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【トップ】Wセミナースーパー講座復活祭【森圭司】
0002氏名黙秘2014/08/17(日) 14:52:57.35ID:???
俺はスーパー基礎法学から受講した経験がある。
真面目な話なら思い出話をいくつか書くけど。
0003氏名黙秘2014/08/17(日) 16:45:02.92ID:???
>>2
お願いします。
0004氏名黙秘2014/08/17(日) 17:48:02.92ID:???
5%引きにしかならなかった森先生シリーズ
0005氏名黙秘2014/08/17(日) 17:51:39.90ID:???
司法試験という観点からは、基礎法学に関してはあまり見るべき点はないように思う。

森圭司はまず基礎法学の勉強の意義を強調していた。特に、東大法学部では法律の勉強がスタート
するのは2年からであり、その前に基礎法学の勉強をしているから、その後の伸びが違うのだ、
と言っていた。これに、多くの受講生が、ほう!と思ったのではないだろうか。

長年、田中英夫「実定法学入門」と「法学史」が必読文献とされてきたとのことであった。
また昔の東大法学部では退官間近のベテラン教官が1年生の法学の講義を担当する慣習があり、
その講義内容が本になったこともあると言い、団藤や三ヶ月の「法学入門」を取り上げていた。


だが、これらの本を読むことが司法試験に必要かどうかについては疑問がないではない。
仮に必要だとしてもその活かし方は不明である。と、今になって思う。

森は教養とか背景知識として有益だと言っていたが、こうした有力な法律学者ともなると
独特の法律観、法学教育観があり、それを初学者が消化するのは極めて困難だとは思う。
各科目の法解釈論の論文を読むこととは意味や効用に違いがあるように思える。

もっとも、これらの本はそのさわりにふれただけであり、講義で解説がなされたわけではない。
実際の講義では、ベーシックポイントをベースとしたものであった。ただし、これに加え、
伊藤・加藤「現代法学入門」「教材法学入門」やアルマ「法思想史」などを取り上げて、
例のごとく、ここという箇所を森が読みあげていく講義であった。

なお特に「現代法学入門」は講義とは別に個人的に全部読んだが、これは今からみても
有益だったと思う。もっとも当時理解できたのは、 法的安定性と結果の妥当性をいかに
調和させるのか、どの立場がどちらをより重視しているのか、という視点で本を読むべきだ、
といった幼稚なレベルであった。
0006氏名黙秘2014/08/17(日) 17:52:25.56ID:???
法理論としての基礎法学は、法解釈論に全く役に立っていないこと今では知っている。
今から当時のスーパー基礎講座・基礎法学の狙いを考えてみると、学問としての基礎法学
を教授しようというものではなかったように思う。いわゆる法学の入門的な知識を教える
こと以外の目的は以下に書くようなことで伝わるのではないかと思う。

基礎法学で特筆すべきことは、普通の法学入門に触れたほかは、有名な法律学者が書いた
エッセイなどを読むことが多かった点である。団藤重光、宮沢俊義、鈴木竹雄、三ヶ月章、
星野英一など。他にもいた。法律学全集の付録としてついていた栞(しおり)も読んでいた。

特に印象に残ったのは、学者の人物相関図や師弟関係をもとに各科目の大まかな学派を
提示したところである。これは面白かった。また体系書を読むときの助けにもなった。

まず、学派というか大きな学説の流れがあることをこの時知った。東大学派と京大学派、
自然法主義と法実証主義、概念法学と利益衡量法学、形式的解釈論と実質的解釈論などである。

森は東大法学部の主流派教授の学説を正当なものだと考えようとしていたし、それをマスター
してから、そのほかの学説に手を伸ばすべきだという考えであった。「通説とは東大法学部
の有力な教授の学説である」という言葉もこの時に聞いたのである。

そして学派と学派の争いにおいては、誰が誰の弟子であり、誰と誰が学説において対立して
いるとか、そういった人物本位の説明がそれなりに大きな意味を持っていることも何となく
わかったのであった。
0007氏名黙秘2014/08/17(日) 17:54:13.54ID:???
さらに有名学者の噂話や立志伝のようなことを、こうした学派の対立に結び付けて説明した。
思い出すままに、いくつか取り上げると…

幾代教授の若い時は極貧状態であり我妻栄が仕事を回してかろうじて生活を維持 できていて
何とか学恩に報いられるように頑張ったことが、我妻追悼論文集に書かれていた。

三ヶ月が軍隊に招集されることを知りつつ前日遅くまでまで東大図書館で勉強するほどの
情熱を燃やしていたことが、民事訴訟法研究の巻末に書かれていた。

三ヶ月章が新訴訟物理論を発表した時に兼子一と中田淳一が反論して三ヶ月がおろおろして
いるのを新堂が楽しそうに笑って見ている姿に中野貞一郎が「すごいオッサンがいるなと思って、
名前を見たら新堂幸司とあった」ということが、新堂民訴の栞に書かれていた。

同じ栞に、新堂が最初は商法の石井教授のもとにいたが、株主総会の決議に関することを
研究すると言ったら、兼子教授のもとに移籍?させられ、その後すぐに三ヶ月がドイツに
行ったりして自由に研究できた偶然が日本の民事訴訟法の発展にとって結果としてよかった
と書いてあった。発展云々は中野か松浦の発言であった。

団藤が何かの口頭試問で学生と別の試験委員の論争を横で聞いていて物事がよく分かった
ところから当事者主義の本質が理解できたといことが「我が心の旅路」に出ている。
0008氏名黙秘2014/08/17(日) 17:55:19.95ID:???
同じく「我が心の旅路」には、学説上は激しく争っているように見える団藤と平野が実は
軽井沢で卓球をしている写真があったり、団藤の娘が終戦直後の食糧難の中で原因は忘れたが
亡くなったときの感情とか、団藤が死刑判決を書いたときは水をかぶったとか、そういう
ことも書かれている。

こうした芸能ネタ顔負けの人間味溢れる法律学者のエピソードは、無味乾燥な法律学に対する
興味をいわば側面から起こすのに十分役に立たった。伝記を読んで感動させるような芸当に
近かったと言ってよいと思う。こうした話をしているときの森はとても楽しそうであった。

なお森圭司自身が福田平教授の娘とお見合いをしたことがあるというエピソードも聞いた。

このような面白い話を聞きながら基礎法学が終わったのであったが、司法試験の合格のためには
直接の関係はないことは言うまでもない。
0009氏名黙秘2014/08/17(日) 17:56:40.53ID:???
リクエストがあれば、続きを書かないでもない。
0010氏名黙秘2014/08/17(日) 21:46:43.48ID:???
>>9
よろしくお願いします。
0011氏名黙秘2014/08/17(日) 23:53:52.86ID:???
続けて下さい
0012氏名黙秘2014/08/18(月) 08:32:29.16ID:TJh7nMWX
工藤幼児のスポーツと司法試験は名著。
0013氏名黙秘2014/08/18(月) 23:00:35.75ID:TJh7nMWX
あげ
0014氏名黙秘2014/08/18(月) 23:11:09.65ID:???
参考までに。基礎法学で取り上げた本にコメントしてみる。


三ヶ月章「法学入門」(わかりやすいが、正直言って法解釈の力にはならなかった)
団藤重光「法学入門」(言葉の定義が不明で理解できなかった)
加藤一郎・伊藤正己「現代法学入門」(これはよくできていて導入に一番いいと思う)
加藤一郎・伊藤正己「教材法学入門」(各種の文献の抜粋であり上記の参考書)
田中成明「法思想史」(司法試験とは全く無関係)
※これらのうち現在でも読むに値するのは「現代法学入門」のみ。


鈴木竹雄「幾山河―商法学者の思い出」(娘の千佳子氏が対談相手)
鈴木竹雄・竹内昭夫「商法とともに歩む」(一番弟子の竹内教授が対談相手)
※これらは商法の知識がない段階で読んでも得るものは少ない。


団藤重光「我が心の旅路」(井上正仁教授が対談相手)
団藤重光「この一筋につながる」(三島由紀夫と刑訴の論考が興味深かったが話のネタにとどまる)
平野龍一「小野先生と刑事判例研究会」(いろいろな立場の人が論考を寄せていて学派の対立の理解に資する)
※これらは初期の段階で読んでも得るものは多い。森圭司は団藤「刑法紀行」にも言及して「世界の団藤」と言っていた。


「私法学の新たな展開―我妻栄先生追悼論文集」(我妻栄ゆかりの人の言葉を知って我妻の偉大さを認識)
※森圭司がこのなかのエピソードに言及した。
0015氏名黙秘2014/08/18(月) 23:12:32.30ID:???
あと、個人的に読んだもの。


伊藤正己「裁判官と学者の間」(判例と調査官の関係を知ったほか少数意見は後の憲法理解に有益)

我妻栄「近代法における債権の優越的地位」(挫折した)
※我妻説の発想は民法講義の各総説部分を読むしか理解できない。なお債権法改正により死すべき運命にある。

法律学全集等の栞を大学の開架図書に貼り付けられていたので、コピーしまくって読んだ。
兼子一の民事訴訟法勉強法は、後に義理の父親となる加藤正治の判例解説本を暗記するものだったらしい。

なお実務家のものとして当時以下のものを読んだ。
伊藤栄樹「だまされる検事」「まただまされる検事」「秋霜烈日」
木村晋介「キムラ弁護士が駈けてゆく―赤裸々な私生活と司法試験の傾向と対策」

その後学者や実務家のエッセイ集が出るたびに読む習慣が身に付いたが、その世界の人間関係を知ることは
できるが、当然のことながら法の理解に役に立った経験は少ない。川端博の本は役に立ちそうで役に立たない
と感じたり、小林充はエリート意識丸出しの人なんだなとかがわかったくらいかな。ただし、
藤田宙靖「最高裁回想録 --学者判事の七年半」
は伊藤正己「裁判官と学者の間」と同じくらい役に立った。
0016氏名黙秘2014/08/18(月) 23:17:28.36ID:???
当時は、ふ〜んと思うだけだったが、伊藤栄樹の司法試験勉強法が
だまされる検事に出ている。基本書を何度も読んで暗記する勉強のようだ。

