俺が最後に乞食を見たのは、昭和56年に上京した時。

渋谷駅前東急東横店の玄関脇で、白装束の傷痍軍人を装った乞食が、空き缶を前に正座して、うなだれていた。

俺の田舎でも、そんなもんはとっくに消滅していたので、渋谷の乞食に衝撃を受けた。