また、16年4月にはアマゾンが日本に法人の実体があることを認めた。アマゾンでは購入者が商品の評価を書き込むことができるが
そのレビューの内容をめぐって、東京都内のNPO法人がアマゾンのアメリカ本社と日本法人に対して投稿者の情報開示などを求める訴訟を東京地方裁判所に起こしていた。

 その訴訟のなかで、アマゾン側は「日本語サイトの運営主体は、日本法人のアマゾンジャパンである」と認めて敗訴したのだ。
それにともなって、アマゾンジャパンは巨額の無申告重加算税(無申告加算税に代えて課される重加算税)を追徴される可能性が生まれた。

 無申告で法人税を逃れていた場合、通常は過去5年、悪質性が高い場合は過去7年にさかのぼって重加算税および重加算税滞納による法定金利を科せられることになる。
そのため、アマゾンジャパンは逃れていた税金を追徴課税で取り戻される可能性があるのだ。

 このように、これまで法の穴をすり抜けてきたグローバル企業に対して課税する動きが世界で強まっている。アマゾンは、もはや生活インフラの一部といっても過言ではなく
アメリカでは「アマゾンがすべてを飲み込む」という意味の「アマゾン・エフェクト」という言葉も生まれているが、こうした側面を知ることで、少し違った見方ができるようになるのではないだろうか。
(文=渡邉哲也/経済評論家)