のちに河上和雄がエッセイ集をだして司法試験勉強法に触れていた。
大学の指定テキストを1科目数ヶ月で暗記して試験に間に合わせる方法だった。

オウム事件で有名になった横山弁護士も各科目200頁くらいのテキストで
勉強したと書いてあったが、おそらく暗記が主体の勉強だろうと思う。

ただ暗記すればいいわけではないことは、みな感じているでしょう。
体系を理解することが求められるわけだが、森圭司の講義でそれを身につけた
といえるかどうか。

少し書いてみようか。
0017氏名黙秘2014/08/18(月) 23:45:14.37ID:???
まずスーパー基礎講座から始めようか。

森圭司の体系書の理解の仕方には、いくつかの特徴がある。

第一に、軸となる体系書を「マスター」するべく、最初は1冊の本を徹底的に読むことを
指導するものであった。
最終的には、内容のみならず表現や頁数など、暗記したに等しい状態になることが望ましい
というものだ。だが、実際にこのレベルに達した人はほとんどいないのではないだろうか。
森圭司は映像記憶ができるらしいことを、どこかで聞いたような気がするが、決して
映像記憶せよ、とは言わなかったが、とにかく暗記することを求めていた。「これは覚え!」
などと言っていた。

第二に、書き手の表現をとても重視していた。
伝統的に使われる表現、師匠から受け継いだ表現、論文のエッセンスを凝縮させた表現などに
非常に気を遣い、決して疎かにするなかれ、それは自分の言葉に置き換えてはならない、
日本の法律学100年の歴史に立脚しなければならない、というようなものだった。

第三に、書き手が、いかなる順序で論じているか、その理由を考えるものだった。
有名な例では、芦部(その他の憲法学者も同じだが)が人権→統治の順序で論じるのに対し
佐藤幸治が国民主権と政治制度→司法権と憲法訴訟→基本的人権の保障という順序で論じるのは
どういう意図ないし狙いがあるのかを考えよ、と言っていた。そしてその答えは、各体系書の「総論」
部分にあるから、そこをヒントに考えよ、と。しかし、その答えが明確にわかることはなかった。
ただ何となく、こんな感じかなあと想像できたにすぎない。この順序の理由を考えるというのは、
編・章・節・款・(1)(2)(3)といったレベルでも同じように考えるべきだと言っていた。
森圭司の意図は、体系的に理解するとはどういうことかを悟らせようというものだと思う。
なお、総論は師匠から受け継いだものであることもあったので、それは師匠の本を読まないと
分からないじゃないかと思ったりもした。のちに触れることがあるかもしれない。
0018氏名黙秘2014/08/18(月) 23:47:00.55ID:???
眠たいので、続きは後日。
0019氏名黙秘2014/08/19(火) 07:34:14.18ID:ANoUmQzw
dworkin mwthodか。
0020氏名黙秘2014/08/19(火) 09:16:46.05ID:ANoUmQzw
工藤幼児
0021氏名黙秘2014/08/19(火) 21:09:55.47ID:???
近年まれに見る良いスレ
0022氏名黙秘2014/08/19(火) 22:40:21.35ID:???
憲法の基礎講座について、思い出すままに。まず、基本書の選定から。

例によって東大系(その中でも主流)の基本書が軸となる。憲法だと当然芦部となるが、
それ以外の体系書を講義で選択することもあった。とはいえ、それは伊藤正己や佐藤幸治に限られる。

講義では、伊藤と芦部がいかに東大学派として共通性が見られるかに言及していたのに対し、
佐藤幸治は芦部の立場から、学説批判というより、表現や叙述の仕方を批判することが多かった。
例えば、佐藤幸治が芦部の説明方法に対し「ややミスリーディングであろう」と書いてある
箇所があるが、森圭司は「そんなこと言ってるのはおまえ(=佐藤幸治)だけ」などと言ったりした。

森圭司自身は、宮沢俊義(芦部補訂)「全訂 日本国憲法」(日本評論社)で勉強したらしい。
司法試験予備校に来てみると、当時多くの受験生が佐藤功「日本国憲法概説」で勉強していて、
こんなレベルの低い本を読んでいるのか、という感想をもったらしい。
むろん森圭司がこの宮沢コンメンタールしか読まなかったということではないし、佐藤功を
読まなかったというわけでもない。実際森圭司は佐藤功の概説を初版から買い続けていたらしい。

だがこの宮沢コンメンタールがそんなにハイレベルというか、司法試験に適した叙述があるとも
思えなかったのだが、森圭司がこの本のどこを買っていたのか、分からずじまいであった。
実質的執筆者が芦部だからというわけでもないと思うが。
0023氏名黙秘2014/08/19(火) 22:41:45.02ID:???
思い出したが、基本書を読む際に、批判的に読む必要など(初期段階では)ない、と森圭司が
言っていた。では、どう読むのかというと、「客観的に読む」と言ったことがある。

司法試験では、君の考えなど聞いてない。判例はどう言っているか、主要な学説な何と言っているか、
を客観的な知識として記憶しているかを聞いているのだ、せいぜいそうした客観的な知識を
前提として考えるとどういう帰結がありうるのかを聞いているだけなのだ、というようなことを
聞いたことがある。これができるようになるために基本書を「客観的に読む」べきだと。

なんのことはない。そこに書いてあることを言えるようになればいいだけのことだったのだ。
それをどう思うか、賛成か反対かなどはどうでもよい、ということなのだ。
もっといえば、理解できているかどうかもどうでもよい、そこに何と書いてあるのかを言えればよい。
むろん、暗記だけで終わってはならないが、森圭司のいう客観的に読んで知識を身につけないことには
どうにもならない。これは正鵠を得ていたと思う。拳拳服膺すべきであろうな。
0024氏名黙秘2014/08/19(火) 22:46:30.91ID:???
もう1つ。憲法の基礎講座でも時々聞いた言葉がある。それは「ラインで理解せよ」というものだった。

森圭司は、体系書の記述につき、まずはそのまま受け止めて暗記するように、そしてラインで
理解するように、まずは体系書の中で理由を考えるように、参考書を見たりしてのちに理解を
深めるように、と言っていた。

ラインで理解せよ、とは、体系書に現れるキーワードの総論から各論への流れをまずは暗記し、
その上で考えなさいという指導であった。これがラインで理解することの意味であった。
全体が分かってはじめて部分が分かるのに、全体も分からず部分の意味を質問するとは何事か!
という感じであった。

だが、それが大半の受験生にはできないから、分かりやすい説明を求めて基礎講座に集うわけだが、
森圭司にはそれがわかってないのではなかったのではないかな。ただ、森圭司の基礎講座を
通して受講していれば、翌年には自分でも全体を掴んで部分の意味を考えることがある程度できる
ようになったりする。それは法律学特有の思考法がわかってくるからなのだが、その域に達する
までが辛いわけだ。
0025氏名黙秘2014/08/19(火) 22:55:43.77ID:???
講義では、芦部が講義で指定したのが清宮・法律学全集T、宮沢・法律学全集Uである、
択一過去問をみると、これらをベースにした問題が多くみつかる、という説明をしたが、
実際の講義でこれらを使用したことはない。受験生が購入できない絶版本だからだ。

なお、森圭司が、清宮・憲法要論や、宮沢・憲法という憲法全般を扱った概説書を
講義にもってきて、さわりを読んだこともあった。憲法は苦学(9学)であるという
清宮の言葉(まえがきに書いてある)を、読み上げたりしていた。

森圭司は、芦部説の理解を深めることを目的とする講義か、佐藤幸治を批判的に読みながら
芦部説を相対的に理解させることを目的とする講義のどちらかのやりかたではなかったかと思う。

前者は、基本書の1語の意味を、演習書や論文集のエッセンスとなる文章でもって理解させる
という「拡げる」方法であり、後者は、佐藤幸治と芦部を対比させながら理解させる「比べる」
方法である。自分でやろうとすると、恐ろしく時間がかかるのは火を見るより明らかだろう。
だが、幸いにして、芦部説を理解するためには、これらどちらの方法も可能であった。
0026氏名黙秘2014/08/19(火) 22:59:07.00ID:???
多くの文献を渉猟する森圭司にして、佐藤幸治の憲法に関し、森圭司もわからなかった点があった。
ちなみに、新宿の紀伊國屋書店で最も書籍を購入したのが森圭司だということを自分で言っていた。

それはともかく、
佐藤幸治憲法で紹介されていた国民主権の意義に関する「監督権力説」を誰が主張しているのか。
これは講義でも誰の見解か分からないと言っていた。
のちに渡辺説だとわかったが、渡辺など誰も知らないであろう。ちなみに加藤晋助も知らなかった。

また、佐藤幸治憲法は、憲法判例は「構成的」であると書いているが、この「構成的」の意味も、
森圭司は分からないと言っていた。抽象的という意味ではないかとトンチンカンなことを
いうありさまであった。これはのちに、ドゥオーキンの「権利論」(木下ら訳)に出てくる表現
らしいことを知ったが、よくわからなかった。佐藤幸治が好んで使う「法原理」もこの本が出典で
あるから、さもありなんと思うけど。

あと佐藤幸治が表現の自由の箇所で、審査基準を形式的基準と実質的基準に区別するが、
その根拠が不明確である。ある受講生が質問したところ、よく調べてから質問するように
と言っていたらしい。まずは、その箇所を暗記したうえで、佐藤幸治その他の文献を見て
根拠を考えよと。ただ、佐藤幸治の書いたものをかなり読んだが、いまでもよくわからない。
森圭司も、分からないとは言わなかったとのことだが、実は分かってなかったのではないかと疑っている。
0027氏名黙秘2014/08/19(火) 23:02:52.12ID:???
続きは後日。
0028氏名黙秘2014/08/20(水) 22:55:16.43ID:???
基本書の読み方の手ほどきをする場合に、「拡げる」方法と「比べる」方法があると書いたが、
芦部岩波を読む場合が「拡げる」方法、佐藤幸治や伊藤正己を読む場合が「比べる」方法であった。

それはそうであろう。佐藤幸治も伊藤正己も拡げられるだけの論文や学生向きの演習書などを
あまり書いてないから。佐藤幸治が作問した憲法問題とその解説なんて、ほとんどの人は
見たことがないでしょう。拡げるには、佐藤幸治以外の文献や論文を漁らねばならず、一般人は
難儀すると思うね。

ちなみに、森圭司が佐藤幸治憲法解説講義という単発の講義を受け持ったことがあったが、
佐藤幸治の論文はごく一部で、あとは青林書院の「注釈日本国憲法」の佐藤幸治執筆部分(76条等)
を取り上げるくらいか。あと樋口陽一の論文集を取り上げたりしていたが、これは「比べる」方法で
佐藤幸治説を理解させようとするものであった。

佐藤幸治を理解するには、他の対比するに足りるものを提示して、それとの対比で理解することが
メインの方法となるだろう。ここが芦部とは異なるところである。
0029氏名黙秘2014/08/20(水) 22:55:46.13ID:???
芦部岩波を理解するには、芦部論文集が沢山あるので(テーマに限りはあるが)、それをもとに
論文の内容がいかに基本書の表現に凝縮されているか、芦部が論文の内容をどのようにまとめ、
圧縮して表現しているか、自分が論文の内容を基本書に手短に書こうとしたらどのような表現になるか、
などを考えながら、芦部を理解していくわけである。

