私が『聲の形』を読んで面白いと思うのは、揺れ動く登場人物達の心境です。

最初の方で石田は、「迷惑をかける異物は排除した方が良い」という観点から西宮をいじめます。
いじめが周囲から支持されていると思い、西宮をいじめます。

でも、石田がいじめられるようになってから『聲の形』を読み返すと、実は島田や広瀬達が
「塾に行けない」、「危険な遊びに巻き込まれる」等の理由で石田に不満があるように伏線が張られています。

石田は西宮以上に迷惑な存在だったかもしれないんです。

でも、石田は自分が異物であるから、いじめられても仕方がないと思う事ができない。
他人が被害者になる場合と自分が被害者になる場合は全く違って感じられるんです。

漫画を通して、石田だけでなく植野や川井の気持ちの揺れ動きが面白くて、
作者にはぜひ中学生篇や大学生篇、社会人篇を書いて欲しいんです。