未完成だけど大筋はできてきたので投下。次の投下は出来上がったら
未完のまま失踪の可能性もあるのであんまり期待はしないでね


――side ロラン

初等部でのこと。ぼくはどうにもよく目立ったらしい。いじめっ子の標的にされることが多かった。
『おい、女男ふたりが歩いてるぜ!』
『今日は何すんの? おままごと? お人形遊び?』
『うるさいな! どけよお前ら!』
からかういじめっ子たちを、カミ―ユが追い払う。
『カミ―ユ、いいよ。放っておこう…』
ぼくはいつもそれをなだめていた。喧嘩は嫌いだったから。

『あんなこと言われて、ロランは悔しくないのかよ!?』
『みんなが喧嘩するほうが嫌だから…』
『おれは納得できない! ロランはおとなしすぎるんだ!』
怒るカミ―ユ。おとなしいって、そんなに悪いことかな。
僕は、むやみに力に訴えようとするカミ―ユのほうが怖かった。

何年か、同じような状況が続けばもう慣れたもの。…というわけにもいかない。
カミ―ユがアムロ兄さんに直談判していた。
『だから、ロランがいじめられてるんだ!』
『………はぁ。悪いけど兄さん、今日はちょっと疲れてるんだ』
『この前だってそう言ったじゃないか!』

『ロラン本人ははいじめられてないって言ってるんだろ。お前の思い込みじゃないか…』
『うるさいわね…毎日毎日なんの騒ぎよ?』
そのころのアムロ兄さんは就職したばかり。新卒で慣れない職場、人間関係…今はその大変さが完全とはいわないまでも理解できた。
『姉さんも、なんか言ってくれよ…ロランのことだって』
『それ、何度も聞いた。でも私、今とっても大事な時期なの。わかる? ここでの頑張りで人生変わるくらい大事なの。だから邪魔しないで静かにして。いいわね?』
『………! もういいよ!』
やる気のないアムロ兄さんやセレーネ姉さんの物言いに、カミ―ユはいつも怒っていた。当事者のぼくはといえば、何も言わなかった。
ぼくが我慢すれば収まることなのだから。カミ―ユにはいつもそう言い聞かせていたけれど、聞いてくれなかった。
カミ―ユは自分の名前のことにコンプレックスを感じていたから、なぜ似た境遇にいるぼくが同意してくれないのか理解できなかったらしい。