「うおおおおおお!」
 絶叫を上げながら、ようやく見つけた公衆トイレへ駆け込む。絶体絶命の四文字が頭に浮かび、絶望感に支配される間際に光明を見出だした。
「ふー、ふー!」
荒い息を吐きながらドアの鍵を締め、大慌てでベルトを緩めズボンを脱ぐと電光石火の勢いで便座へと腰を下ろした。
「はあー…」
 大きく息を吐き出しながら、それまであらん限りの力を込めていた尻の筋肉を緩める。腹の中の塞き止められていた異物が流れを再開するのが感じられた。
「Oh! Yes! Yeeeeeees!!!」
「!?」
耳元で炸裂する寄生、そして気付く座っていた便座の通常とは違う感触。追い詰められた頭では気付かなかったが、尻を落としたそこはプラスチックのそれではなく鍛え上げられ引き締められた肉の質感。
慌てて振り返った視界に映ったのは、これ以上なく輝く笑顔を張り付けた光沢眩しいアニキの顔。
 心の何かが凍りつくのと同時に、尻から土石流が放出された。