――ここまで影響力があると「インフルエンサー」的な立ち位置になってもおかしくないと思うのですが、
ご自身の核にあるのは「アナウンサー」なんでしょうか。

 肩書きへのこだわりはありませんが、「インフルエンサー」になることはないでしょうね。お渡し会でも
「アナウンサーだった頃から好きでした」「今もアナウンサーだよー!」っていうやりとりを何度かしました(笑)。

この写真集もそうですが、アナウンサー“だから”これはしない、やらない、という固定観念は、これでもだいぶ
薄れてきました。

忘れてはならないのは、今の私があるのはTBSのおかげだということ。女子大生気分で入社したずぶの素人
を、“アナウンサー”にしてくれた。その技術は生涯失いたくない……と思いつつ、日々みるみる衰えていくのを
感じています。

アナウンサーは、れっきとした技術職なんです。その技術さえあれば、食いっぱぐれない。TBSで培ったその
技術が、完全に衰えてしまう前に少しでも取り戻さなければ!

――「アナウンサーは技術職」という捉え方も冷静ですね。

TBSを辞める時、研修の講師でもあった大先輩に「局をやめたら、厳密には“アナウンサー”は名乗れないんだよ。
だから、“フリーアナウンサー”って本当は存在しない。あなたは、肩書なんて不要になるくらい、“田中みな実”で
勝負できるようになりなさいね」と、考えさせられるお言葉をいただきました。今も先輩の言葉を度々思い出します。

いつの日か、肩書きが要らなくほどに、「田中みな実」として胸を張って、お仕事ができたらいいな……って。今は
まだ“フリーアナウンサー”という肩書きに甘えているから。

――わかってはいましたが……田中さん、ものすごく真面目な方なんですね……!

あはははは。恐れ入ります!