森圭司流の圧縮の1例が、芦部憲法学の基礎T・U・Vである。ただ、これを今の時点で見ると、
取り上げる内容に偏りがあることは否めない。芦部の財産権などは、あまり文献がない。演習憲法が
最も手頃であろうが、実質説を提唱した行政法学者の論文を本当は引っ張ってきたほうがいいが、
森圭司もそこまではやってくれなんだ。

芦部説の特色はいくつかあるが、理解が難しいのは、定義が一般的でなかったり、文脈に応じて
定義が変わっていたり(しかも明示なく)、比較法研究の成果を踏まえて折衷説に仕立てていたり、
言ってみれば変化球ばかりの学説構成なんだな。「憲法の焦点」という有斐閣リブレがあり、
そこに高橋和之が芦部憲法は理解しにくいと正直に書いていたりする。

そうしたことも分かったりする機縁となったのが森圭司の基礎講座であることは言うまでもない。
ただ、受講生にそのレベルまで求めているわけではないと、ある受講生の質問に答えていた。
無味乾燥な勉強に少しでも興味を持たせようというのが狙いらしい。しかし、森圭司のそうした
親心など、当時はわからなかったね。

ただ一般論として、基本書の著者の執筆した論文集を読むのは、決して無益な勉強法ではない。
著者の発想法や動機が分かったりすると、基本書の理解が深まるというメリットがあるからだ。
0030氏名黙秘2014/08/20(水) 23:27:23.61ID:???
拡げる方法での読み方であっても、比べる方法での読み方であっても、芦部説と他説のどちらが
いいかを考えることに大した意味はない。考えるべきことは、芦部本の記述の「必然性」を
考えるということだ。芦部がそのような表現でそのような説を主張する理由は奈辺にあるのかを
考えるということだ。芦部の記述を一旦は正しいものとして受け入れて、根拠を考えるということ。
特に総論的記述の内容は論じる順序、論文での敷衍した説明に求めるわけだ。受験勉強では
これが出来れば御の字。

芦部のこの部分は良くないから、もっと気の利いたことを書いている人はいないかを探すべきではない。

これは森圭司も講義で(明確でないが)言っていた。もっともスーパー合格法なるパンフレット
にその詳しいことがかかれていたよね。

あと、これは多くの人がもうすでに言っていることだが、
現段階で言えることは、受験に芦部本を読むべきだということは否定しないが、議論の古さが
目立つようになってきている、ということだ。

憲法判断の方法に関する最新の議論、憲法判例の外在的批判ではなく内在的検討、などは
芦部の本や論文で補うことはできない。

当然のことながら、基礎講座が現在開講されていたとしても、こうした点は無視された可能性が高い。
0031氏名黙秘2014/08/21(木) 23:44:38.42ID:???
芦部憲法学の基礎T・U・Vの読み方だが、これを単独で読んでも、得るものはあるが、
森圭司の講義を聞いている場合と同じような効果を望むのは、若干難しいかも。

というのも、基礎シリーズの文章は、森圭司がそのまま抜粋・引用したものか、森圭司自身が
要約したものだが、それが基本書のどこをどのように拡げたものなのか、あるいは、基本書の
どことどのように比べたものなのか、というメタレベルのコメントがないからだ。つまり、
基礎シリーズの文章の使い方が明示されてないからだ、と言い換えてもよいだろう。
そうした部分が講義で得られるものと思うね。

独習する場合には、そうしたことを意識しながら読み進めることになるが、基礎シリーズの文章
とは関係のないコメントも講義で提示されるので、基礎シリーズ等の森圭司著作集で講義を
受けたのと同じ程度の認識に到達するのは、若干難しいと思うのである。

もはや森圭司のライブ講義は聞けない。どうしたものか。
0032氏名黙秘2014/08/21(木) 23:45:31.75ID:???
森圭司の講義の特徴は、普通基本書の地の文を読んでいく。時々声が大きくなったりしているが
これはキーワード・キーセンテンスを示そうという狙いがある。講義テープを聞ける人はもう一度
聞いてみるとわかると思う。

刑事訴訟法のガイダンスか講義中かは忘れたが、とにかく12月の寒いときに聞いたのだが、
田宮裕の「ホーンブック刑事訴訟法」に寄せて、「わかりやすくていい本なのだが、言葉を崩し
過ぎている」とコメントしていた。「キーワードなどをしっかり盛り込んだ文章になってない、
伝統的なキーワードも表現を崩している」と言っていた。理解しやすい本にしようという意図で
あろうが、それはよろしくないとのことであった。ここでもキーワードなどをそのまま使用
することに森圭司は意義を見出していたのである。受験生にそれを要求することの功罪は
後に触れるかも知れない。

ベーシックノートがキーワード・キーセンテンス集だということだが、あの文章を真似することが
望ましいと森圭司は考えていたと思う。そして、同じように「密度の濃い文章」=キーワード
塗れの文章をあの本の2〜3倍書く事を求めていたとも思うが、実践した人はごく少数であろう。

確かにそれも大事だとは思うが、もっと優先すべき勉強が受験生にはあると思うけどなあ。
0033氏名黙秘2014/08/21(木) 23:46:40.38ID:???
>軸となる体系書を「マスター」するべく、最初は1冊の本を徹底的に読む

以前これを書いたが、わかりにくいかもしれないので、言い換えてみる。

@目次を全部言ってみてください。

A目次に現れない項目や見出しを言ってみてください。

B各項目の内容を言ってみてください。だいたいではなく、キーワードを外さずに言ってください。

C意味が分かってから@〜Bをやるのではなく、意味が分かる前にやってください。
 意味は、@〜Bができてから考えてください。

憲法では芦部だが、その他の科目ではどの本でこれをやるべきか。@〜Bの使用に耐えるものに決まっている。

なお、Cに関連して、森圭司の言葉が記憶に残っている。
「ここの意味が分かりません、これこれについてよく理解できません、と質問してくる受験生が多い。
では、その分からないところを正確に、何も見ずに、言えますか?と問いただすと、全く答えられない。
どこが分からないのか、その内容を言えることが大事なのだ。意味が分からないのに、記憶なんて
できないと言いたいのかもしれないが、それでは勉強したとはいえないし、試験にも受からないよ。」
0034氏名黙秘2014/08/21(木) 23:56:08.98ID:???
閑話休題。森圭司の個人的なことなど。


宇都宮大学卒業。慶応大学大学院。伊東乾の下で研究し連名で判例評釈を書いたことがある。
昭和60年司法試験合格。受験新報に合格体験記を執筆。セミナーの論文講座(小塚解説講義)受講。
真法会答練受講。受験5回で3回目にして短答合格、しかし翌年担当不合格、その翌年最終合格。
合格順位一桁、正確な順位は不明(なお立教卒の小塚征夫、江頭憲次郎、西田典之は論文7位)。
本名は林俊夫。新宿に法律事務所を構えていた。

あと「青い六法」シリーズに個人的な願望と真実の林俊夫を彷彿とさせるくだりが散見される。
なお、同書には、模範六法の択一用に改良する方法があったと記憶する。

女性コンプレックスがあるのではないかと思われる発言が目に付いた。もしかしたらマザコンかも。
0035氏名黙秘2014/08/22(金) 05:57:25.20ID:???
独身だったそうですね。
伊藤真が昭和56年司法試験合格だから、森先生の方が後だったんですね。
意外でした。
0036氏名黙秘2014/08/22(金) 21:42:14.56ID:???
基本書の暗記の必要性のことを書いた。目次や見出しや細項目の暗記、キーワード・キーフレーズの暗記
が必要である。森圭司の講義・パンフレット・合格体験記を通じて、常に声を大にして言及したことであったね。

ところで、拡げる方法・比べる方法に言及したが、基本書の特定の箇所を諳んじて、論文や演習書の抜粋
に拡げた場合には、それらもそ諳んじるべきだし、他の基本書と比べた場合には、その比べた箇所を諳んじる
ことも大事だと思いますが、いま思い返すと、そこまでは強く言ってなかった気がする。

というのも、後にスーパー論文講座を取り上げたら触れるかもしれないが、
司法試験の論文問題は定評のある基本書を書けるようになれば受かると言っていたからだ。

定評ある基本書「で」書ければ、ではない。定評ある基本書「を」書ければ、である。
つまり、選択した基本書を再現できるか、それに近いレベルになれば受かるという意味である。
しかも1冊でも十分だということであった。

ということは、芦部岩波を再現できるようになれば憲法は大丈夫ということになりそうだが。
若干の留保は必要かもしれないな。
ただ、徹底的に基本書を読み込むことの効用は想像以上にあるだろうね。
0037氏名黙秘2014/08/22(金) 21:43:40.27ID:???
森圭司は憲法の基礎講座で憲法判例に言及することはほとんどなかったですね。
なぜ基礎講座で判例を取り上げなかったのか、よくわからない。
しかし、学者の判例評釈の一端は取り上げていた。憲法のベーシックノートにも少し取り上げています。

森圭司の判例本は、判例の穴埋め形式のテスト集だったが、規範を暗記することに
力点があったことは否めない。ここでも判例を客観的知識として捉えていたように思う。

判例評釈は多くの文献を読まねば満足なものは書けない。調査官解説を受験生が
読む必要はない。受験には判例百選や重判で十分だし、その中の規範部分が大事だ。
と森の判例本に書いてある。確かにそうだが、現在では修正すべき指摘だろうな。

特に判例の規範が事案との関連で定立されることへの言及が基礎講座ではなかったし、
スーパー論文講座でも全くないとは言わないが、そのことに関心を持たせようという
意識は極めて希薄であったと言ってよいと思う。
0038氏名黙秘2014/08/22(金) 21:44:43.13ID:???
後年、森圭司が判例学習の方法として調査官解説をいつものごとくまとめたものを
提示していましたね。○○法学の基礎か、判例の基礎のどちらかだったと思う。
これを見て、森圭司の教育者としての限界の一面を見たと感じたことがありました。

たしかに調査官解説を読むことの意義は、強調しても強調しすぎることはない。
しかし受験生が関心を持つべきは、判例の規範の典拠や出典を知ることではなく、
事案との関連で規範を柔軟に修正することを身に付けるヒントを得るところに
あるのではないでしょうかね。

論文講座でこうした問題点が如実に現れていると思うが、今は控えておきましょう。
0039氏名黙秘2014/08/22(金) 21:46:40.31ID:???
憲法の基礎講座については、ここで終わる。思い出したら、追加しよう。

