朝食を食べ終わり、学校へ行こうと玄関を出ると、ちなみがいまだに引かない赤ら顔で
ベストを着て待っていた。
「さっきのは−」
『…し、質問禁止!』
「気になるだろ」
『…べ、別にキミのために買ったわけじゃ…な、ないんだから』
さらに顔を真っ赤にして睨みつけてくる。ベストで隠れている胸を両手で隠しつつ
これ以上は何も言わせまいと俺に迫りくる。
その気迫に負けて一歩二歩と後退りし、家の外壁まで追い込まれる。
「そ、その…しょ、勝負下着ってやつなのかと」
『…あれはその……と、友達と買い物に行って無理やり買わされたって言うか』
「や、やっぱりそうなのか!?」
『す、捨てようかと思ったけど…一回も着ないで捨てるのもったいないから…そ、それだけだから!』
真っ赤な顔で涙目になりながら目の前で睨みつけるちなみ。俺よりも小柄だから目の前まで
近づかれると必然的に上目遣いになる。
それがとても可愛いくて仕方がない。そんな気持ちが顔に出たのかだろうか
『…に、ニヤニヤするな!この犯罪者!』
「おぉ、言いえて妙ってやつだな」
『な、何が?』
「白と黒に真っ赤な顔。まるでパトカーだな」
『な……パトカー!?』
普段は物静かなちなにからサイレン代わりに『バカ』『変態』『犯罪者』と罵られつつながらの
衣替え初日の登校となったのだった。