X



ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.9 [無断転載禁止]©2ch.net
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001ほんわか名無しさん2016/12/04(日) 12:19:10.280
◆このスレは何?
ツンデレの妄想でひたすら萌え続ける場です。どんな形でもいいのでアナタのツンデレ妄想を垂れ流してください。
◆前スレ
ツンデレにこれって間接キスだよなっていったら0.8
http://tamae.2ch.net/test/read.cgi/honobono/1420015047/
◆過去ログ置き場
http://www.tndr.info/
◆Wiki(過去ログ置き場以前の過去ログ・更新停止中のまとめ等もwiki参照)
http://www45.atwiki.jp/viptndr/pages/1.html
◆ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら 専用掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/computer/21510/
◆うpろだ
http://tunder.ktkr.net/up/
http://www.pic.to/ (携帯用)
◆お題作成機
http://masa.s23.xrea.com/
http://maboshi.yh.land.to/tundere/
◆規制中の人向け、レス代行依頼スレ
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/computer/21510/1275069975/
01417/72017/03/06(月) 06:13:28.120
 ただ一つ、私は理解した。別府の言う、根拠のないポジティブってのは、間違いなく正
解なんだなと。
『さっきのやり取りで、もう十分に分かったし。かなみんはタカシの嫁!!って』
『……ダメだもう。何言っても聞かないし……』
 ハア、ともう一つ、大きくため息をつく。それにしても、黙っていればアイドルみたい
に可愛くて、ついさっきまではライバルに引っかかることすら出来ないと諦めていた対象
だったのに、まさか別府と付き合う縁結びをしてくれるなんて、ちょっと信じられない。
その点では透子の強引さっぷりに感謝しなければならない。
『……かなみんさ……タカシのこと、よろしくね。色々と口うるさいし……頭固いところ
もあるけど……女の子によく気を回すし……ホント、いい奴だから……』
『だからさ。よろしくって言われても……お互い、まだこれからなんだから――』
 否定しようとしたところで、透子が抱き締める力を強くする。同時に、不満気な顔で私を見た。
『わかってるくせに。私と一緒にいるのを見て、あれだけ嫉妬しちゃってるんだから……
もう、気持ちなんて決まってるんでしょ? タカシだってそう。ただ、かなみんの態度を
みて、急ぎ過ぎないようにって気を遣ってるだけで、一回デートすれば、次はまたその次
はってなってくのに』
 その指摘に、反論したくても私は出来なかった。透子の指摘は全く正しくて、恥ずかし
さを隠すために否定したって、何の意味も持たないことを。


続く

>>139
食らいました。なので、次回で終わりかと思ってたけど、二回に分けるかもです。
0142ほんわか名無しさん2017/03/11(土) 18:36:00.930
おつんでれ!
0143ほんわか名無しさん2017/03/20(月) 23:49:46.990
>>141の続きです
6レスだけど連投規制食らうので、途中で一度間を空けます。
01441/62017/03/20(月) 23:50:25.590
・ツンデレの勘違い〜その6〜