次は、刑法の基礎講座に少し言及してみる。
0040氏名黙秘2014/08/23(土) 19:12:37.86ID:???
判例講座のテキストは6科目全部持ってるわ。
これと要件事実の本は妙に思い入れがある。
0041氏名黙秘2014/08/24(日) 00:29:04.62ID:???
>>39
期待してます。可能であれば民法編もお願いいたします。
0042氏名黙秘2014/08/24(日) 09:49:15.17ID:???
さて、刑法の基礎講座だが、まず基本書について。

森圭司は大塚を基本書として使用していたし、基礎講座でも長くこれを指定していたようだ。
ただ結果無価値論を基本とする講義も行っていた。最初は前田を、次に山口の刑法概説を、
という具合に。

森圭司の自説は平野の結果無価値論だと言っていた。ただし、答案では大塚説とのこと。
時間無制限・答案用紙100枚なら、平野説で書くと言っていた。合格体験記では
大塚(福田)しか読んでないと読めるが、実はいろんなものを読んでいたようだ。

民法の松坂佐一の民法提要と同じく、大塚の刑法概説には、他説の引用、著書のページ数の
指摘があるからいいのだ、と言っていた。それがあるから、そこから他の基本書に拡げる
ことや、比べることができるからだ、とのことであった。憲法の芦部岩波には引用がない。
佐藤幸治にはあるから、現段階では佐藤幸治の「日本国憲法論」もいいかもしれないが、
無意味に分厚くなったような気がする。それはともかく、森圭司は、大塚と松坂がともに
名古屋大学に在籍していたことを指摘して、名大の特色と言っていたが、たまたまだろ
と内心思っていた。
0043氏名黙秘2014/08/24(日) 09:50:56.28ID:???
思い出したが、基礎法学では団藤「死刑廃止論」のさわりにも触れていたよ。

で、大塚の読み方だが、団藤の刑法(勁草書房)の非常に薄い本を取り上げていた。
刑法では、師匠の本の総論を比べる方法がも取られていた。
簡単に書かれた団藤の勁草書房本と大塚概説の項目の立て方の類似性などが指摘された。
師匠の、とはいっても、実は大塚は小野清一郎の弟子らしいが、
事実上団藤の弟子と言ってもよいことを聞いたのもこのころであった。

基本書を対比させる方法として、団藤の綱要を取り上げてもよさそうなものだが、
総論や構成要件論では取り上げなかった。違法性の定義の箇所で「形式的にも、
実質的にも〜〜〜」という言葉が森圭司のお気に入りで、こういう箇所が
団藤の文章の上手さがにじみ出ていると言っていた。基礎法学のときに、
団藤が岡山のお寺の家計で、漢文の素養があることを知っていたから、
そうかもと、ただ漠然と思っていた。

ちょっとついていけないと思ったことだが、大塚の顔写真を基本書に貼り付けて、
お辞儀をしてから読むんだと言っていたが、実践したと公言した人には出会わなかった。

大塚を拡げる方法として、まずは、福田・大塚の基礎演習と刑法の基礎知識である。
その他部分的に、対談・刑法総論も使われたが、これは森圭司の手書きが配布された。

福田と大塚がコンビであれこれ書いていることを、このとき知った。そして書くテーマも
2人の間で決まっているかのようであった。それは福田独自説・大塚独自説の箇所である。
だから福田・大塚の本を読むときは、福田執筆部分には注意が必要だということである。
0044氏名黙秘2014/08/24(日) 09:52:03.12ID:???
大塚概説を読みすすめて感じたことは、刑法こそもっとも基本書暗記に適する科目であろう
ということだった。キーワードがかっちりしていること、団藤説にもっとも近いこと、
必要な項目には触れていること、などである。罪数論や刑罰論も大塚概説が充実していて、
これだけで十分だなと思いましたね。実際そうでした。むろん混合的包括一罪などは
言葉としては挙げられていませんでしたが、それでも後で簡単に補えました。それだけの
基礎体力がスーパー基礎講座のわずか4ヶ月という短時間で身につきました。森圭司の
真骨頂が刑法にもっとも現れていたと思いました。

とにかく大塚概説を保安処分を除きすみずみまで読むのですから、理解が追いつけば
かなりの理解に到達します。当時もそうでしたが、行為無価値と結果無価値の対立など
有名論点に傾斜することなく、大塚概説の本文は全部読みました。むしろこうした対立などは
全体が終わってから力を入れればよいと、その前の基礎力の充実が大事だと言っていましたが
そのとおりだと思います。憲法では違憲審査基準論云々のまえに、基本書の知識を
すみずみまで習得することが先だと言っていましたが、同じことでありましょう。

井上英治の受験講座・続受験講座・受験教室・論証集などがもてはやされていました。
教室に持ち込んだ人がいて、それを見た森圭司が、それを読んではいけないとはいわない。
1日で読めるようにならないといけない。と言っていましたね。

そのとき、それを聞いた受講生が一斉に引いたような感じになりました。そんなこと
できるわけがないというオーラを出しながら。でも森圭司は言いました。
大塚概説をマスターすればそれができると。大塚を徹底的に頭に叩き込むべきだ。

そして例によって、目次・項目・キーワードキーフレーズを諳んじることができていますか、
内容を言えますか、言えるのなら受験本を読んでもいいですよ、あっという間に
読めるでしょうと。森圭司はわらってましたね。

でも森圭司のいうことは正しいと思います。
0045氏名黙秘2014/08/24(日) 09:53:09.94ID:???
このとき、雑談がさらに続きました。

自分は、いまでも研修所時代の友人から、この点について教えてくれ、とよく電話が
かかってくると言ってました。それはそれだけの知識をマスターしているからだ、
とのことでしたが、受験生の質問には答えず、弁護士仲間の質問には答えていたのか、
と内心思っていました。

それはともかく、森圭司は、いろんな分野について勉強していたと言っていました。
そして、各分野は一週間でマスターできると。基本六法プラスアルファをマスター
していれば、それは容易であると言っていました。やり方は、いつもの森圭司の方法
だと思います。軸となる定評のある本をマスターして、拡げたり、比べたりして
理解と知識を充実させると。

でも当時は一週間でそんなことできるものかなと思いましたが、基本書をマスターする
のが当たり前の勉強になっていれば、一応のマスターは可能です。例えば保険法など
の知識が必要になったとしても、いきなり条文を読み、概説書を森圭司流の視点で
読み進め、判例にも目を通す。総論的なことを勉強する段階で、民法との関連・商法
での位置づけがわかるので、目次というか項目もすっと頭に入ってくるし、どんな
議論が必要なのかも、予想がつくんですな。あとは、乱読・拾い読みで訴状や答弁書
を書けます。

ですから、森圭司の基本書マスター法は、受験のためにも、その後のためにも有益だ
と言ってよいと思います。
0046氏名黙秘2014/08/24(日) 10:03:19.18ID:???
そういえば、伊藤正己は、最高裁入りするまえに、学生用のテキストブックで勉強した
と書いていましたね。自分の関心分野だけやっていればいいというわけではないでしょうから。

法律書は、慣れると早く読めるようになりますし、またそうならないと困るでしょう。
ただ、受験という観点からは、やはり1冊を徹底的にマスターすべきです。

ベーシックノート刑法総論などを見ると、この本の使い方のところに、最終的には
このテキストの2倍のノートを作れというようなくだりがあったと記憶するが、
そのためにあれこれ手を広げる必要はないと思いますね。ベーシックノートを見ると
あちこちから抜粋してますが、その抜粋でもって、基本書を読めばいいわけです。

講義でも、刑法ではいろんなものに触れていました。その一部は、○○法学の基礎
などに収録されていますね。次は、森圭司が、大塚本以外にどんなものを講義で
取り上げたのかにも少し触れてみます。
0047氏名黙秘2014/08/24(日) 20:02:22.73ID:???
>受験生の質問には答えず、弁護士仲間の質問には答えていたのか、
>と内心思っていました。

ここワロタ


>受験という観点からは、やはり1冊を徹底的にマスターすべきです。

肝に銘じます
0048氏名黙秘2014/08/25(月) 23:17:45.44ID:???
刑法のベーシックノートについて森圭司は「幻の名著」と自画自賛していた。
その元となったレジュメの評判が良かったのだと思うが、幻とはどういう意味だろうか?
講義で配布されるのに、と思ってました。

それはともかく、各種の文献から引用・抜粋していて重宝するのは確かです。
あと基礎シリーズも、勘所の文章が並んでいます。

大塚を拡げるために行為無価値論の論考を、大塚と比べるために結果無価値の論考を、
そして前田を拡げるために前田刑法学の基礎を、という具合に位置づけることができるでしょう。

ちなみに、平野刑法概説は非常によくできています。よく出来すぎていて表現が圧縮されているので、
理解しづらい部分もあるかもしれません。が、森圭司は、山口厚を理解したいなら
そのまえに平野刑法概説を読みなさいと言っていました。

森圭司はこの平野刑法概説をテキストに指定したことがありました。
森圭司にしかできない選択でしょう。<結果無価値論の基礎>は主として
その時のレジュメが元になっているようですね。
0049氏名黙秘2014/08/25(月) 23:18:23.41ID:???
話しを大塚概説に戻します。

刑法の基礎講座のときにわかったのですが、森圭司は、刑法であれば
大塚になったつもりで、基本書をどのように書くつもりなのか、という視点で
講義していたと思います。

自分(=大塚)なら、総論をどういう項目立てで、どういう内容を盛り込んで、
書くのか、何を参照して書くのか、などなど。

小説の書き方という本が各種出版されていますが、「森圭司は基本書の書き方を
教えようとしていた、ただし特定の学説で、」という視点で基礎講座を振り返ると
森圭司の隠された意図、そして森圭司自身ももしかしたら自覚的でなかった意図が
見えてくるのではないかと思いますね。当時はぼんやりとしか感じてませんでしたが。

そのように考えると、森圭司の「発言」の意図・意味がわかってきたりしました。
さらに言い換えると、森圭司の「法的知識の整理法の特徴」も分かったりしました。

これらは慶応大学院時代の指導教授から教えてもらったのではないかと疑っています。
実際、整理法が上手いね、と褒められたことがあると講義中に吐露してました。
が、それは指導教授の指導内容に叶うものだったからではないかと。

そしてこうした視点や発想を、東大の主流派の基本書理解に応用したのが基礎講座であろうと。

ただ、こうした講義により、森圭司がさも東大卒であるかのような誤解を招いたでありましょう。
別に森圭司が嘘をついていたわけではないので大した問題ではありませんが。

いずれにしても、大塚に乗り移ったような気になって基本書を読むということで
書き手の意図をまるごと吸収しようとする気になりました。結果として、とにかく基本書を
丹念に読むことになりました。
0050氏名黙秘2014/08/25(月) 23:18:58.34ID:???
ちなみに、脱線気味ですが、そういう場合に有益なのは、

