>>112のつづき)

復讐開始。
俺は、足元にある「何か」のすぐ手前で立ち止まった。
やがて、予想通りにAは自転車のハンドルを俺に向けながら走り、
ブレーキをかけながら俺の前方に立ちふさがった。

A: 「○○(俺の名字)、どけ!」
俺: 「どうぞ。」
A: 「いつもより素直じゃねーか。反抗する意思を見せたらただじゃおかねーからな。」

こうしてAは走り去って行った。

実は、俺の足元にあった「何か」とは、割れたガラス瓶のかけらだった。
自転車で踏んだら確実にパンクするだろう。
俺が素直であるどころか、Aが素直に踏んでくれた。

20秒後、「ポン!」という破裂のような音が静かな田園地帯に鳴り響いた。
続いて、「やっべぇ!」というAの叫び。

聞かなかったふりをして俺は引き続き学校に向かった。

パンクした自転車は、一生懸命こいでもスピードが出ないんだよね。
受験する志望校まであと6km。修理してくれるお店も沿道にはない。
果たして入試に間に合うか?

(つづく)