第12話 ガンダム強奪事件(5人目)

5人目のインタビューです。今回は1話のみと短め。

私はガンダムMk.2強奪事件に遭遇し、戦いに敗れた。インタビュアーがその経験を聞きたがっているが、人に話せる内容とは思えない。

 
・強奪事件について知っていることをお願いします。

 
「私はグリプスことサイド7のグリーンノア1に配属されていました。事件はコロニー内にエゥーゴが侵入した事から始まりました。侵入した機体はたったの3機。その時はエゥーゴの新型という事しかわからず、後にリック・ディアスという名称を知りました」

 
「リック・ディアスはクレイバズーカ、ビームピストル、最新の頭部バルカンをうまく使い分けながら戦っていました。機体の性能もありますが、パイロットの腕前も良かった。きっと1年戦争の生き残りだったに違いありません」

 
「3機のリック・ディアス相手にジム2が9機も撃墜されました。それにしても、こちらの攻撃が全く当たらなかった事が不思議です。機体の動きが速すぎてロックオンできなかった。まるで赤い彗星です」

 
「私もジム2でリック・ディアスと戦いました。リック・ディアスの機動力に翻弄され、次々に味方がやられていきましたね。我々はエゥーゴを追い払えず、返り討ちにあいました」

 
「リック・ディアスに撃墜された機体が住宅地に墜落し、民間人に被害が出ました。只でさえ、我々はグリーンノア1の住民に恨まれているのです。強奪事件が我々に対する印象を更に悪くしたのは間違いないでしょう」

 
・ガンダムMk.2を見たことがありますか?

 
「グリプス時代に何度も見ています。ブラックとダークブルーに塗装されたガンダムMk.2は憧れのモビルスーツで、私でなくともパイロットならば、いつかはガンダムMk.2に乗りたいと思っていました」

 
「攻防の果てに、エゥーゴはMk.2を2機強奪してグリプスを去りました。確か、2号機と3号機です。強奪事件の後にガンダムMk.2をグリプスで見ることはありませんでした」

 
・ジム2はどのようなモビルスーツでしたか?

 
「ジム2はジムを近代化改修したモビルスーツです。性能はジム改よりはましで、ビームライフルが使えるおかげで少し火力が強くなりましたよ」

 
・ティターンズに言いたいことがありますか?

 
「そうですね。同じ階級でもティターンズの隊員が1階級上の扱いを受けるのが気にいらなかった。ティターンズは偉そうでごう慢な隊員が多い印象があります。特にグリプスにいた連中は嫌いでした。私は連中に殴られる連邦軍人を見たことがありますから。
 グリプス戦役の後、多くのティターンズ兵が戦犯として極刑に処され、また辺境に左遷されたと聞きます。もしも知った顔に会ったなら、
『俺だよ、俺......へっ、小官のような窓際族の顔など、エリート様が覚えてる筈もありませんでしたな!』と冷やかしてやりたいですね」

 

(5人目のインタビュー 終わり)