ア 東大系であれば特にいえることだが師匠筋の基本書を真似することが多い。
イ 基本原理に対する考え方が項目立てや目次に反映することが多い。
ウ 総論と各論のリンクや平行的整理(つまり、総論でこういう順序で論じているから、
  それに対応する各論でもその順序になる)。

などが初心者でも使える視点でしょうか。他にもありますが、個別の話になるので
該当テキストに触れたら言及するかもしれません。

なお、佐藤幸治みたいに初版はしっかりした体系書なのに(森圭司は初版で勉強した)
あとから、追加をしたために流れが悪くなったり、項目立てが乱れたりすることも
あることを、後に知りましたね。

ここで他の科目も含めて、基本書をどう書いているかという観点から、横に置いて参照すると、
森圭司の説明をなるほどと思うものを列挙してみると、以下のようなものはそれに該当します。

田中行政法→塩野行政法
平野刑法概説→山口刑法総論
平野刑法TU→内藤謙上中下TU
団藤総論→大塚総論
兼子民訴→新堂民訴(→梅本民訴)
0051氏名黙秘2014/08/25(月) 23:19:51.57ID:???
ただ、以下のものは必要ないと思いますね。必要ないと分かることに意味があるというか。
鈴木会社法→神田会社法
芦部憲法→戸波憲法
鳩山民法→我妻民法

あと、芦部が東大の講義で清宮・宮沢を指定教科書にしていたと聞いて
これらも参照してみたのですが、森圭司の言う体系や項目などは関連性を
見出すことはできませんでした。

また、鈴木手形法と前田手形法も体系という点では類似性がほとんどない
と言ってよいのではないでしょうか。

ただ、以上の師匠から弟子への体系書の書き方の継承ということは、学者になったような気分を
味わうだけであり、司法試験合格とは全く関係ないことであることは言うまでもありません。

唯一の効用は、基本書を書いた学者の意図を忖度しながらその基本書を読むことにより
初学者にありがちな基本書読みへの抵抗感が低減されたことでしょうか。

学者になるという目標を持ちながらも、実務家へと方向転換した森圭司にしかできない
指導であったろうと思います。個人的には非常に為になったと思いますが。
0052氏名黙秘2014/08/25(月) 23:22:18.96ID:???
基本書の書き方という視点に意識が向けば、当然事案の解決という視点を持ちにくくなる。
憲法でもそうであったが、刑法でも判例を扱うことはなかった。大塚概説に出てくる
判旨には触れるが、百選もケースも扱わなかった。基礎演習をときどき取り上げたが、
方法の錯誤で種々の分類をした以外は、この基礎演習でさえ問題には触れなかった。

森圭司にしてみれば、後に触れるかもしれないが、論文講座や択一講座で
基本書から考えて問題を解く、ということを何度も言っていたので、その前提知識を
身につける段階では必要ないということだったのかもしれないが、それでは
かえって身につかないような気がする。現に基礎講座終了直後で知り合いはみな
択一過去問にも大変苦労していた。ま、どの基礎講座を受講しても同じだったのかもしれないが。

ただ、基礎講座と並行して択一問題を少しでも解いていれば、その後が楽になったであろうことは否めない。
0053氏名黙秘2014/08/25(月) 23:23:30.22ID:???
択一に触れたので、森圭司の講義の特色について、ここで一言。

とにかく具体的な意味を分からせる、具体例で考える、ケースを踏まえて説明する
といったことはほとんどなかったと言ってよい。では、何をやっていたのかというと、
抽象的な表現をそのまま受け入れるように仕向けていたと言ってよいと思う。

日本の法律学100年の伝統を踏みにじって自分の言葉で説明するとは言語道断だ
と言わんばかりであったのも、基本書の表現を正確に再現できることを第一に考えていたからだと思う。

確かに、森圭司の講義を受けて得られたのは、法律的表現に慣れたこと、体系書を
読むことに抵抗感がなくなったこと、を挙げることができよう。だが、具体例に
応用すること、事例問題を解くことへの土台形成が、基礎講座時代にはあまり
できなかったような気がする。司法試験合格のための基礎があまり身についてなかったし、
択一・論文問題を解けるようになるためには、いまどんな知識をどのように身につけて
おくべきかという意識が欠落していたのであった。

基礎講座の時には大塚概説などを読み込んだが、やや明後日の方を向いていたのであった。
森圭司の言葉を真面目に受け止めすぎたのかもしれない。
非常に高尚なことをやっているように勘違いした面もあったと思う。

一部に森信者らしき取り巻きができたこともありました。
彼らのうち何人が合格していったのか、逆に何人が試験を断念していったのか、が非常に気になります。

択一・論文問題が解けない自分のどこに問題があるのかに、基礎講座の翌年に気がつくことになりました。
0054氏名黙秘2014/08/25(月) 23:24:46.04ID:???
基礎講座で取り上げた文献に話を戻しましょう。

今ではもう入手が困難になった基礎シリーズですが、行為無価値論、結果無価値論、
前田刑法学と刑法好きな者には、興味深そうなものが揃っていますね。

ここで登場する団藤、藤木、平野、山口、前田などが主として引用されています。
講義では、いくつかプリントの形で配布されました。

平野の論文集としては、犯罪論の諸問題(上)(下)、刑法の基礎、法学セミナー
に連載していた平野の刑法各論などです。

とくに平野の構成要件論の論文は、理解が深まりました。元は法学教室に掲載された
ものらしいですが、これは今でも読むに値します。

あと行為無価値論と結果無価値論の論文もレジュメで配布されました。
当時はなるほどと思いましたが、井田良教授の一連の論考が決定的となり、
平野説がやや不十分に見えますね。
当時は井田説など講義で触れられていませんでしたが、友人から聞いて読んだのですが、
目から鱗という感じでした。
0055氏名黙秘2014/08/25(月) 23:25:56.26ID:???
なお、森圭司は平野の犯罪類型という言葉の意味を誤解していたのではないでしょうか。
ベーシックノートを見ても、そう思います。平野は構成要件から主観的要素を除外し
客観的なものに限定するが、故意過失を含めると犯罪類型になると言うが、
その体系的位置づけに関して、どうかなと思います。誤想防衛の処理に関して
平野説と違うことを平野説として説明してましたね。

あと、前田の可罰的違法性論について、前田の刑法総論講義のテキストをまとめたもの
を配布しました。前田の得意分野であり、また判例の立場でもあり、大塚の
該当箇所とそっくりそのまま入れ替えても矛盾は生じないものでしたね。
後に前田を読んだのですが、それなりにわかりやすかったと記憶しています。

その他、町野、内藤、藤木を引用していましたが、基礎講座の段階では大谷を引用
することはありませんでした。大谷説は邪道だという感じのことを言ってましたが、
平成元年の中止犯の要件と法的性質の関連性を論じる論文本試験問題では、
大塚概説にその説明がないので、ちゃっかり大谷説をそのまま書いてますね。
大塚で受かるというのなら、大塚に記述がない場合にどうやって大塚から考えるのか
を本当は説明すべきなのに、他の本をそのまま答案にしてしまうことに問題があると
思いましたね。

なお、罪数論や刑罰論は大塚概説を読み飛ばしただけで終わりましたが、科刑上の一罪
については、妙に丁寧に説明してたのを覚えています。
0056氏名黙秘2014/08/26(火) 22:54:08.87ID:???
>基礎講座と並行して択一問題を少しでも解いていれば、その後が楽になったであろうことは否めない。

今は入門・基礎講座と並行して短答を解くことが推奨されているので、
これはちょっと驚きました。

>とにかく具体的な意味を分からせる、具体例で考える、ケースを踏まえて説明する
> といったことはほとんどなかった

次々と具体例を挙げて説明する伊藤真及び系列講師陣とは対極に位置する指導法ですね。
0057氏名黙秘2014/08/30(土) 11:16:24.67ID:???
ここ数日、非常に忙しかったのですが、再開します。

森圭司の刑法各論は大塚概説を読むことが中心で、その都度コメントするスタイルでした。
ただ大塚概説の注までしっかりと講義で読んでました。読むだけだねと揶揄されることもありました。

コメントは、ネタとか冗談とか、必ずしも法律の理解に資するような内容でなかったり
することが多かったです。森圭司が肩の力を抜いているといった感じでしょうか。

当時、法廷で相手方弁護士の態度に憤慨しているということに言及したことがありました。
民事らしいのですが、傍聴席にその弁護士の依頼人が来ているらしく、
その依頼人の代わりに、森圭司の依頼者をどなりちらしたらしいです。
それでその弁護士の依頼人の溜飲を下げようとしていると。まだそんな弁護士がいると。
なんだか森圭司が話しながら、徐々に興奮気味になっていくような感じでした。
あんな態度はよろしくないと。
ただ、そのとき裁判官は何も言わなかったのかな?とも思ったのですが。
0058氏名黙秘2014/08/30(土) 11:17:57.72ID:???
事案は言わなかったのですが、森圭司の依頼者は不法行為の加害者で賠償請求を受けているのかなと
思いましたね。そのとき、森圭司は、自分は要点主義だと、必要な事実だけを主張立証するだけだと。
それ以外のことは、法廷では一切触れないと。それで十分だとね。
だからこそ、訴訟の結果に影響しないことに傾注している弁護士の態度に憤慨する気持ちが
沸き起こったのかと思いました。

このとき、さらに雑談が続きました。
自分は、刑訴の講義では平野説などを教えているが、自分は職権主義だと。団藤説だとは
いいませんでしたが、当事者主義のいいところは分かるが、現実はそんなものじゃないと。
刑事裁判でロクでもない被告人を見て、そういう感じを強めたと言ってましたね。
その職権主義だという考えは、司法修習生時代にすでに思っていたらしいです。

団藤「我が心の旅路」で団藤が当事者主義の意味が分かったエピソードを森圭司が披露
していたのに、森圭司が信仰告白のように職権主義だと言ったので、非常に記憶に残ってます。
0059氏名黙秘2014/08/30(土) 11:18:48.93ID:???
例によって、論文集等からの抜粋が配られましたが、刑法各論の基礎を見れば分かるように、
(民法でも同じですが)、正直に言って、森圭司の関心ある論点について配布され、
必ずしも試験との関連で重要度が勘案されいるわけではないと思います。

当時は、司法試験合格のために、いま何を勉強すべきかということは、頭では知っていても
具体的に、どこをどのように掘り下げるべきか、何が要らないのか、に注意が向いて
いませんでした。いわゆる学者的勉強とでも言いましょうか。
ただ、理解は初学者の段階で、いま思い返しても、かなり深まっていたと思います。

