【竜王戦決勝トーナメント 豊島名人(先)ー渡辺三冠】

角換わり腰掛け銀から、先手が45桂〜53桂成と捨てる流行形に。
流行しているということは、結論がまだ出ていないということなのでしょう。もしこの手順で
先手必勝ということならば、後手がこの形を避けるはずなので。

観戦していて43飛成が勝着と思いましたが、改めて棋譜を並べてみるとその数手前にじっと58
金と寄った手が落ち着いた好手でした。金を玉に寄せて守りを固めると同時に、飛車を4筋に転
回する余地を作っています。
後手の反撃は、もらった桂を74に打ち、73桂とのコンビで8筋からの継ぎ歩攻め。一撃必殺とは
いきませんが着実な攻めで、これが間に合えば・・・というところ。
しかし豊島名人の攻めは厳しく、継ぎ歩攻めを間に合わせることなく押し切りました。名人の攻め
の鋭さと踏み込みの良さが光った一局でした。

投了図の局面で、後手は持ち駒がなし。何かしらの持ち駒があればそれを打って詰みになるので、接
戦といえば接戦でしょう。もっとも、歩があったとしてそれを玉の頭に打つと反則負けになります。(笑)