>>279
いや別離を望んでたことは竹宮さん本人がジル本にはっきり書いてるでしょ
増山さんは未練たっぷりだったけど

(ジル本「契約更新」の章より引用↓)
さすがに「ここにいることがつらい」とは言えない。増山さんは「そうかあ……」と残念そうに
つぶやいた。こういう集まりが永遠ではないことは、彼女だってわかっている。だが、それが
もう来たの、という思いだったろう。

萩尾さんだけではなく多くの雑誌で同世代の作家たちがまるでヒロインのように月替わりに
登場して、注目に値する作品をどんどん発表していることにも強い焦りを感じていた。

わずか2年なのに、大泉での日々は、5年にも6年にも感じられた。

萩尾さんと増山さんの楽しそうなおしゃべりが続く。(中略)
彼女らが久しぶりに会って話をするのも、今はやめてほしいというのが本音だが、さすがに
そこまで言うのはわがままだとわかっている。
自分のなかでぐるぐると、また同じ疑問がループする。どうして萩尾さんは、あれだけの
ものを描けるのか。どうして自分には描けないのか。

自分でコントロールできない状態に陥っているという自覚はあるのだが、打ち消すことが
難しかった。どうすれば解放されるのか。せめて離れたかった。異なる空間のなかにいれば、
少しは救われるかもしれないと思い始めるのに時間はかからなかったと思う。
それから……。どうしようもなくなった私は萩尾さんに、「距離を置きたい」という主旨のことを
告げた。