特色は、団藤・大塚・藤木・福田といった行為無価値グループと、平野・前田といった
結果無価値グループが主として取り上げられました。前にも触れたかと思いますが、
平野は、法学セミナーの刑法各論の連載です。

数年前、松尾浩也の「来し方の記」という法学教室連載のインタビュー集を読んだとき
平野は、佐伯千仭の本・論文に傾倒していたということが分かりました。
森圭司の講義では、佐伯−平野ラインの学説の流れには触れませんでした。
これは非常に興味深いものですが。団藤−大塚と平野・藤木−前田というラインに
加えて、なるほどそうかと認識が深まりましたね。最近の話ですが。
ただ、何度も言いますが、試験には関係ありません。
0060氏名黙秘2014/08/30(土) 11:19:38.09ID:???
そういえば、ベーシックポイントのような穴埋めを配布したときに、馬鹿にされたと
講義で言っていたこともありました。こんなレベルの低いことをやっているのかと。

森圭司は、それじゃこのレベルをマスターさせているのか!と逆に問いたいと言って
ましたね。勉強したつもりということを戒めているというように理解しました。

藤木理論が判例に影響したことを知っても、基礎レベルをマスターしないことには意味がない
のですが、現実には、森圭司の講義は面白ので、ついつい忘れてしまいますね。
自分はそうでした。

ところで、藤木理論は過失犯における危惧感説が有名ですが、その他にも賄賂罪など、
いくつか判例・実務に影響を与えたものがあります。単に判例の論理を追認するだけの学者とは
格が違いますね。

刑法各論については、刑法総論に比べると単調な講義であろうかと思います。森圭司も
興味を持たせようと、面白い話をするなど講義に変化を持たせていました。

毎年、刑法各論が終わる頃は、クリスマスの季節でしたね。すぐに超短期マスター講座
(刑訴・民訴)が始まります。
0061氏名黙秘2014/08/31(日) 11:05:19.16ID:???
超短期マスター講座・刑事訴訟法についてです。

森圭司流の刑訴の総論の整理方ですが、まず驚いたのは、
@刑事、A訴訟、B法に分解し、@ABのそれぞれに総論の議論を位置づけるやり方でした。
それは我田引水であるかのような気がしてました。
いまベーシックノートを見ると当時ほど明瞭な形では残っていませんね。

森圭司は刑訴の基本書について迷いがありました。

当初は、平野・法律学全集を使ってました。
平野は古すぎて最近の議論や判例をフォローする必要があるのが残念なところです。
ベーシックノートで補充すればいいわけですが。

平野が今尚優れいているところは、なんといっても総論部分です。
森圭司も舌を巻いていましたが、政策的基礎と理論的基礎という整理法がピカイチです。
このうち政策的基礎の整理法が各論に反映されているのですが、
端的な表現、総論と各論のリンク(ここは森圭司の指摘がないと気づかないかも)、等々
森圭司好みの総論であることは間違いないです。
森圭司も興奮してましたね。興奮したのは、他に三ヶ月民訴だそうで、徹夜して一気に読んだとも。

それはともかく、暗記するほど読むべしと言ってました。
あと、平野のこの総論部分の参考書として、刑事訴訟の基礎理論を勧めてました。
刑事訴訟法学の基礎にもいくつか収録されています。あとより入門的なものとして
平野の刑事訴訟法概説も総論部分に関しては、分かりやすい説明があります。

刑事訴訟法は、平野と東大出版会の井上・三井の判例集だけでもいいような気もします。
0062氏名黙秘2014/08/31(日) 11:06:02.64ID:???
ただ、この年度では、森圭司は、松尾の総論がよければこれを使いたいと言っていたのです。
総論以外は、基本書として使用するに足りる内容と体系性を備えている、と。
しかし、総論がダメだと。非常に残念がっていました。

総論重視の森圭司ならではのコメントかと思うのですが、その道の通にとっては
松尾の凝縮された表現、というか非常に目配りされた文章は、読み込んでいくと
その多方面にわたる配慮が垣間見えて、読み応えがあると言えるでしょう。

司法試験の合格体験記に松尾が登場するときは、大抵肯定的に評価していましたね。

上にも触れた松尾「来し方の記」には、法学教室の演習欄を2年ほど松尾浩也が
担当した時期があったようです。井上正仁だったか、非常な名文で毎月楽しみに
していると言っているくだりがあったかと思いますが、単なる仲間褒めではない
のではないだろうと、そのときは思いました。松尾刑訴上下を読んでいましたから。

ただ、現在バックナンバーを探す暇がないので未見ですが。基本原理についての解説が
メインだとのことです。
0063氏名黙秘2014/08/31(日) 11:07:37.82ID:???
森圭司の講座では、田宮裕の刑事訴訟法が出るに及んで、これが基本書の決定版となりました。

それまでは、法学教室の「クラスルーム刑事訴訟法」は読み物にすぎず、
有斐閣の緑本である「刑事訴訟法入門」は良い本だが、基本書とするには穴がありすぎ、
宗文館の「刑事訴訟法講義案」はレジュメ集にすぎず、これまた基本書にはできない
とのことでした。

幸いにして、田宮は多産型なので、参照できる田宮説の論文などが沢山ありますので、
森圭司も田宮の論文を、刑事訴訟法学の基礎で結構引用してます。

田宮説に対しては、英米法重視だとか、刑事手続の病理現象に焦点を当てすぎているとか、
批判的な見解もありますが、アメリカ法に近づけて刑事訴訟法の解釈論を展開した
という点では、見るべき点もあろうかと思います。ただ、田宮説って意外と改説が
多いのです。一事不再理などは、当初の見解とは別の地点に立っていたり。
改説とは言わず、修正と言ったりしてますが。プライドが高いのでしょう。

ただ、試験的には田宮説でも何ら問題はないと思います。判例を押さえていればですが。
0064氏名黙秘2014/08/31(日) 11:16:56.57ID:???
なお、渥美説に関しては、あまり肯定的ではありませんでした。

あまりにも独自説すぎて、戦後の刑事訴訟法学の伝統からかけ離れすぎているからです。
何しろ、弾劾主義・当事者主義・起訴状一本主義・二重の危険の禁止効など、
通説とは定義自体が違うのですから。しかも弾劾的捜査観は職権主義だ!と渥美が糾弾するに及んで
大方の刑事訴訟法学者はついていけないと思ったことでしょう。

ただ、そうした定義は、アメリカにあると聞いたことがあるのですが、だとしたらそれを
翻訳して欲しいと思ったものです。確かにドイツ流の定義を反故にできないという事情も
あるのかもしれません。安冨潔教授が、渥美に習ったことがあるらしく、渥美説は決して
不合理な説ではないと言っていましたね。手続単位説は人単位説とは全く違いますとか言って。

森圭司は、渥美の昭和30年司法試験1位合格は、自称ですね、と言っていましたが、
渥美のスタンスを認めたくないという気持ちがありありと伝わってきました。
なお、渥美の優秀さは、植松正が渥美の名を挙げて、受験新報の巻頭言に書いています。
0065氏名黙秘2014/08/31(日) 11:18:31.06ID:???
試験対策としては、刑訴と判例はとくに切っても切れない関係にあるでしょう。

例によって、森圭司は講義で判例を取り上げなかったので、刑訴を抽象的に勉強することになりました。
結局、1週間かけて外観しただけで終わり、とても理解し得たという段階にはいたりませんでした。

捜査・訴因・伝聞など主要テーマをベーシックノートで理解するのはやや困難ではないでしょうか。
ただ、あの限られた講義時間ではそうだというだけのことでして、森圭司が判例の勉強が不要だと
言っていたわけではありません。

刑訴の判例については、百選と判例教材を丹念に読みましたが、刑訴の理解には判例を読み込む
ことが極めて有益です。この点は憲法とも似ていますね。

最初は判旨の規範部分中心だったのですが、事案とその評価部分が大事だと分かり、そこを
集中的に読んだこともありました。

刑訴は面白かったので、その後実務家の本も結構読むことになりましたが、これは森圭司の講座とは
直接の関係はないので触れませんが、非常にためになることは間違いありません。
0066氏名黙秘2014/08/31(日) 12:05:33.12ID:???
つぎに、超短期マスター講座・民事訴訟法に移ります。

流石に民事訴訟法を大学院で専攻していただけあって、説明がシャープであったと思います。

ここでも、@民事、A訴訟、B法に分解し、それぞれに説明をドッキングさせる
ことが最初に行われましたが、やはりやりすぎという感じは否めませんでした。

民訴の基本書ですが、講義では取り上げられませんでした。どの基本書がどうかという
概略の説明に終始し、基本的にはベーシックノートを読み上げ、ときどきコメントを加え、
あと論文や基本書の抜粋レジュメを配布しました。

こういう方式でも何とかなったのは、ベーシックノートが現在でも入手できるかどうかは
わかりませんが、森圭司の執筆した本の中でもっとも出来がよいからだと思います。

全体像を掴み、明確な定義を憶えると、民訴は一気に頂上に近づくといった感じがあります。
0067氏名黙秘2014/08/31(日) 12:06:21.55ID:???
今思い返すと、この講座を通じてベーシックノートの文章を徹底的に暗記しようとしたことにより
苦手意識を持つことなく勉強できたのだろうと思います。実際この講座を
終えた段階で、兼子、三ヶ月、新堂の各基本書を読むのに抵抗感は全くありません
でしたし、答練の解説や各種の演習書を乱読して、民訴は得意科目になりました。

ベーシックノートの暗記は、刑訴よりも効果があると思います。
というのも、民訴は刑訴よりも事案を具体的に分析して当てはめる作業が圧倒的に少ないからです。
抽象的に学説を勉強するだけでも、かなりのレベルに到達するでしょう。
本来は褒められたものではないですが。

なお、民訴に関しては、またしても講義では触れないので、個人的に判例百選を
古いものも集めて、読みました。ただ民訴百選の初版は読みにくいですね。
あと争点効を肯定した地裁判例が収録されたりして興味深いものもいくつかありました。
ただ、ベーシックノートの知識を前提に事案の概要を読んでいったので、
民訴の事案分析がある程度できるようになりました。試験で困ったことはありません。
過去問を見ても、百選レベルの事案ばかりです。ひねりもお約束といった程度に分かりやすいものですね。
0068氏名黙秘2014/08/31(日) 12:07:10.05ID:???
民法と民事訴訟法の関係について、森圭司が指摘していたのですが、
民法からの独立を強調した三ヶ月説と、民法に従属することもやむなしとした兼子説が対立し、
各論点における学説がどちらに近いのかを考えてみると、理解が深まったような気がしました。

エキサイティング民事訴訟法という法学教室に連載された鼎談集を読んで
あとからわかったことですが、三ヶ月の論文集のタイトルが「民事訴訟法研究」
兼子の論文集のタイトルが「民事法研究」であることを知り、なるほどと思いましたね。

