「ブラック企業」という言葉の意味を説明する。
ただ、ある企業のことを「ブラック企業」と名指ししただけでは「名誉毀損」にあたらない可能性が大きいという。
なぜなら、「ブラック企業」と言っただけでは、「具体的な法令違反や違法行為があったことを、直接的に示しているわけではない」からだ。
「『名誉毀損』とは、『公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損』する行為(刑法230条1項)のことですが、
『ブラック企業』であると表現するだけで『事実を摘示』したといえるかは疑問です。
また、『事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した』(刑法231条)として、『侮辱』に当たると主張される可能性もありますが
、かなり広い意味で使われているので、これだけで『侮辱』といえるかも疑問です」

「むしろ、この言葉と一緒に述べられると思われる『この会社ではサービス残業が蔓延している』、『社長が日常的にパワハラを行っている』、
『消費者を騙して悪徳商法をしている』といった具体的事実のほうが、名誉毀損との関係では重要といえます」