>>239 のつづき

「いや!俺があんなきたねぇジジイになるわけがない!俺は悪運がつえーんだ。
今まで警察のご厄介になったこともないし、だいたいこんな幸運を手にしたのにホームレスに
なるなんてありえねー!アイツはよほど馬鹿だったんだ!
仮にアイツが俺だったとしても、歳の違うアイツと俺が重なることはない。現にアイツと俺は同時に存在した。
アイツはアイツ、俺は俺だ!」

気を取り直した竜也は、宝くじ売り場に行き張り出されたロト6の当選番号を控える。

「今日が木曜で毎週月曜と木曜発表だから、1日過去に戻って買えばいいだけだ。」
「人生に必要なのは、運と度胸! オヤジはいい大学入っていい会社入ったのに、事故で早死にして
しまった。勉強なんかしたって意味ねーってことだ!俺はロトを当てて大金持ちになる!」

そう自分を言い聞かせると、竜頭をぐいって回して日付を昨日にする。
軽い立ち眩みのような感覚とともに微妙に周囲の景色が揺らぐ。

「成功したようだな。1日やそこら戻るだけならアイツとは重ならない。さてと・・・」

早速ロトを買おうと財布を取り出すが、財布の中には10円以下の小銭が数枚しか入っていない。

「しまった!! 金がないから換金しようとしてたのを忘れてた!!」


やむをえず、かつて万引きのために通っていた本屋へと足を運ぶ竜也。
「懐かしい。この店は、俺たちが狩りまくったせいで潰れちゃったんだよな・・・。」

「つうか、万引きは楽勝だとしても、どうやって換金するんだ。質屋のオヤジは堅物だし・・・」

店内を見回すと店長が本の搬入、学生風のアルバイトがレジ打ちをやっている。
そこへ「佐藤君、ちょっとこっち来て手伝って」と店長の声。

「こうなったら・・・」
アルバイトがカウンターを離れると、竜也はおもむろにカウンターの内側に入り、
ガッシャンとレジを開ける。
「ついでだからゴッソリもらっていくか・・・」

30枚ほどの札をを握りしめてカウンターを離れようとしたところ、店長に目撃される。
「おい!君!何やってんだ!!」

「何って、、見りゃわかるだろ? 泥棒だよ。」


つづく