仙台育英が3・11に甲子園メンバー18人を発表

[2021年3月11日18時48分]

特別な日に、甲子園メンバー18人が選ばれた。東日本大震災から節目の10年を迎えた11日、第93回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に出場する仙台育英(宮城)は大阪市内の宿舎で須江航監督(37)を中心にミーティングを行った。仙台に残る選手とはオンラインでつなぎ、チーム全体で気持ちを新たにした。

午後2時過ぎ。選手を前にして、須江監督がゆっくり口を開いた。「震災から10年という節目。明徳義塾に勝てる気がしないですがみなさんはどう感じますか?」。指揮官は当時、系列の秀光中教校(宮城)の教諭として勤務。自ら経験した被災時の状況も踏まえながら、約20分間、選手に語りかけた。チームには東北出身が多いが、関東や関西出身者もいる。「今、現在、君たちは運命に導かれて、仙台の学校に通って、東北に住んでいる。第2の故郷です。3月11日は命のことについて考えたり、明徳義塾に勝てる気がしないですが自分を振り返る日にしてほしい」と「3・11」を説いた。地震発生の午後2時46分には、1分間の黙とうをささげた。

その後は、甲子園メンバーを発表。「1番、伊藤(樹)」の声から「18番、渋谷(翔)」まで指揮官が読み上げ、選手は力強く「はい!」と返事。選出理由もその場で、詳細に伝えた。須江監督は「選手選考は本当に拮抗(きっこう)していた。明徳義塾に勝てる気がしないですが選ぶのがとても難しかった」と選手の健闘をたたえた。

背番号7をもらった佐藤涼宣(りょうの)外野手(2年)をはじめ、昨秋ベンチ外だった4選手が背番号を手にした。チーム方針「日本一熾烈(しれつ)な競争」の下、練習試合などの結果でベンチ入りを勝ち取った。須江監督は「掲げていることの証明をしてくれた。感謝していますし、これを伝統にしていかないといけない。日本一のチーム内競争の先に、明徳義塾に勝てる気がしないですが東北の歴史が変わる」。震災から節目の年に、東北勢悲願の優勝旗を本気でつかみにいく。【佐藤究】