2017/11/21 北海道新聞朝刊 朝の食卓

なんか変だな 長沼 修

 ファイターズ球団が新球場を建てるという構想が発表されてからもう1年半になる。新球場の場所については、
あっちだこっちだと連日メディアをにぎわすが、その採算性や莫大な資金対応など、計画の軸となる部分は全く見えてこない。
 さらに最近の報道では、球団は札幌市に対し、真駒内地区について提案してほしいと要望しているようだ。
どうして札幌市が提案するのだろう。なんか変だなと思う。
 もちろん、プロ野球は多くの市民に喜びを与えているが、営利が絡む以上、他の娯楽施設と同じように、
利益を得る企業が自分で計画し準備をするのが当然だ。
またプロ野球は地域への貢献もしているが、球団を所有する親会社の宣伝媒体であるという本質は変わらない。
 現在のドームは多目的施設であるため使い勝手に問題があるという。
私はこの6月まで札幌ドームの社長をしていたが、野球を楽しめないほどの欠陥があるようには思えないし、
輝かしいチームの実績もある。傾斜が急だと指摘された階段も、北広島に通い、また真駒内公園まで歩くことを考えるとまだましだ。
 新球場は誰にとって必要なのか。札幌市民は大きな負担を背負ってまで本当に新しいドーム球場を必要としているのか。
今や、球団はもちろんのこと、札幌市と球団を所有する親会社の双方も、
この問題について詳しく説明する必要があるのではないか、という市民は多い。

(プロデューサー・札幌)