『魔術師達の心理学』

トムバッソの公演においてある受講者が以下のような質問をした。

「まるであなたの話を聞いていると手仕舞いとポジションサイジング(資金に対する建て玉の枚数)だけが重要で、
それさえ正しければコインの表か裏かでロングかショートを決めても利益が出せるというように聞こえます。」

トムはおそらく「そうだ」と答えた。
さっそく彼はオフィスに戻ると先物取引の10の市場で実験を開始した。
売りか買いかはコインを投げて決めた。

その後10日間平均のATR(真実の値幅)の3倍のストップを入れた。
そして1回取引あたりの損失は資金の1%になるよう枚数を調整した。

これだけである。しかしストップの位置は自分の有利な方向へ変化させた。
つまり自分の有利な方向へ相場が動いたとき、あるいは日々のボライティリティが狭まっているときに
機械的に動かされた。(3倍のボライティリティストップをトレイリングストップとして使用しているということ)

結果はスリッページや手数料分を差し引いても安定した利益を得られるというものだった。
これはかなり感動的だ。システムには単純さが何より重要だということを証明する結果となった。