世界を舞台に展開されます。
・世界A(大人直美の世界)
・仮想世界B(高校生直美の世界、仮想世界Aのアルタラ内にある仮想世界)
・現実世界(月世界、最後に直美が目覚めた世界)

 作中のほとんどは世界A・Bで、現実世界は最後にチラッと出るだけですね。


 世界Aにおいて、ヒロインのルリちゃんは落雷事故で脳死状態になっています。
 ルリちゃんが大好きな大人直美は、「脳死した身体に事故当時のルリの精神データをインプットする」という方法で、ルリを目覚めさせようとします。
 その時に利用されたのが、記録を元に過去世界を再現している、仮想世界シミュレーター「アルタラ」です。
 大人直美はアルタラ内に作られた世界Bに干渉し高校生直美を操り、事故当時のルリの精神データをゲット。
 精神データを脳死したルリの脳にインプットした結果、ルリちゃんは無事目を覚ましました。めでたしめでたし。のはずが…

(これが中盤までの、大人直美視点での物語です。
 ここで、考察する上で核となってくる設定を2つ取り上げると
・アルタラ世界は過去を再現したシミュレーション世界
・事故当時の精神を仮想世界から引っ張ってくることで、脳死者の蘇生が可能)

 ルリを無事蘇生した大人直美ですが、ここで世界Aも仮想世界であることが判明します。

 世界Bから持ってきたルリの精神は、世界Aの肉体と厳密には通し番号が違うため「違うルリが二人いる」状態に。
 結果ルリは「不正データ」扱いされてしまい、世界Aのシステムセキュリティの排除対象になり攻撃されてしまいます。
 世界Aでルリと一緒に暮らしていくことは不可能だと悟った大人直美は(なんやかんやあって世界Aにやってきた高校生直美と協力して)ルリの精神を世界Bに戻そうとがんばります。
 なんやかんやあって最終的に、大人直美は自分の命と引き換えにルリ(と高校生直美)を世界Bに送り返すことに成功します。

 大人直美は犠牲になったのだ…、と思ったところで、広告でも謳われていたラスト1分のどんでん返し。
 大人直美が死ぬ直前、彼の精神データは「現実世界」に取り込まれていました。
 実は、現実世界の直美はなんらかの原因で脳死状態にありました。現実世界ではルリが、直美を目覚めさせるためにアルタラを使用し、仮想世界に介入していたのです。
 かくして現実世界で目覚めた直美は、末長くルリと幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし…
って感じですね。

 当時ネットでは、この作品の考察がそこそこ盛り上がりました。
 一番話題に上がったのはやはり「現実世界ではいったいどんなことが起こってたのか?」でした。
 限られた劇中描写の中で、設定と矛盾しないように考察していたのですが…