前世紀に亡くなった祖父の財産は、かなりあったらしい。
それを祖母が半分、残りを母と、その兄弟姉妹で分割。

それから20年、事業に失敗した叔父が、
ちょこちょこと祖母から「借りる」と言いつつ、
お金を引っ張っていたらしい。
その内に他の伯母伯父叔父が亡くなり、
祖母、母、寸借叔父だけが残った。

祖母は母と同居中で、遺族年金だの色々で、
遺産を使う事なく穏やかに暮らしていたようなのに、
「私も早く死なないといけないなぁ…」と、
ここ5年くらいで頻繁に、母に言うようになる。

お金に困っているわけでもないし、
介護するほどの弱り方もしていないのに、
何があったのかと思ったら、祖母の死後、財産整理で判明した。
祖母の貯金は、お葬式代程度しか残っていなかった。

それまで叔父が、そんな巨額を引っ張っていたとは露知らず、
最後の4年で妙に溜息をついたり沈みがちだった祖母の仇、
親戚連中は寸借叔父との付き合いを絶ったのだが、
広い実家で一人暮らしとなり、心細くなった母は、
唯一の生き残りの兄弟でもあるので、付き合いを再開したらしい。

私は元々母との縁が薄く、長く他家に預けられていた為、
母は突然のプチ天涯孤独に耐えられなかったのだろうが、
きっと、実家も、母の財産も、
生きているうちに根こそぎ持って行かれるんだろうなぁ…