克駿 はい。2020年の競馬が終わったときに、ノースヒルズの前田幸治会長から「2021年はもっと頑張らなアカン。(福永)祐一に言っといたから」と言われたんです。

佑介 会長が祐一さんに「克駿にいろいろ教えてあげろ」と。

克駿 そうなんです。もともと祐一さんとは、所属厩舎(師の定年により、今年解散した浅見秀一厩舎)の関係もあって、デビュー当時から一緒に乗る機会が多かったんです。

 1年目から、パトロール映像とレース映像を焼いたDVDを毎週四位さんと祐一さんに見てもらったりもしていました。当時からそうやっていろいろ教えていただいていたんですけど、前田会長のおかげで、2021年の年始からはスタートのコツだったり、木馬を使った実践的なことだったり、さらに祐一さんから教えていただくようになって。

 そのすぐあとに小倉開催が始まったんですけど、祐一さんの教えをしっかり頭に入れて臨んだら、その開催の成績がすごくよかったんですよね。そこで流れに乗っていけるきっかけを作れたような気がしています。

克駿 いや、やっぱり実践に移すのは難しかったです。小倉で乗っているあいだも週の半ばには栗東に帰ってくるので、そのときにまた祐一さんにレース映像を見てもらって、いろいろ確認しながら過ごしていました。

 で、週末はまた小倉でレースに乗って、栗東に戻ったらまたレース映像を見ながら祐一さんと確認作業をする。その繰り返しでしたね。

佑介 それは文字通りの“きっかけ”やな。

克駿 今日も祐一さんとお会いして少し話をしたんですけど、「2020年が37勝で、去年が69勝で…」とか、僕の数字をしっかり把握してくださっていて。なんかうれしかったです。

克駿 祐一さん、スタートがめちゃめちゃ上手いじゃないですか。その秘訣を教えていただいたことで、スタートは前より出るようになったと思います。

佑介 レッスン料、払わな(笑)。だって、祐一さんのスタート論なんて誰も知らないことだよ。「教えてください!」ってお願いしたところで、絶対に教えてくれない。

──確かに以前、「スタートに関しては、確立した理論と手法がある。でも、現役のあいだは誰にも教えない」とおっしゃっていたような…。