美術とは、平和の象徴である。

情報や物質に押し流されそうだ。
太古から人間の体をつつんでいたものが、希薄になる。
あたりまえだったものが、軌道から離れていく。
その不安から逃れるように、
人々はなにかを求め、
それが求めているものかわからないうちに、
与えられたものをむさぼるように、手に入れようとする。
美術と人とのかかわりは数万年前にさかのぼる。
3万年前、だれかが顔料をつけた手を、洞窟の壁に伸ばすその動きと、
たったいま、地球上のどこかでひとりのアーティストが絵筆をキャンバスに伸ばすその動きが、
おそらくまったく同じであることを、私たちは知っている。
私たちの心が生きつづけていくために、
本当に必要なものは、
地球上のアーティストの手で、
少しづつ私たちのもとへ、送り出されている。
フランス東南部アルデシュ渓谷の洞窟で発見された約3万年前の壁画を見ながら。

公式ホームページ
http://u5.masuki.top