高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けている。
2030年度には今の1・5倍の215兆円に達し、家計金融資産全体の1割を突破しそうだ。
認知症になると資産活用の意思表示が難しくなり、お金が社会に回りにくくなる。
国内総生産(GDP)の4割に相当するマネーが凍結状態になれば、日本経済の重荷になりかねない。
 「やはり引き出しは難しいですか」。80代の父親は認知症と診断され、老人ホームに入居している。
男性は父の入院治療費を支払うため、父名義の口座から約60万円を引き出そうと相談に訪れていた。
 「ご本人の意思確認ができない状況では支払いに応じられません」。
信金の担当者はこう伝えた。
家族による横領を防ぐための当然の対応だが、本人のためでもお金が使えず、預金が凍結状態になるケースが目立ってきている。