第41回 2020 - 2021 日本カー・オブ・ザ・イヤー
http://www.jcoty.org/result/

岡崎 五朗
【トヨタ/ヤリス/ヤリスクロス/GRヤリス】
環境性能への社会的要求がますます高まっている中、ヤリスハイブリッドの36km/Lという驚異的な燃費は大きな意味を持つ。
今、多くの自動車メーカーは欧州の「95g/km」というCO2排出量規制の罰金を回避すべく利益度外視でEVやPHEVをマーケットに大量に押し込んでいる。
しかしヤリスハイブリッドのCO2排出量はわずか64g/kmと、2030年の60g/kmすら射程距離に収めている。
つまりヤリスハイブリッドは、規制クリアが目的なら当面EVやPHEVは必ずしも必須ではないという、一部の政府を含めたEV信奉者たちにとってきわめて「不都合な真実」を示しているのだ。
走行性能も、基本である直進安定性が甘かった先代ヴィッツとはうって変わってしっかりしたものに進化。
さらにGRヤリスの走りと生産革命、タイムリーな商品であるヤリスクロスの商品力が加われば最高点を与えないわけにはいかない。
なお、現状のルールに合致してはいるが、複数台まとめてのエントリーについては今後議論が必要だと思う。


藤島 知子
【スバル/レヴォーグ】
スバルグローバルプラットフォームとフルインナーフレーム構造の採用で実現した強固な骨格構造。そこに操縦性と快適性を高次元で両立させた走りは、
国産車もついにここまで来たかと思えるほどの動的質感を手にしてきた。
中でも、STI Sport仕様に設定された走行モードは、WRX STIに匹敵する運動性能とゆったり安心して走れる快適性を1台のクルマで見事なまでに「キャラ変」して見せるあたりに驚かされた。
走りにこだわる層にはクルマとの一体感をもって走る喜びを与え、運転に不慣れなドライバーには安心感を与える。高度運転支援技術のアイサイトXもさることながら、スバルが長年、
人の感覚を中心に据えて磨き上げた技術が花開いた1台だと感じた。