中野 意識して変えるっていうことはないんですけど、たぶん今のマンガ作りの理論から言うと、「努力」の
部分って人気が獲れないです。

武川 やはりそういうものですか。天才型の主人公が多いですよね。
中野 実はすごい血筋だったみたいな。「だって努力って気持ちよくないじゃん」っていうことですよね。
子供たちっていきなり「あなたは隠された力がある」って言われたほうが気持ちいいし、それを夢見ているわけだから。

──今、転生ものが流行っているのはまさにそういうことですよね。

中野 でも説得力という意味では「努力」の要素も必要だと思いますよ。だからいかに修行シーンをギュッと短く、面白く描くのかは1つの腕の見せどころかと。

武川 「DRAGON BALL」なんかは修行の描写でさえ工夫されていて、「精神と時の部屋」なんて最高に面白いです。

中野 重力が地球の何倍もある重力室とか。あと努力なのかどうかわからないですけど、サイヤ人が死にかけて仙豆を食べて復活すると強くなるとか、なぜか説得力がありました。あれは発明ですよね。