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■基本理念は「権利」として全員に一定金額を分配

ベーシックインカムの基本的な考え方は、国民一人ひとりに、所得、資産の有無や大小に関わらず、同一金額を定期的に支給するという制度です。

現行の社会福祉制度では、貧しい人に対して最低限度の生活が維持できるようお金を支給しています。
これは社会的弱者に対して気配りのある立派な制度ですが、別の観点からすると上から目線の施しのようにも受け取れます。

それに対してベーシックインカムは、「何人も人並みの生活を確保する権利があり、それを備えるのが社会の務めだ」という考え方に基づいています。
受け取る側は施しを受けるのではなく、人間の権利として文明の成果の分配にあずかります。上からの施しを受ければ、人間の尊厳は損なわれ、自由な心を持った個人が失われてしまうということです。

いまの社会福祉制度は施しの考え方に基づいている(大阪市中央区役所の受付窓口)

悪くない考え方だと思います。これまでの福祉制度は、働く意欲があれば補助が得られます。毎月役所に出向いて、「私は仕事を探している」という意思を示して失業保険を得るのです。
生活保護も受けられますが、資産があってはいけません。自動車も持てません。こういう施しの考え方は、人間の権利をないがしろにしているのではないかという疑問を呈しています。

裕福な人にも、貧しい人にも全て同額を定期的に支給すれば、最低賃金をもらってでも、さらに仕事に精を出す人もいる一方、最低限の生活を送りながら遊民を目指すという権利もあります。
また、世帯への支給ではなく個人に渡すため、不正受給も起こりにくくなります。欧米ではベーシックインカムの考え方が相当広がり、真剣に議論されてきています。
権利という意味で、今までの社会福祉とは違う、新しく進歩的な考えだと思います。
お金持ちには必要ないという意見もありますが、線引きをするとなればややこしいことになります。一旦渡して、所得税などで取り返せばいいのです。
国民全員に同額を渡すというのは、実は大きく中間経費を減らすことになり、効率が高いのです。