「残業代11・6兆円失う」 適用除外で労働総研試算

  全労連系の「労働運動総合研究所」(労働総研)は8日、
  厚生労働省が導入を検討しているホワイトカラー・イグゼンプション(労働時間規制の適用除外)
  が実現した場合、対象になる労働者が失う残業代は
  年間総額が11兆6000億円で、1人当たり114万円に上るとの試算を発表した。

  労働総研は「巨額の賃金横取りである上、過労死を急増させる」として導入に反対している。

  厚労省は来年の通常国会での法案提出を目指している。
  適用除外は一定以上の年収などを条件に「1日8時間、週40時間」の労働時間規制を撤廃し、
  自らの裁量で労働時間を決める制度。残業代は支払われなくなる。
  日本経団連は年収400万円以上を対象とするよう提言している。

  労働総研は国の統計などを基に、年収400万円以上のホワイトカラー労働者(管理職を除く)を1013万人と算出。
  その年間給与総額から時間当たりの賃金を割り出し、
  平均残業時間である13時間をかけると4兆6000億円(1人当たり45万円)になる。

  加えて賃金の支払われないサービス残業が月平均20時間あり、総額は7兆円に上るという。
  労働総研は「適用除外導入によってサービス残業が合法化され、労働者は請求権を失う」として、これも損失に当たるとした。

北海道新聞 2006/11/08 19:14
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061108&j=0022&k=200611084548