お中元の時期が来るたびに思い出す、うちの職場でのできごと。

登場人物:
私(♀、会社の事務員)
A(♀、今回の話の主人公、当時は学生気分が抜け切らない社会人1年生)
B(♂、イケメン、Aにとって好みのタイプ)
C(♂、ブサメン、それゆえAが非常に嫌っている)

職場の同僚Aは、人の食べ物・飲み物をたかる行為が好きです。
決まり文句は「最初の一口ちょうだい。」
開封したばかりのスナック菓子、ふたを開けたばかりのお弁当、
袋から取り出したばかりの菓子パン、
そういうのを狙って最初の一口をねだるのです。
一口食べられて食べかけとなったものが、持ち主の目の前に残されます。

私も、缶ジュースでそれをやられたことがあります。
パカッと開ける音は、Aにとっては餌のありかを知らせる
ヨーイドンのピストルのようなものなのでしょうか。
缶ジュースといっても、そこらにあるような安物ではなくて、
実家に届いたお中元の高級品(果汁100%)です。
だけど、Aの「最初の一口ちょうだい。」のせいで、
おいしさではなく悔しさのほうが残りました。

職場の女子仲間たちのほとんどがAの被害にあっていて、
それなりに距離を置かなければならない存在となりました。
「あの行為をやめさせるにはどうしたらいい?」
「Aの嫌いな食材だけでお弁当を作るとか。」
「だけど、あの人に嫌いなものはなさそう。」
「苦くて塩辛い失敗作の肉団子を取られたときも、Aは平気で食べてた。」
「Aにとって嫌いなのは、ブサメンと言って避けてるCだけだね。」

[つづく]