『ポレポレ』と伊藤本(2)

一方「ポレポレ式」は予測は行わない。ある文構造を認めると「それはどこで終わるか」をいつも考える。
そして、副詞成分を徹底的に括弧でくくり出す。節に関しても種類は何か、どこで終わるかをしっかり見る。
また等位接続詞に注目し、どことどこがどんな資格で結ばれ、どこで終わるかを確認する。
副詞成分のくくり出しを徹底して、骨格構造が何なのかを丁寧に露出して見せている。
即ち「初見の文をいかに読み解くか」というよりは「一度読んで頭の中に意味を結ばなかった文を丁寧に読み返し構造を分析してその結果意味を考察する」。
そういう読解の「プロセス」を徹底的に解説した所に思える。

なお課題文は1, 2, 3 … とランダムに並んでいるように見えるが、実際にはテーマが決まっており、
SVの発見→句や節、共通関係の把握(等位接続詞に注目して)
→準動詞の主語(句の範囲を間違えやすい所として)→挿入、修飾語と文の骨格の把握
→関係詞の理解(修飾語の延長として)→名詞構文(訳出しにくいものとして)
→{倒置→省略}[プロセス通り進みにくく、差がつく構文として]
といったいわば「章立て」がある。

伊藤本の中で対応する著作を考えると「ビジュアル」や「テーマ別」ではなく、むしろ「英文解釈教室」と同じ構成を持った本である。
内容ではなく本の構成が解釈教室に似ている、という事である。
そして文構造の解説に関する説明方式はビジュアルのそれと似ている。