本当に大好きで結婚した元嫁の話。

付き合ってる頃から「お互い価値観も考え方もぴったり!運命!」って言い合って結婚した。

でも実はそれは、俺が元嫁を好きすぎて無理して合わせていた結果だった。
元嫁は気性が激しくて些細なことでもすぐ機嫌を損ねて黙り込んだりヒスを起こしたりがひどくて、それが恐ろしかったのもある。
その内にこんなに怒られるのは俺がいたらない男だからだと思って、常に謝る癖がついてしまった。

結婚して一年半くらい経った頃、元嫁が家を出ていってしまった。

俺の実家は結婚前一時期家業が傾いていて、就職して以来仕送りやボーナスから支援したりしていた。
それもあって俺は貯金もほとんどなく結婚したが、元嫁にもそれは伝えた上で結婚していた。
そんなとき、実家の持家にまだローンが残っているのがわかってそれが引金だった。

こんなにお金がなくて我慢ばっかりの生活はもうたくさん、結婚ってこんなに暗いものだと思わなかったということだった。
日頃から収入が少ないことをなじられたりもしていたから、お金の事で俺が辛い目に合わせてしまっていたんだと思って本当に申し訳ない気持ちになりつつ、数カ月別居しながら話し合いを続けた。

結局、元に戻れることはなく離婚。
ただ、別れる時には元嫁も号泣で本当は別れたくない、私もあなたに酷いことをしてしまった、と言われつつの離婚だった。
俺も泣いた。

荷物の引き払いなどで数ヶ月後に一度会う機会があって、そのときにうちの家業の様子を聞かれた。
それなりに回復してうまく回り始めていた時期だったのでそれを伝えたときに言われた一言。

「えー!それだったら別れる必要なかったじゃん!」

あんなに愛して別れてからも大切に思っていたけど、なぜかそのたった一言で一気に気持ちがゼロになって相手が単なる他人かそれ以下にしか思えなくなった。

俺もたくさん悪いところがあったし、元嫁には人生の大切な若い時間を使わせてしまって申し訳ないことをしたと思ってはいる。
色々はしょったけど長くなってしまってごめんなさい。
家業も関わるから誰にも言えなかったことを、明日今の彼女にプロポーズする前に吐き出したかった。