休めないなら辞めます」イマドキ20代が余暇を優先する理由

頼むから、出ないでくれ──。

 都内の大学に通う、就職活動真っただ中の男子大学生、横山正さん(仮名・21歳)。
ここ数日、夜11時以降は、一人暮らしのアパートの部屋から“志望企業”に電話を
かけるのが日課になっている。汗ばむ手でスマホを握りしめ、祈るように番号を押す。
だがワンコール鳴ったところで、願いは砕け散る。

「はい、○○(会社名)でございます」

 相手の声を聞き、急いで電話を切った。

「ここも、ウソつきか……」

 手帳に書いた志望リストの中から、電話に出た企業名にチェックを入れる。
優先順位が落ちたことを示す印だ。日曜日に電話して電話に出た企業にも、
同様のチェックをつけた。明日は友達と飲みに行った後、深夜に志望企業の電気
が消えているかどうか直接見に行くつもり。こうして、入社後に残業を強いられ
ないか、週末は本当に休めるのか、企業の実態を確かめているのだ。

 そこまでする理由は、企業が採用募集時に公表する平均残業時間や有休消化率を
「全く信用できないから」(横山さん)だという。

「現に残業ゼロをうたっているところでも、深夜や日曜日でもワンコールで電話に
出る人がいて、背後で働く人がいる様子が伝わってきたこともある。先輩からも
“会社が公表する数字なんて、お飾りみたいなものだ、信じるな”って言われてきました。
いわば選考に進む前の“自己防衛”みたいなものです」
https://dot.asahi.com/wa/2017060200048.html