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ヒッチハイクで旅したら夢が決まった話
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0001坊主
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2020/04/12(日) 14:56:03.710
俺がヒッチハイクで日本を旅した時の話。
文才もないし書き溜めもないけど、よかったら聞いてほしい。
0002坊主
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2020/04/12(日) 14:56:41.220
俺は19の時ヒッチハイクで西日本一周の旅をした。何も初めからヒッチハイクをする気だった訳じゃじゃない。
俺は趣味でカメラをやっていて絶景スポットを回るのが趣味だった。
お金があったら電車でゆっくり旅したかったけどそんなお金もなかったから、これはヒッチハイクしかないという結論に至りこの旅をすることになった。
0003坊主
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2020/04/12(日) 14:57:09.140
そして旅も順調に進んで、岡山県を旅している時だった。俺はまぁまぁな田舎でヒッチハイクをしていたが中々車が捕まらなかった。
今考えるとアホなのだが、真冬にこの旅をしてたからとにかく寒い。
日も傾き出しもう今日はここら辺で野宿するしかないかなーと思っていた時、一台の車が止まってくれた。「若い子がこんな寒い中ヒッチハイクしてたから可哀想に思ってね〜」とても優しい人だった。
0004坊主
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2020/04/12(日) 14:57:33.680
車の中ではどこから来たのか、とかなんでヒッチハイクしてるのかなど雑談をしていた。
そして、そろそろ降りようかと思っていた時「泊まるのはどうしてるの?」と聞かれた。
先にも言ったが俺はあまりお金がなかった。だから基本は野宿をしていた。
「ここら辺で野宿しようと思います」と答えると、「こんな寒い中で野宿なんかしたら死んじゃうかも。もしなんかあったら私の後味が悪いから家に泊まっていって」と言われた。
全く、どこまでこの人は優しいんだと思った。
0005坊主
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2020/04/12(日) 14:57:54.110
そして家に行かせてもらった。
ちなみに乗せてもらった人は女性の人。
家にはその女性の人とその義母、義父の3人で暮らしていた。
(ここからは女性をおばちゃん、義母父をおばあ、おじいとする)
みんな赤の他人の俺を温かく迎えてくれた。
今考えると、ヒッチハイクで見ず知らずの坊主を乗せた上に家にまで泊めてくれるとはまだまだ世の中の捨てたもんじゃないなと思う。
0006坊主
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2020/04/12(日) 14:58:34.240
田舎だったのもあると思うがとても大きくて立派な家だった。
リビングに通され、おばちゃんが「お風呂沸かすからちょっと待ってて」と言った。
俺はその間おじいと雑談をした。
おじいはどうやら地図が好きなようで、俺がこれから四国に入るつもりだと話すとでっかい地図を持ってきて「このルートで行くのがオススメだ。このルートはあまり車が通ってないからヒッチハイクは難しい」など途中から俺を置いてけぼりにして1人で喋っていた。
それを見たおばあが「お父さんやめなさいよ。この子にはこの子の道があるんですよ。ごめんなさいねー、うちの人好きなことになると止まらないのよ」と微笑みながら言った。
それを見たおばちゃんも笑った。
幸せそうで良い家庭だと思った。
0007坊主
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2020/04/12(日) 14:59:02.430
そんな他愛もない話をしていると、「お風呂が沸いたから入りなさい」とおばちゃんが言った。
俺は図々しくも一番風呂をいただいてしまった。
田舎の虫の声を聞きながら入る風呂は都会では味わえない、格別の時間だった。
風呂から上がると食事が準備されていた。
ステーキに唐揚げ、スパゲティもあった。
どうやら家にあるものをほぼ全部使ったらしい。
「前からあなたが来ることが分かっていたら、もうちょっと豪華にしたんだけどねー。また明日買い物に行かないと」おばあが優しい笑顔でそう言った。
0008坊主
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2020/04/12(日) 14:59:26.380
楽しい時間だったが、俺は1つ気になっていることがあった。おばちゃんの旦那さんは帰ってこないのかということだ。
おじいとおばあはおばちゃんの義母父ということはおばちゃんの旦那さんがいるはずだ。
時計は21時を指している。
ここで無神経で気になったことは解決しないと気が済まない性格の俺は「おばちゃんの旦那さんはどんな人なんですか?」と聞いてしまった。
0009坊主
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2020/04/12(日) 14:59:52.160
「実は娘も1ヶ月前に亡くなったの。ちょうどあなたと同じ歳だった。もうここまでくると笑えてくるわよ。なんで私の周りの愛する人はいなくなっちゃうのって。神様も残酷すぎるわよ」
この辺りでおばちゃんもおじいおばあも泣きそうになっていた。
0010坊主
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2020/04/12(日) 15:00:25.170
「娘が死んでから昨日まで毎晩泣いたわ。家族3人で。家の中の空気も心なしかどんよりしてた。
でもね、今日ヒッチハイクをしてるあなたを見たとき思ったのよ。これは娘が巡り合わせてくれたんじゃないかって。『みんな、そろそろ泣き止みなさいよ!』って娘が言ってるのよ。実際、あなたのおかげで今日は泣かなかった。ありがとう」
0011坊主
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2020/04/12(日) 15:00:46.020
俺は泣いた。ボロボロに泣いた。それを見て3人も泣いた。娘さんの写真を見せてもらった。とても美人だった。もう結婚も決まっていたらしい。純白のドレスに身を包み、快晴の空の下、彼女は幸せそうに笑っていた。
翌朝起きると、朝ごはんの準備はできていた。
「若い人はいっぱい食べるから」とてんこ盛りの米を盛った茶碗をおばあが持ってきてくれた。
おじいお得意の地図の話を聞かされながら、時たま下手な相槌を打つ俺を見て、おばちゃんとおばあは笑っていた。
0012坊主
垢版 |
2020/04/12(日) 15:01:02.700
朝食も済ませ、いよいよお別れの時だ。
荷物をまとめて家を出ようとした時、「これ持って行きなさい」とお弁当をくれた。どうやら今日の朝作ってくれていたらしい。
「こんなに早起きしたのは久しぶりだわ」とおばあが笑って言った。
別れ際、俺は1つ質問をした。
「3人とも、僕がいなくなったら今日からまた泣く日々が続きますか?」
0013坊主
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2020/04/12(日) 15:01:20.410
「どうだろ...泣くかもね」おばちゃんは笑ってそう言ったが、どこか悲しげだった。
「じゃあ僕が日本中を旅したらまたこの家に戻ってきます。日本中の笑顔や絶景を撮ったオリジナルの写真集を作って戻ってきます。
おばちゃんが嫌いだと言ってた桜も、これ以上ないほど綺麗に撮ります。
その写真集を見るたびに、おばちゃん達の心が癒されるようなそんな写真集を持ってきます。
なのでおばちゃん達の写真を1ページ目にさせてください」
0014坊主
垢版 |
2020/04/12(日) 15:01:47.530
そう言って俺はおばちゃん達にカメラを構えた。
「写真撮るならもっと綺麗にお化粧したのにー」とおばあは嘆いていた。
「いきますよー!はい、チーズ!!」


