仮に手恷。虫が漫画家ではなくて映画監督になぜかなれていたとしよう
(実際にはそんなことはあり得ないのだが)。

その場合、作る映画がどれもこれもヒットし続けたとしても、せいぜい30本
から50本の作品を作れたかどうかだろう。テレビの時代になってからは
映画産業は国内外で没落したので、それ以前は映画がどんどんと作られて
いたから、時期が違えば生涯に撮れた映画の本数は大きく変わり得るのだが、
まあ50本は無理っぽい気がする。年に1,2本が限度。しかも、あたらない
作品が続くと、実際には続けられなくなってしまったりするし。それに扱う
内容について、漫画に比べて制約がきついだろう。何しろ観客を大勢呼べる
作品にすることが作り続けられるためには(漫画にもまして)極めて重要
なのだから。劇場用では採算の合わない作品を作りたければ、16ミリとか
8ミリとか、VHSでのリリースになる。

漫画だって、人気のとれない、単行本のあまり出ない作家は、出版社からは
お呼びがかからなくなり、作品を発表する機会がなくなって消えてしまう。
今なら作品を公表するだけなら、コミケもあればインターネットもあるけれども。