【民事訴訟法】
◎伊藤「民事訴訟法(3版補訂版)」
学説史を含め、正確に判例の射程と、現時点での学説の対立を公平に整理してあるので、最高裁買い上げ図書になっております。
 一回目ざっと読んだ後、再読のときに、ようやくノートをつくりながら読み進めると、理解が深まります。高橋上下は叙述
に強弱がありますが、こちらは淡々と延々と文章が続きます。脚注が少ないのが難点かも。
 
◎高橋「重点講義 民事訴訟法 上(第2版補訂版)」
よい参考書として常備。基本は、新堂説です。ただし争点効を鵜呑みにはしていないし、ちゃんと整理して書いてあります。
あえていえば、兼子三日月もあわせ、まとめとその後の発展を、順番に書いた、かつてあった判例タイムズ社の「ノート」
シリーズのようなもの。
法科大学院のできる学生さんのための、受験の友として推奨できます。法科大学院の学生さんには二通りあって、合格さえ
すればいいというグループがあります。そういうグループのひとには、この本はオーバーワークです。読まなくても合格できます。
兼子三日月青山には及ばないです。新しい新堂というべきかも。しかし、加藤みたいないいかげんな実務家の書くだるい
受験本よりはるかにまし。

◎高橋「重点講義 民事訴訟法 下(第2版)」
判決手続については、ひじょおお〜に細かい論点まで拾ってあり、俯瞰するのにとても便利にできています。
とくに法廷での決着をつけるほんものの弁護士になりたい方には必読です。ハイレベルのローヤーになるには、高橋上下に
書いてあることは腹の中でわかっていないといけない。そのうえで、自分の顧客にベストの訴訟戦略を考えるべき。
ちゃんとした理屈であれば、裁判官は、法廷で必ず聞いてくれますからね。

△和田「基礎からわかる民事訴訟法」
結論から書いておくと、この本だけではいい実務家の基礎をつくるには不足で、2000番〜1500番で合格したい人向けです。
弁護士志望の受験生にとってはとくに、民事訴訟法とその運用についての知識は、飯の種。徹底的にしがみついて勉強しないと、
バッチをつけたあと敗訴ばかりになり失業しますよ。ですから、簡単にこの程度の本で勉強を済ませるという、そのことが
信じられない気がします。