「悪い。お待たせ、椎水」
 不意に車道の方から声がしたので顔を上げると、タクシーの窓を開けて別府が声を掛け
てきていた。すぐにドアが開き、別府が降りてくる。
「ほら、透子。もう行くぞ」
 私に絡み付いていた手を引きはがすようにほどくと、自分の肩に掛けた。腰に手を回し
て私から離すと、そのまま車へといざなう。
『あの……とりあえず、お大事に』
 タクシーに押し込まれるように乗り込む透子に声を掛けると、手をひらひらと振って答
えてくる。透子を乗せ終えると、別府は意外にもタクシーから離れて私の方に寄って来た。
「あのさ。何か変な展開にしちゃってゴメンな。特にうちのアホが迷惑かけて」
『あ、うん。それは……大丈夫だけど……』
 頭を下げる別府に、慌てて手を振ってしりぞける。私だって勘違いで別府に冷たい態度
を取って嫌な気分にさせたので、お互い様だ。
「落ち着いたらさ。ライングループ作って招待するから。二人だけのじゃないと、連絡取
り合えないし。椎水は、その……流されて承諾したのかもしれないけどさ。とりあえず、
一度さ。ミスドとか、そういうところで軽く話そうぜ。今日のお詫びも兼ねて」
『お詫びだなんてそんな、別府は全然気にしなくていいってば。あ、その……行くのは全
然構わないけど……』
 気を遣ってくれてるのかと思い、とっさに断ってから私はすぐに言葉を付け足す。誘い
自体が嫌だと誤解されるのは冗談じゃない。せっかく上手く行きかけてる仲を自分から壊
すなんてありえないし。
「そっか。じゃ、とりあえず俺は行くから。また明日学校でな」
『うん…… それじゃあ、また明日』
 手を振ると、別府は笑顔でうなずいてタクシーに乗り込んだ。窓越しに、透子が絡んで
いるのが見える。きっと、私と何を話したのか問い詰めているのだろう。風邪でフラフラ
なのに、よくあんなバイタリティがあるなと感心する。
『じゃあね。明日から……よろしく』
01452/62017/03/20(月) 23:50:58.570
 聞こえないのに、走り去るタクシーに向かって、私は小さく挨拶をする。そして、一つ
大きなため息をついた。
――信じられない…… まだ(仮)だけど……別府と、付き合えるなんて……
 両手で頬をパン、と叩く。うん。痛い。夢じゃない。自然と顔がニヤつきそうになるの
を、他のことを考えて懸命に抑える。家に着くまでは、我慢だ。そうは言っても、私は別
府とのこれからを想像せずにはいられないのだった。


