リン酸鉄リチウムより安価なナトリウムイオン電池ってどんな?
2023年5月9日 [最新情報] https://kunisawa.net/?p=62050

上海ショーでBYDはシーガルという小型電気自動車のスタンダード仕様(航続距離305km)
にナトリウムイオン電池を搭載すると発表した。
ナトリウム電池ってなにか? 簡単に言えばリチウムの代わりにナトリウムを使った電池。
高価で稀少なリチウムや、ましてやさらに高価で稀少なニッケル・マンガン・コバルトも
使わない。原料としては最も安価で豊富。
https://i.imgur.com/YGuJgzf.png

特徴も熱に強いため急速充電性能が優れており、リン酸鉄リチウムと同じく発火の
危険性ほぼ無い。また低温に弱いリン酸鉄リチウムと違いマイナス20度でも普通に使えます。
課題はエネルギー密度。今まで100Wh/kg程度とされており、これだと電気自動車用
としては使いづらい。三元系リチウム電池が300km走れるだけの電池重量だと100km
しか走れないワケ。

そんなことから日本の電池メーカーはリン酸鉄リチウムイオン電池と並び
「使いモノにならない」と手がけなかった。関係者に聞いてみたら「やってみよう!」という
気持ちが無かったそうな。そうそうに見切ったワケです。されど中国は諦めなかった。
日本勢が全て見切ったリン酸鉄リチウム電池は今や世界の電気自動車のニュースタンダード
になりつつある。

ナトリウム電池も同じ。昨年時点でCATLは160Wh/kg程度のエネルギー密度を持つタイプを
発表していた。今回BYDがシーガルに採用したナトリウム電池は200Wh/kg程度の
エネルギー密度を持つらしい。加えて熱に弱い三元系リチウム電池より密集した
バッテリーパックになるため、容積あたりのエネルギー密度だと20%程度しか負けていないという。

だからこそシーガルのようなコンパクトサイズの電気自動車なのに305kmという航続距離を
持たせている。BYDが発表したデータによれば電池容量30.5kWhという。そして安価な
電池価格をキチンと車両価格に反映し、144万円というエンジン車と同等レベルの価格を
付けてきた。エンジン車と同じ価格でエネルギーコスト安く、寿命は90万km以上。
スマートグリッドにも使える。

ナトリウム電池が実用化されたら電気自動車の課題とされてきたリチウムや
ニッケル・マンガン・コバルトといった材料の問題は無し! 
走らせるための電力は土漠地域に再生可能エネルギーで作る。
電気自動車大嫌いだ君達が否定材料として使ってきた「ダメな理由」はドンドン減って行く。
悲しいかなナトリウム電池も日本の電池メーカーは全て乗り遅れた。