僕は無事にヒッチハイクで西日本一周を終えました。このおばちゃん達以外にも色んな人と出会い、色んな優しさをもらいました。
今はコロナで旅はできませんが、近いうちに東日本も旅します。
写真集はまだ未完成です。
自分は写真が趣味のただの学生です。
撮るのも上手くありません。
でも、着実に写真集のページは厚くなってきています。
日本中を旅し終えたら、必ずおばちゃん達に会いに行きます。
おじいは相も変わらず地図の話ばかりするんでしょう。それを見て笑っている2人の姿はいつでも鮮明に頭の中に浮かびます。
もしかしたら今もあの家は悲しい空気で埋まっているかもしれません。
僕はそれを変える為にシャッターを切り続けます。
いつかおばちゃん達が写真集の1ページ目のような笑顔で溢れる生活を取り戻せるように。

終わり。
0015坊主
垢版 |
2020/04/12(日) 15:26:56.730
>>8
1つ文章抜けてました。
8 の後これです。

「...」今まで賑やかだった食卓は急に静まり返った。俺がタブーに触れてしまったのかと不安になっていると、おばちゃんが口を開いた。
「主人はね、20年前に亡くなったのよ。20年前の3月、満開の桜の下で交通事故でね。だから私は桜があまり好きじゃないのよ」
俺は馬鹿だった。思い出しかもないであろう記憶を掘り起こすような真似をしてしまった。
「それにね...」
おばちゃんの身に降りかかった悲劇はまだこれで終わりではなかった。
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