目が覚めると高校3年生の夏だった。というか言われた。
自分は事故で2年間も眠っていたという。
でも何かが変だ。自分の車、自分の運転で事故を起こしたはず。
高校1年の自分が車を運転するはずがない。
事故前の記憶は鮮明に覚えている。
高卒で会計事務所に就職して資格取得を目指しながら仕事していた。
でも所長がとんでもない老害ヒステリックババアでこんな仕事辞めたい、高校時代に戻りたいとも思っていた。
そんなときにこの状況は正直嬉しい限りだった。
しかしなぜだか周りの様子がおかしい、自分に何か隠しているかのようだ。
クラスメイトも環境も就職する前の生活と何も変わらないのに・・・
生活していく中で周りが自分をある場所から遠ざけてることに気付いた。
そう、事故前の自分の職場だ。
自分は高卒で地元に就職して実家から通っていたので少し自転車を走らせれば行ける距離だった。
いざ行ってみるとそこにあったはずの建物がない。
そこだけ空き地になっていたんだ。
自分が過去に戻ったのならそこには職場だった建物があってもいいはずだ。
そんなことを考えていると耳元で「気づかなければずっとに夢を見れたのに」と声がした。
いや自分でそう思ってしまったのかもしれない。
そして目が覚めた。