>>15
おい贅六
『インパール』の名将末田光大尉と足利市出身の長一雄中尉は立派な方だぞ
菊の田中稔中尉は誇り高い九州男児だ
弱兵の京都兵団に呆れ果てていた岡山人の岡本参謀は人物が下がるがな

▽末田光大尉(宇都宮214連隊第2大隊長)
「安さん(京都53師団)のお陰でうちの部隊はすっかり装備が新しくなりました。
林の高地に行く途中いろんな装具が落ちてるんです。みんな安さんのものです。内地から持ってきたばかりだからピカピカした新品です。
けしからん、と憤慨しながらみんな自分のと取りかえて喜んでいましたがね。
そのうちに小銃まで落ちている。機関銃が捨ててあったのには驚きましたね。それも眼鏡のついた新式の重機が四梃も放り出してありました。
自分のところにはもうガタになったのがたった一梃しかない時なので早速いただきましたがね。ひどい兵隊ですよ」
文春文庫『インパール』358~359頁

▼仲間を見捨てる京都兵
弓・長中尉「どうしてここにおるのか」
安・兵隊「おいていかれました」
弓・長中尉「糧食はあるのか」
安・兵隊「みんなとられました、倒れている奴はいらんだろう、いうて」
文春文庫『インパール』393頁

ビルマに派遣されて来た安兵団と祭兵団は、ともに関西地域で編成された兵団で、弱兵の見本のようにいわれていた。
田中稔『死守命令』198頁

▼岡本岩男少佐(宇都宮33師団参謀、岡山県出身)
「しかし安(京都53師団)の逃げっぷりはええぞ。
戦車でも出てくると一ぺんにインオウロあたりまで逃げてしまう。出ろ、というとしばらくして出てくるがすぐまた下がる。
そして言うことがええ。弓の兵隊はんはよう辛抱してはります。
そのくせ米だけは持ってきたもんじゃけえ、毎日飯盒に半分貰って昼間から食べておる。
それが2、3日するとこんな給与ではあきまへんわ、というから弓(宇都宮33師団)の兵隊は半月も米の飯など渡っておらんぞ、と脅すと"へえ"と度肝を抜かれた顔をしておるんじゃ。
 安(京都53師団)は始めの予定では千名ぐらい来ることになっていましたが、かれこれ三百も来たでしょうか。もうあとは来ないでしょう。
恐ろしく戦意のない素質の悪い部隊です」
文春文庫『インパール』358~359頁