立ち飲み屋で10年前に知り合った人で、変人で有名な人がいる。現在30半ばくらい。無茶苦茶頭良くてオールジャンル超物知り(超有名進学校中退らしい)、クソ難しい大学の講義レベルの話を一般人にわかりやすく説明する話術があるんだけど職業不詳でいつも金が無い。
学生の頃からグルメで、色んなジャンルの良い店いっぱい知ってる。そして酒好きで、会う時は基本いつも二日酔い。
女が大好きで口説きの名人、かつ色街通いが趣味。
週末に酒と女に金使いすぎて、平日はいつも飯を我慢しているような貧乏人。

元々若い頃は服装にもお洒落な人で色んなジャンルのファッションをかじった人だったが、いつの間にか和装にこだわるようになり、家から一切の洋服を処分したらしい。

理由を聞くと「あんたも一度和服着たら分かる。日本で洋装など非合理甚だしい!」
で、一度レンタルで着流しを着てウロウロしてみたら、今までデニムやスーツを着ていたのがアホらしくなるくらい快適だった。
襟元は開いていて風通しが良い、袖元も広く風が通り、何より脚の通気性が良いおかげで股間が涼しい。
翌日いつものデニムを履いて出かけたら、脚全体が蒸れているようで暑苦しいこと甚だしい。
仕事でシャツを着たら首元が超窮屈。
夏のボーナス入ったタイミングで変人さんの行きつけの仕立て屋さんを紹介してもらい、浴衣を2着作って愛用している。
やはり民族衣装ってのはその土地に一番合理的なんだと、40にして初めて実感した。
彼は変人に見えて、物の本質を見ることの出来る人だったのかもしれない。