>岩波新書「インターネット」村井純 著

>インターネットとパソコン通信

>インターネットでコンピュータを接続するときに、いちばん重要視される概念は、つながっている
>コンピュータが、個々に直接コミュニケーションできる基盤でなければならないというものです。
>この点が、パソコン通信とは完全に違っています。個々のコンピュータが直接話す関係にあるイン
>ターネットに対して、パソコン通信は中心にある一つのコンピュータに、たくさんのコンピュータ
>が接続していくというものなのです。
>そしてパソコン通信でできることは、その中心のコンピュータ(ホスト・コンピュータ)によって
>きまります。たとえば、もしパソコン通信の世界のなかで何か新しいことが起ころうとした場合に
>は、ホスト・コンピュータのなかで起こってること――言い換えればホスト・コンピュータが提供
>するサービス――が変わらなければいけません。けれどもそれには、普通たいへんな手間やコスト
>が必要ですから、結果として、比較的安定し、管理された、ゆるやかな発展をするのです。
>一方、インターネットでは、コミュニケーションの当事者―― 一つひとつのコンピュータ――が
>勝手に始めたことが、そのままインターネット上での活動になります。つまり、地球上の二つのコ
>ンピュータさえ合意すれば、すぐその場で自由に全く新しいことが始まる可能性があるのです。