ガキの頃
あれ食べたいこれは食べたくないと好き嫌いが起こるのは誰にでもあること
そこで母が「一ヵ月間出された物を残さず全部食べ切ったら、月に一回、どんな料理のリクエストも叶えてあげる」
というルールを設定した
最初の数ヶ月は互いにこれを徹底的に遵守し、俺は月に一回のステーキ、特大ハンバーグ等を楽しみにしていた

でもすぐにルールが破られた
破ったのは母の方できっかけは途中から姉が乱入してきたから
元々好き嫌いなんかなかったのに「わたしも一ヵ月残さず食べ切ったんだからリクエストする」と
俺と姉の希望を交互に叶えるのならまだしも、バカ女同士で嗜好が一致するのでいつも姉のリクエストが通っていた
「今月は姉の番だったから次は弟(俺)の番ね」とはいうが、一ヵ月経ったらすっかり忘れてやがる

そっちがルール破るならと、ある時期から意図的にメシを残すようにした
それもご飯と味噌汁ぐらいは手をつけるが、メインディッシュはちょっと口をつけるだけ
それに母が文句言おうものなら今度は全く手つかずの状態でこれ見よがしに残飯行き
こんな状態が半年ほど続き、久々に単身赴任から帰宅した父が大激怒
「子供と決めたご飯のルールを破るとは何事だ!」と母が思いっきりブン殴られていた

その後、俺も普通にメシを食うようになったもののいわゆる家族の団欒は無し
「なに食べたい?」と聞かれても無視、または「特に無し」
「明日は久々にステーキにしようか?」
→「そっちがそうしたいのならどうぞ」
「ほら、今日はあんたの大好物のステーキだよ!どう、美味しい?」
→「頼んでねえし。それ以前に不味いかもしれない可能性が残されたものを提供して、俺でテストしてるの?」

今では人並みの食欲はあるし、嫁の料理は残さず食う
たまに父と飲みに行くことはあるが、母と一緒に食事という選択肢は絶対にあり得ない
「たまには孫の顔見せろ、みんなで楽しくレストランに行こう、美味しいもの食べよう」
お前が言うな
食い物の恨みは恐ろしい、筋の通らないことは許されないのだと死ぬまで後悔しろ