問題となるのは、職務専念義務違反は、職務遂行に実際に支障をきたした場合だけ成立するのか、支障をきたしたか否かを問わず、職務に専念していない行為をしただけで成立するのか、という点です。裁判例の傾向としては、後者のように、具体的に支障をきたしたか否かを問わず、職務専念義務違反を認めるケースが多いようです。

 本文のとおり、たとえ使用者と労働者で特別な約束をしていなくても、労働契約には職務専念義務が付随します。もっとも、多くの就業規則では、服務規律において職務専念義務を定めているでしょう。実務的には、より具体的にやってはならないこと(就業時間中はスマホを触ってはならない等)を定めるのが望ましいでしょう。