大山がガラスで出来た瓶の首を初めて切ったのは、26〜27歳頃、1950年前後の事だ。
新宿の酒場に友人と入ったところ、10名近いヤクザと揉める事になった。

勝負に勝つには、機先を制することが必須条件。

敵と味方の"動き"を瞬時に察知した私は、目の前のテーブルに乗っているビール瓶を一発バーンと叩いてから、ヤクザ者にこう一喝した。
「貴様ら、死にたい奴はかかってこい。 たとえ刃物だろうがピストルだろうが、最初にかかって来た奴は道連れにして必ず殺してやる!」
私の気魄に押されたのか、ヤクザ者の誰も向かってくる者はいなかった。 事無きを得て、私を含め誰一人ケガをせずにすんだのである。
テーブルの上のビール瓶を見ると、(クビが)ふっ飛んでなくなっていた。 これが私の、瓶を切った最初の演武である。