昔々あるところになんでも屋で働く学生がいました
なんでも屋は思ったよりも大変で、学生の口癖は「本当に!?」「えぇ!?」でした
ある日のこと、おじいさんのお願いでとてもクソ重い墓石パーツを持ち上げました
おじいさんはその下にビニールに何重にも包まった何かを隠しました
何にせよ、隠し場所は個人の自由です
それから月日は10数年ほど流れます
学生は立派な中年に、昔お世話になったなんでも屋は二代目となり営業
中年は帰省ついでに立ち寄った古巣で二時間ほどお手伝いをすることになりました。
お手伝いの内容は「失せ物探し」
探し物は抽象的な「落書きがある紙のようなもの」
依頼人はお疲れ顔の大学生さん
多分この部屋にあるかも知れない…出てきません
庭に…出てきません
倉庫に…出てきません
が、中年はそこにあった特徴的なカエル焼き物を見てふと思い出します
「これは元々玄関にあったものでは?」と

そうです。あのおじいさん宅でした
学生は祖父から料理店を託されていました
自分なりに研究したが今ひとつ味に決め手が足りないのだと
中年には秘伝タレのレシピの行方に心当たりがありました
同時に、決して孫に教えなかった理由も分からなくはありませんでした
しかし、当時のメンバーは中年だけ、今言わなければ途絶えてしまいます
中年は、不思議な縁を感じながらも随分前の隠し場所の話をしました
一緒に持ち上げに行きますか?
ですが、学生はしばらく沈黙した後、なんと断りました
「祖父を超えると約束したのを思い出しましたので」と、晴々とした顔でした
その後、新装開店は大分遅れましたが、店は軌道に乗ったそうです
こうしておじいさんの秘密は守られました

また、「いつか答え合わせをしたい」とも言っていたので
そのお店で「いつか」の頃に食事をすることが中年の老後の楽しみのひとつとなりましたとさ