それから、森圭司は要件事実も得意だと言ってました。
が、実際に詳しく勉強することはありませんでした。研修所でやるものだからです。
ただ、消費貸借契約を例にして要件事実を説明しました。
この説明の過程で、請求原因事実と抗弁事実、抗弁と否認などが理解できたので
そんなに民事訴訟法に苦労した記憶はありません。
0069氏名黙秘2014/08/31(日) 12:08:12.22ID:???
新堂が利益較量的方法論に基づいて解釈論を展開しているということはわかったのですが、
この点に関して後日以下の文献に目を通す機会を得ました。

小山昇「新堂幸司著『民事訴訟法』」 法学協会雑誌93巻1号

これは昭和51年の小山による新堂民訴の書評なのですが、単なる書評の域をはるかに超えて、
新堂民訴の解釈方法論の1大特色となっている利益較量について詳細な検討をしたものです。
逐一新堂民訴から抜き出してコメントしていますので、論文に匹敵するようなものです。
27ページくらいあると思います。

最初に見たときは、よくわからなかったのですが、憲法の比較考量論を
勉強したあとによくわかるようになりました。比較考量とは対抗利益を単に比べるだけでは
ないわけです。当たり前ですが。比較の視点・指標・メルクマールといったものを
明示するとともに、どれを重視するのかを基本原理に対する姿勢や価値観に
基づいて決定することが不可欠なわけで、しかも事案分析と事実評価抜きには
できません。憲法ではお馴染みですが、よく考えたら他の科目でも同じことですね。

ちなみに憲法上の比較考量は、浦部法穂の論文がもっとも手頃かと思います。
勁草書房の「違憲審査の基準」という本に収録されています。これは非常にわかりやすいものでした。
なお余談ですが、セミナーの矢田誠は、この浦部説による審査基準を採用してました。

民法上の比較考量となると星野英一が第一人者ですが、星野の「民法判例研究第1巻・第2巻」を見ても、
比較考量の枠組みや方法論を明示しつつ論じているわけではなく、
その文面の背後に働く比較の論理を忖度する必要があるという意味では、やや難しい文献でした。
同じことは新堂「判例民事手続法」にも言えます。注意して読むと、見えてくるようなものですが。
むろん、受験でここまでやる必要はないです。
0070氏名黙秘2014/08/31(日) 12:11:22.39ID:???
ちょっと話が前後しますが、刑法の中山研一が他の刑法学者の学説を解説する論文や本を
いくつか書いていますね。図書館で読んでみたりしたのですが、まあまあ見通しができる
という意味では有益でしたが、当然のことながら趣味的領域に属するものです。

参考までに挙げると、

◎中山研一「刑法の機能的考察方法とその問題点--平野竜一著「刑法の基礎」を読んで」
  法学論叢81巻2号(昭和42年)

これは平野の刑法総論TUの元となった法学セミナーの連載記事を批評したものです。


◎刑法諸家の思想と理論 (刑事法研究)

これは「第7章 福田刑法学の一考察」と「第9章 藤木教授の刑法学―『刑法講義総論』を素材として」が
興味深く読めました。
0071氏名黙秘2014/08/31(日) 12:12:07.74ID:???
◎刑法の基本思想 (成文堂選書)

これは「第6章 団藤博士の刑法思想」と「第7章 平野博士の刑法思想」を中心に読みましたが、
思想というタイトルだけあって、解釈論や団藤説・平野説の理解に直結するようなものではない
ような気がしました。確かに学説の背後には、当該学者の思想というか政策的価値判断があるとは
思いますが、それを強調するだけではイマイチであり、その思想が学説の内容や構成にいかに
反映されているのかをもっと明瞭にしてほしかったと思います。それが書かれていないわけでは
ないのですが、全く不十分であろうかと思いました。上記2つもそうですが、中山にはそうした
傾向が強いのかもしれません。イデオロギー批判が得意そうな気がしました。ソビエト刑法に
精通していただけあるな、といえば皮肉でしょうか。


◎大塚刑法学の検討(成文堂)

これは、大塚の「犯罪論の基本問題」を批判的に検討したものですが、大塚説に逐一批判する
形式ですが、必ずしも大塚説自体の理解が深まらないのが難点です。


森圭司を真似して、こういう文献にも手を伸ばしたりしましたが、ここに書かれているようなことは、
森圭司は講義では触れませんでした。その意味では、森圭司は抑制的であったとも言えます。
0072氏名黙秘2014/08/31(日) 13:18:43.51ID:???
森圭司の講座受講生だけど、上記「判例軽視」的な批評は、該当年の講座の話であって、
俺が受けた時は、きちんと「判例」を講義で取り上げてたよ。

「判例百選」は「受験生向け」につくられたもので、年間何百以上の判例から、そして何十年もの中での「ベストセレクション」。
「知ってて当然」だから、自分でやれって。
「判例は、何年のものか?最高裁なら大法廷か小法廷か、判決か決定か。何年何月何日。民集刑集の巻・号まで覚えろ」
「最高裁裁判官一覧」は要チェックで、何年の第何小法廷の判事といえば誰か?というところまで、こだわってたよ。

講義内容が俺が聞いてた時よりは、古く感じるんだけど、「何年度の講座」なのか明記して欲しい。

森先生は「基本的に同じ内容の講座はやらない」「毎年講座内容を変える」って言ってるし。

ちなみに、俺が、受けたのは全部セミナーの「通信フェア」で買った通信講座。
・H13年 スーパー基礎講座 基礎法学(推奨・団藤「法学の基礎」、ハイレベル・星野「法学入門」、百人に一人「ラートブルフ法学入門」)
・H12年 スーパー基礎講座 憲法(指定基本書「芦部岩波」)
・H12年 スーパー基礎講座 刑法(指定基本書「平野概説」)
・H12年 スーパー基礎講座 民法(指定基本書「ダットサン」)
・H15年 スーパー商法講座 会社法
・H15年 スーパー商法講座 手形・小切手法(推奨前田庸)
・H15年 スーパー刑訴超短期マスター (講座前後に基本書「田宮」「百選」を読め)
・H15年 スーパー民訴超短期マスター (講座前後に基本書を読め。推奨「伊藤眞」、「上田」でもいい、本格派なら「新堂」)
・H19年 スーパー民訴超短期マスター (指定教材「BN」)(推奨基本書、「上田」、「伊藤眞」。本格派なら「新堂」)
・H19年 スーパー商法講座 会社法(推奨基本書「神田」おすすめ。後は、「江頭」「前田」「龍田」)
・H19年 スーパー論文講座 憲法(推奨基本書「岩波芦部」、高橋和之「立憲主義と日本国憲法」)
・H19年 スーパー論文講座 行政法(推奨基本書「塩野」「原田」)
・H19年 スーパー論文講座 刑法(指定基本書「西田」推奨「山口」)
・H19年 スーパー論文講座 民法(推奨基本書「内田」)
・H19年 スーパー論文講座 刑事訴訟法
0073氏名黙秘2014/09/01(月) 23:32:18.63ID:???
>>72
もっと講座の中身を書いて欲しい
0074氏名黙秘2014/09/07(日) 12:40:03.55ID:???
>>72
>森圭司の講座受講生だけど、上記「判例軽視」的な批評は、該当年の講座の話であって、
>俺が受けた時は、きちんと「判例」を講義で取り上げてたよ。

当方が感想を思い出すままに書いているのは、「基礎講座」についてであり、
「論文講座」「択一講座」についてはまだ本格的に書いておりませんが。

基礎講座での判例の触れ方は、基本書やベーシックノートに書いてあるものを読むだけでしたね。
それは判例の結論を指摘するだけであり、事案の分析などは行いませんでした。
基礎講座で判例の事案分析を行うことがあったのですか?
意見が分かれるでしょうが、
判例の結論を読むだけなら判例を「きちんと取り上げた」とはいえないと考えております。
森圭司が判例分析を取り入れたのは論文講座ではなかったですか?
0075氏名黙秘2014/09/07(日) 17:23:26.61ID:???
>>74
>意見が分かれるでしょうが
っていうんであれば、私が何を言おうが、あなたの受けた「基礎講座」では、「判例の結論を読むだけだった」
で終わりの話であり、これ以上答えようもない。

憲法の「基礎講座」なら、事前に「事案と判旨」のレジュメを配布して、その後に該当択一過去問を解く。って
パターンが一般的だった。
「憲法学の基礎U<7版>」より、
◇愛媛玉串料判決(1) 最大判平成9.4.2p109(配布レジュメNo55.56)
◇事案 愛媛県知事らは、…。最高裁は13対2で本件支出が、憲法20条3項、89条に違反すると判示した。
◇判旨1◇判旨2◇判旨3 ※前田徹生・平成9年度重判p10参照

p115問題〔平成11年問18〕(配布レジュメNo57)
次の文章のアからオまでの( )内に後記AからGまでの文から五つを選択して挿入し、これを完成させると、(略)


◇報道の自由と法定写真撮影の制限p145(配布レジュメNo65)
◇事案 北海タイムス釧路支社報道部所属のカメラマンは、…ある事件の「公判開始後」…「裁判長の許可
のないまま」…「壇上から被告人に向けて写真1枚を撮影した」
・・・「最大決昭和33.2.17」―(「」はアンダーライン指示)
◇決定要旨 新聞が真実を報道することは、憲法21条の認める表現の自由に…
 しかし、
 そして、
 ところで、

問題〔昭和51年問4〕p146(配布レジュメNo66」
 次の文章を「およそAしかしBそしてCところでD」と並べると、法廷における写真撮影のと報道の自由に関する
最高裁の判決分となる。

>森圭司が判例分析を取り入れたのは論文講座ではなかったですか?
「刑訴超短期マスター講座」でも、必ず「判例」を取上げて事案(ケース・争点)からやってました。
0076氏名黙秘2014/09/07(日) 22:52:23.84ID:???
>「判例は、何年のものか?最高裁なら大法廷か小法廷か、判決か決定か。何年何月何日。民集刑集の巻・号まで覚えろ」
> 「最高裁裁判官一覧」は要チェックで、何年の第何小法廷の判事といえば誰か?というところまで、こだわってたよ。

このあたりはいかにもマニアックですね
0077氏名黙秘2014/09/15(月) 22:37:38.37ID:???
>>75
芦部岩波本と森圭司の芦部憲法学の基礎だけなら、判例や短答過去問をやる時間は捻出できる
というわけですね。そうかもしれません。当方が受けた憲法の基礎講座は、芦部と佐藤幸治の
全部を森圭司が読み、部分的にレジュメを切ってました。刑訴は平野を使う講座と田宮を使う
講座の2つを購入して聞きました。平野も田宮も全部読み上げましたよ。ベーシックノートは
全部を取り上げず、部分的に(他のレジュメと同じく)読み上げたのです。

