――安藤さんは「オープニングは特殊なものだから、本編と同じである必要はない」とずっと語っていらっしゃいますが、それは
どういう根拠があるのでしょうか。

安藤 日本のテレビシリーズでやっているような形のオープニングには特殊な才能がいるんです。音楽との同期、カットの刻み方、
テンポ、瞬時に印象付けられるキャラクターの見せ方など、センスやスキルが必要なんです。自分にはそういう志向がないんです。
だから、自分がやってもうまくいかないと思いました。昔「オープニングアニメーションに興味はないか」と誘われたこともあり
ますが、「全くないです」と断りました(笑)

自分は「映画の中の連続する時間軸で芝居を描く」ということに一番興味があるんです。だからイラストやポスターのようなカッコ
良さを求められる画には気持ちが入らないんです。稲村さんもそうじゃないかと思っているんですが……。

稲村 ええ、そこのところはよく分かります。芝居を描くという意識とは全く別のところで臨む必要がありますからね。若い人たち
はオープニングに思い入れがある人も多くて、ミュージッククリップのような短編を作るのは本当に上手ですよね。僕はとてもかない
ません。僕が一番印象的だったオープニングは小学生の時に観た『未来少年コナン』(1978年、宮崎駿演出)の波のカットでした。
「これは本物だ」と(笑)