独ダイムラーは21日、9月に開かれるフランクフルト国際自動車ショーで、
外部から充電できるプラグイン燃料電池車(FCV)を世界初公開すると発表した。
同社は電気自動車(EV)と並ぶ次世代エコカーとしてFCVも位置づけてきた。
水素だけで走るFCVの発売ではトヨタ自動車やホンダが先行したが、
ダイムラーは水素ステーションの整備が遅れている現状をふまえプラグイン型で市場を開拓する。

 ダイムラーは高級乗用車ブランド「メルセデス・ベンツ」の主力多目的スポーツ車(SUV)「GLC」に
自社の燃料電池システムを搭載する。昨年立ち上げた電動車のサブブランド「EQ」のシリーズと位置づけ、
「GLC Fセル EQパワー」と名付けた。水素をフルに充填した状態で約500キロメートル走行できるという。

 価格は未公表。2016年6月時点ではプラグインFCVを17年に発売する計画を明らかにしており、9月のショーで発表される可能性がある。

 ダイムラーは長く自前でFCVの研究開発を続け、「メルセデス・ベンツBクラス」をベースにした車両200台を
公道で実証走行した実績もある。技術部門の幹部の中にはFCVの優位性を巡りトヨタをライバル視する声もあった。

 FCVの一般販売では日本勢に先を越されたが、水素ステーションの拠点が極めて限られる弱点を補うプラグイン型で市場の反応を確かめ、
将来のフルFCV投入の時期や事業性を判断する効果も見込める。

 ダイムラーはFCV量産化に向け、日産自動車、米フォード・モーターとも提携している。
ただ、今回のプラグインFCVはダイムラー独自の動きになる見通しだ。

 ダイムラーは昨秋のパリ国際自動車ショーでEVシフトを打ち出し、25年には新車販売の最大25%をEVなど電動車にする計画だ。
EVは車載電池の価格低下や性能向上が見込め重点投資するが、プラグインハイブリッド車(PHV)やFCVの投資も続けるとしてきた。

配信2017/8/22 12:07
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ22H8A_S7A820C1000000/