1980年代前半まで高校野球の応援は大学野球に由来がある曲ばかりだった。
少なくとも1980年代まで、ほとんどの高校野球応援は、今の大学野球の応援とさほど変わりはなかった。
1980年から1989年の間にプロ野球各チームに選手別応援歌が導入された。
「トランペットで選手固有の曲を吹く」というプロ野球の応援スタイルは、賛否両論ありながらも一定の支持を得ながら定着し、日本独自の応援文化を構築するに至った。
ただし、プロ野球においても2000年代から学生野球のようにチャンステーマが採用されるようになった。
特にジャイアンツはチャンステーマの時オレンジのタオルを回すようになった。
高野連がタオル回しに対して問題が提起された際にすぐに自粛要請できたのは、タオル回しがプロ野球由来の応援スタイルだったからという理由もあったかもしれない。
それに反して得点時に肩を組んで応援歌を歌う応援スタイルは、公立進学校や伝統ある大学付属校に多いスタイル。
高野連はこの応援スタイルに対して自粛要請はしないだろう。
なぜなら高野連理事の多くの出身校の応援スタイルだから。

高校野球の吹奏楽による応援の原型は、古くは大学野球における応援形態を踏襲して、現在の形になってきたと言えるだろう。
学校に吹奏楽があるか、もしくは近隣から応援を仰ぎ、演奏にあわせて学生らが即席で応援方法を覚えられる形としては適している。
大学付属校が大学野球の応援を踏襲している場合、即席で大学応援団吹奏楽部の力を借りることできる。

プロ野球の選手別応援のように、覚えなければならない要素が少なく、単純化されている反面、応援形態的にマンネリ化している部分は否めない。選曲も古典化している。
だから、吹奏楽有名校で野球強豪校がプロ野球のように選手別応援曲を取り入れるようになり、さらにアフリカンシンフォニーのような曲をチャンステーマとして使用するようになった。

「大学野球仕様の応援 VS 現在の高校野球・プロ野球仕様の応援」

これはもしかすると、
「大学付属校・旧制中学公立進学校 VS 野球強豪新興勢力」

と同義なのかもしれない。