判例の勉強と言えば、昔から憲法と刑法と相場が決まっており、司法試験もそれらの百選を読めば
事足りるという感じでした。個人的に民訴の百選も潰したが、そこまでは試験には必要なかったかも。

ともかく、当方が受講ないし購入したのは、そこに上がっている基礎講座・論文講座よりも
5年から10年くらい前のものであり、基本書や演習書を重視する講座内容であって、
判例のレジュメを切ることは一切ありませんでした。前にも書きましたが、基本書や
ベーシックノートに出てくる判例の結論を読むだけでした。

ところで、判例の話が出たので、事案分析に関して森圭司の論文指導に良い点と悪い点が混在
していると感じられるので、方向転換をして論文講座について言及してみることにしましょう。
0078氏名黙秘2014/09/15(月) 22:38:11.00ID:???
森圭司の論文指導の特色を思いつくままにあげてみると、

@基本書の記述を答案にそのまま引用している。
Aその部分を穴埋めテストの形式にすることが多い。
B問題分析が論点抽出方式となっている。
C判例の事案との対比による判例の規範の射程距離からの問題分析はない。
Dいわゆる論証パターンや人権パターンなどとは異なる答案が散見される。
E明らかに問いに答えてない(出題意図から外れている)と思われる答案もないではない。

といったところでしょうか。まとめると、法的思考よりも法的表現を大切にする指導方法だ、
ということになろうかと感じられましたね。順に、感想を書いていきましょう。
0079氏名黙秘2014/09/15(月) 22:39:02.22ID:???
>@基本書の記述を答案にそのまま引用している。
>Aその部分を穴埋めテストの形式にすることが多い。

ここなんですが、森圭司の答案の一大特色となっているのが、ここでしょう。
森圭司は、基本書が書ければ試験には受かるというのが口癖でした。だが、基本書を書く、つまり
基本書の内容をほぼその表現のまま再現することは、大半の受験生には不可能なことだと思いましたね。
だれがそんなことできるのだろうかと。

ところが有力な実務家は基本書を再現できるほどに読み込んで暗記している人がいるんですね。

元判事で北大教授になった渡部保夫という人の司法試験合格体験記を読んだことがあるのですが、
試験の前の晩に、刑法の基本書の最初から最後のページまで想起できたと書いてありましたし、
森圭司も似たようなことができると言ってましたね。伊藤栄樹・河上和雄もそうだろうと推測します。
そのほかにも、同じような事を言う人は何人かいました。
坂井芳雄は鈴木=前田の手形法(法律学全集)を暗記するまで読みなさいと言っていました。
早大の鈴木重勝教授と石丸俊彦判事は、基本書を読んだら無地の紙に昨日勉強した内容を何も見ずに
書いてみなさいと指導したりしてました。

ただ大昔の薄い基本書ならいざしらず、現在のような分厚い基本書で同じようなことができるのか
疑問ではあります。が、できるはずだとのことでした。
0080氏名黙秘2014/09/15(月) 22:39:48.87ID:???
基本書を書けること、ないしは基本書を暗記すること、さらには基本書を諳んじること
が出来ればいいのですが、難しいのが現実です。ただ論証暗記が今尚行われているようですから、
(一般的でないとしても)、論証暗記の代わりに基本書暗記なるものがあってもいいのかもしれません。

それはともかく、仮に基本書で書けるようになったとすれば、それでいいのかというと、
必ずしもそうではないところに森圭司の論文講座の功罪があります。

森圭司の答案を見ると分かるが、とにかく基本書や演習書などの抜粋のような箇所が沢山あります。
基本書を書ければ、答案も書ける、従って司法試験に受かるという短絡的な思考をしがちです。
現に、そういう受講生が多かった感じです。

ここから、
@ふだん基本書の暗記だけを行う思考停止状態であることに無自覚な受講生が発生します。
A試験問題を見たときにどこかにネタとなる文献があると思い込む受講生が発生します。
B基本的な知識を前提としてそこから思考を展開する姿勢に欠ける受講生が発生します。
C判例の事案との対比などぜず、判旨も学説の一種と考える受講生が発生します。

何も森圭司の論文講座に限ったことではないのですが、森圭司の答案とその指導が、
こうした傾向を助長した面があったことは否定できないでしょう。

基礎講座の内容と相俟って、法的思考ではなく、法的表現に拘る傾向を助長する面もあった
ということを付け加えておきます。
0081氏名黙秘2014/09/15(月) 22:40:48.70ID:???
続きは後日としましょう。
0082氏名黙秘2014/12/29(月) 17:47:16.63ID:pW3A101V
続き
0083氏名黙秘2014/12/29(月) 23:41:45.52ID:nRVeje/c
その辺を補完していたのが、小塚先生の講座だったんじゃないの?
0084氏名黙秘2015/02/14(土) 21:42:28.78ID:EP65yED6
トップ
0085氏名黙秘2015/03/29(日) 20:00:30.51ID:/zafxgvx
なんか中国ヤダ
0086氏名黙秘2015/07/26(日) 22:32:58.56ID:WMAw2s6n
台湾の超人気グラビアモデル、アリエル・チャンの元カレが撮影した
プライベートセックス動画が流出で、台湾全土の男性が騒然としてホクロ等から本人確認。
どうも間違いなく本人の猥褻ビデオだったようえす。
(無修正なので閲覧注意)
http://www.tokudane24.tk/ariel2015.html
0087氏名黙秘2015/07/30(木) 21:21:53.51ID:k6JawI0K
フーターズコンテストジャパンで二位だったSerinaが、
黒人に輪姦されてる動画が流出したようですね。
鮮明だし最後は狂ったように泣きながらイキまくってる。
ちんこたった。
http://topic123.xyz/black_sex_046.jpg
0088モニター生H2015/08/10(月) 00:14:31.99ID:Q9lYfR6K
森先生とは、忘年会の二次会で、夢がMORIMORIを歌った後で、一緒にコントもやらさせていただいて、良い思い出でした。
0089氏名黙秘2015/08/13(木) 21:59:27.56ID:EbhHs/OD
>>88
長谷川先生、久々に飲みに行きませんか?
0090モニター生H2015/08/14(金) 23:13:45.72ID:HPT41yKq
>>89
行きましょう。どこ住みですか。
0091氏名黙秘2015/08/17(月) 12:14:33.63ID:up5Psx3Q
自分も長谷川先生と飲みに行きたいです
自分、関東住みです
0092912015/08/18(火) 12:19:44.45ID:p5LGv7F9
あげ
0093氏名黙秘2015/08/30(日) 23:25:53.40ID:UMTCS/FU
SEALDsデモ参加してきました。最高でした。打ち上げも楽しかった。
0094氏名黙秘2015/08/31(月) 00:19:22.82ID:upgtsCq4
許認可申請は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

内容証明郵便は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

民事法務は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

借金問題は?行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

離婚問題は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

遺言・相続は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

後見業務は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

交通事故は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

会社設立は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

商業登記は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

労働問題(就業規則作成、残業代請求)は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

会計記帳税務申告は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

知的財産は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !

男女関係修復は? 行 政 書 士 に お ま か せ あ れ ぇ 〜 い !
0095氏名黙秘2015/10/19(月) 10:46:58.79ID:NykwGjj5
年末飲み会の案内ギボン
0096元モニター生H2015/11/16(月) 13:10:06.15ID:mJ8v450i
>>95
12/23に追悼飲み会の開催を計画しています。
荒らし防止のため事前予約制とします。
メール本文に次の合い言葉を入れてください。

パーリーピーポー!パーリーピーポー!
あいつはお鍋大好き鍋パーリーピーポー
年に一度ある誕生パーリーピーポー
君は何パーリーピーポー?
僕は森先生パーリーピーポー
0097氏名黙秘2015/11/16(月) 23:14:04.59ID:I1kd5NeK
中本裕之(なかもと ひろゆき)元弁護士(新62期)=長文=奈良県について(2015年10月)

性別: 男、未婚
年齢: 36歳以下(昭和54年4月2日以降生れ)←←←←←←←←New!
国籍: 日本人?(本人談: 2012/03/26 パスポート取得)
住所: 奈良県生駒郡平群町(へぐりちょう)?
最寄駅: 近鉄・生駒線 竜田川駅?
実家: 不動産を所有する資産家の分家
家族: 実家で母親と同居、兄、弟、妹?、父親と確執?
宗教: 母親が世界真光(まひかり)文明教団の信者
既往症: ノイローゼ(2013/1/15)
常用薬: リスペリドン(2013/1/7)
禁忌: 奈良駅には行けない事情がある
職歴: 元弁護士(新62期、大阪弁護士会、登録番号 41908)、LECでの答案添削、家庭教師
資格: TOEICスコア 680 (2011/10/01現在)
高校: 奈良県 私立帝塚山中学・高等学校卒?
大学: 京都大学法学部 大石眞ゼミ?
大学院: 関西地方の法科大学院修了(同志社?)
受験: 旧司法試験の東京での申込み状況を知っている
勉強: 合格まで10年かかった。『事例本』シリーズ(辰巳1997年〜絶版)を使用
ゼミ: 憲法のゼミに所属(本人談: 右寄りといえば右寄りの方)
奨学金: 毎月1万円返済、返済期間10年以上(2013/10/22現在)
体重: 63.6キロ(2011/12/20現在)
好物: 水炊き、うどん
好きなアニメ:  ザンボット3(1977年)、太陽の牙ダグラム(1981年)、聖戦士ダンバイン(1983年)
偏愛: 伊藤かな恵(声優)、明坂聡美(声優)、高倉陽毬(アニメキャラ) 、小・中学生のホモ
憧れ: 大学教授、公務員
常駐先: 緊急自然災害板(原発情報)、哲学板(千葉雅也、東浩紀)、模型板、声優板ほか
2011/09/27 弱いものには容赦しない。しかし、人の前では何も語れない。
2012/09/01 小・中学生の時にホモってフェラするのが最も良い
2012/09/05 わたしはとにかく、奈良駅にはいけないのです。
2013/10/22 中途半端に頭がよかったのが不幸の始まるなのであろう。
0098氏名黙秘2015/11/18(水) 00:13:21.19ID:+aCbgm1K
森圭司パーリーピーポー
0099氏名黙秘2015/11/22(日) 02:42:16.05ID:X8w/NxyK
ズッコンバッコンアンアンハアハアピュッピュッモリケイジモリケイジモリケイジ
0100氏名黙秘2015/11/23(月) 22:44:24.85ID:VWLRr5HE
ヤスクニボカーン
モリケイジモリケイジモリケイジモリケイジ
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