トリビアの泉での「日本刀vs拳銃弾対決」について
対決というからには例え「物理実験」としても
@少なくとも「鉛弾」と「被甲弾」という異種弾丸の双方を使って試験すべきである。
Aもっと重要なことは、刀の側面、峰にも射入し、繊細な刃の部分には特に射入角を変えて試験するのが当然であった。
この番組は、日本刀の刃部が最も有利となる刀身断面中心軸と弾道が一致するよう、態々拳銃を機械的に厳密に調整セットした。
幾つか考えられる実験要素の内のたった一つの要素のみを採り上げた訳である。
弾道と刃部断面中心軸が完全一致する事で、日本刀にとっては理想的な試験となっている。
番組制作者は「日本刀の強靱さ」を強調したかった為に「試験の一要素」しか放映していない。
刃部への斜めの弾丸打ち込み等、日本刀に不利な試験は全て頬被りである。公正な実験とは云えない。
何も知らない人は「日本刀はすごい」と思っただろうし、実際、コメンテーターも大袈裟にそう云っていた。
ここに、マスコミ報道のまやかしがある。
制作者の意図に基づき、視聴者に故意に偏向した知識・印象を与えようとしている好例といえる。
単なる鋼と鉛の物理実験に過ぎないこの番組が「日本刀の実態」を物語っていないことは云うまでもない。
マスコミ報道に対しては、視聴者側で報道側の意図と偏向を見極める見識が常に必要とされる。