10年前のことだから時効かな。
修羅場といえるのかわからないけど書かせてくださいね。
中学生の頃、隣のクラスに万引きを繰り返し、時には教師の目が届かないところで盗品を見せびらかすようなクズ人間Tがいました。
少し田舎の中学校の周りには例えば教科書を立ているような書店とか個人経営で中学生向けに品揃えをしてくれる店が多いですが、そういった店は店主さんが御高齢だったりでどうしても万引き対策などが薄くなるので、そういった店を狙ってやってたみたいです。

元から万引きを繰り返したような人間はクズだと思っていたし、クズには関わりたくなかったので最初は距離を置いていました。

さてそのTがターゲットにしているお店の1つに自分が小さい頃から通っている書店がありました。

店主のお爺さんお婆さん夫婦は優しくて私が大好きなシリーズ物をきちんと覚えてくれていて、取り置きをしてくれたりしていました。
Tは度々「あの本屋のじじいはちょろい」と笑い、盗んだ本を古書店に売り出し小遣い稼ぎをしていたようです。


ある日いつものようにお爺さんのお店に行くと「悪いけどもうお店を閉めるんだ」と告げられました。
常連さんがたくさんいたし、お爺さんだってまだまだ元気だったのにどうしてと思いました。お爺さんにきいても理由は話してくれませんでしたが、「理由は聞かないでくれ。君が悲しむから言えないんだ」とだけ言われ、なんとなく察しはつきました。
「僕と同じ制服を着た中学生が万引きをしたから、お店がうまく立ち行かなくなったの?」ときくとお爺さんは一瞬、はっとした顔を見せ「そんなわけないじゃないか」と頭を撫でてくれました。