高嶋さんが、攻守でミス続出したのを残念がってる。
王者大阪桐蔭を倒すには、3~4点リードで終盤に入り
観客の雰囲気も味方につけ王者から焦りを引き出したかったとよ。



■高嶋仁の目

どのチームも最初は調子が出ないもんです。
さすがの大阪桐蔭も初戦の硬さがあって、序盤はエンジンがかかりませんでしたね。

ポイントは3点差とされた直後の三回の攻撃。2死一、二塁から
3番の松尾汐恩君が放った右前適時打だったと思います。
バットをしっかり振って、どっからでも本塁打が出る大阪桐蔭打線ですが、ここぞという局面ではチーム打撃ができます。

この場面も、松尾君がスライダーをパチンと合わせて、きれいに流し打った。
打撃の理にかなっているし、走者を進める意味でも右打ちが鉄則の場面です。

「ああ、いつもの大阪桐蔭に戻ったな」。ぼくはそう思いました。
あれが、すべてやったと思います。この回の2得点で、まだ大阪桐蔭は2―3とリードを許しているのに、
もう勝っているかのような雰囲気になりました。 旭川大は見事に自分たちの野球をしたと思います。
北海道の知人から、ええチームと聞いていましたが、その通りでした。

先発の池田翔哉君は直球とスライダーで丁寧に低めをつきました。
大阪桐蔭打線といえども、厳しいコースに来たら、そうそう打てるもんではありません。
あとは緩急をもう少し使えれば、と感じましたが、それは欲張りすぎですかね。
2本の本塁打は球が甘く入ってしまいましたが、彼を責めることはできんでしょう。

ただ、攻守でミスが出たのは残念でした。三回の2失点目はバッテリーエラー、追加点が欲しい場面でバントや走塁の失敗もありました。
王者を倒すには、焦らせないとだめです。3~4点リードで終盤に入ったら、雰囲気も変わっていたでしょうね。

大阪桐蔭は苦労した分、次の試合は最初からきちっとした野球をやるでしょう。
そういうチームです。(前・智弁和歌山監督)