 翌日。教室のドアを開けた瞬間、友香ちゃんが飛んで来た。
『おはよーかなみん!! てかマジで!? ホントに!?』
『は? いや。マジって何が? てか、かなみんって何?』
 昨日までは普通に名前呼び捨てだった友達に、あだ名で呼ばれて私は戸惑った。こんな
呼び方、昨日透子にそう呼ばれるまでは、誰にもされていなかったはずだ。
『いやいやいや。ごまかしたい気持ちは分かるけどね。もうみんな知ってんのよ。付き合
うんでしょ? 別府と』
『は……はあああああっ!?』
 驚きのあまり大声を上げてしまう。同時に、周りにわっと5、6人の女子が群がってきた。
『聞いたよかなみん。やるじゃん。別府君となんて』
『いやいや。私は分かってたけどね。これまでもいい雰囲気っぽかったし』
『あっちから告ってきたらしいじゃん。どうなの? 男子からさ。付き合ってくれないかっ
て言われるの?』
『別府にさ。どこが好きだって言われたの? 見た目が好みとか? それとも性格?』
『うらやましー。あたしも一度でいいから男子に告白されてみたーい』
 四方八方から質問が飛んできて、どれに対処していいやら分からない。というか、一体
これはどういう事態だ。昨日の今日でなんでクラス中に噂が飛び交っているのだ。
『ちょちょちょ、ちょっと待ってよ!! 何か誤解もあるし……』
 とりあえず周りを制しようとするが、それは却って質問を煽る結果になってしまう。
『誤解ってなによ。付き合い始めたんでしょ? 今更ごまかすのなしだって』
『もうね。今朝からみんな、その話で持ちきりなんだから。まさか、こんなに早く付き合
いだすなんてねー』
01463/62017/03/20(月) 23:51:39.040
『いやいや。あたしはいずれこうなるとは思ってたね。ちょっと前も二人で帰ってるの見
たし。にしても、早かったとは思うけどね』
 てんでに話す女子達を前に、私は羞恥と混乱の最中にいた。何でこんな噂になっている
のだろう? まだ実際にやったのって、昨日ラインのグループ作っただけなのに。
『待って!! 待って待って待って!! そんな、付き合うって……と、とりあえず一回
お茶しようかって誘われただけで……何でそんな噂になってんの!?』
 必死でみんなを制すると、女子達はキョトンと顔を見合わせる。それからニヤニヤした
笑みを浮かべると、一人の子がスマホをいじりだすと、画面を私に向けて差し出してきた。
『え? だって夕べ透子がさ。こんなこと書き込んできたから』
 見せられたのはラインの画面だった。そこには、大喜びのスタンプと共に[やったー!! 
ついにタカシにも彼女出来たよー!!]との書き込みがあった。
『あ……』
 あとはもう、どんな子だとかどっちが告白したのかとか質問と答えの応酬が繰り広げら
れ、昨日の経緯はほぼもうあらかた書きつくされていた。
『ちょっ……っと…… べ、別府は!? 来てる?』
 私が別府の名を出したことでわっと周りが盛り上がる。しかしそんなことに構っていら
れず、私は教室内を見回した。
『別府君ならもう来てるよー。ほら。あそこで質問攻めにあってる』
 教えてくれた子が指差すのと私が見つけるのはほぼ同時だった。男子のみならず、女子
にも周りを取り囲まれ、はやし立てられている。
『ちょっとごめん。別府!!』
 大声で呼びつつ別府の方に近づいていくと、囲んでいたクラスメート達が一斉に私を見る。
『あ。嫁が来た』
 真っ先に反応したのは、友香だった。
『誰が嫁よ!! まだ何にもなってない!!』
 ヒューヒューはやし立てる声に構わず、私は別府の方に真っ直ぐ向かう。みんなが通り
道を空けてくれたので、すんなり私は別府の前に行くことが出来た。
『どういうこと!? なんでこんなんなってんの?』
 問い詰める私に、別府は困る様子もなく軽く肩をすくめる。
01474/62017/03/21(火) 01:29:54.720
「想定内だよ。つか、昨日タクシーの中で一応釘は刺したんだけどな。あいつがそんなの
聞くわきゃねーし」
『だって昨日、透子って高熱出してフラフラだったよね? 帰ってすぐ寝たんじゃないの?』
「そう思うか? 昨日のあの様子見ても。自分の体調そっちのけで俺らに構いまくってたっ
てのに」
 そう答えられると確かにそうだ。うんざりする気分で、思わず片手で目を覆う私の背中
を誰かが軽く叩いた。
『良かったじゃん。かなみ。いろいろ誤解とかあったみたいだけどさ。最終的には上手く
行って。あたしもお似合いだと思うよ』
 友香の声に、私はパッと反応して振り向く。
『ちょっと待って!! 誤解があったみたいでって…… みんな、どこまで知ってんの!?』
『え? だってかなみって、別府と透子が恋人同士だって勘違いしてたんでしょ? それ
で嫉妬して避けてたって。確かに、最近なんかかなみが別府によそよそしいねってみんな
噂してたんだけどさ。理由を聞けば、あ〜……って』
「女子同士だけのグループだから俺はどこまで書いたのかなんて知らないけど、多分1か
ら10まで書いた上に、余計な脚色まで加えたと思うぞ」
 私の脳裏には、してやったりの顔でウインクしてくる透子の姿が浮かんだ。いずれはバ
レるにしても、せめてしばらくはこっそりと仲を深めたかったのに。これじゃあ最悪、上
手く行かなかった時なんて大恥だ。
『ちょっと別府!! 透子って何組よ!! 全く、まだ何にも始まってないのに余計なこ
とばっか言って。文句の十や二十も言ってやらないと収まらないわ』
 別府に詰め寄ると、彼は呆れて首を振った。
「今日は休みだって。ただでさえ熱あんのに、大人しく寝もしないで一晩中スマホいじっ
てたから悪化した。あいつのスマホは俺が預かってるし、今頃はおばさんにベッドに縛り
付けられてるんじゃね?」
『ホント、バカよね〜 透子ってば、いっつも後先考えずに行動してさ。大人しくしてた
ほうが絶対治り早いのに、やりたいことばかり優先するから』
01485/62017/03/21(火) 01:30:19.830
「あいつ見てると、バカは風邪引かないんじゃなくて、風邪引いてもそれに気付かないだ
けなんじゃないかって思えてくるよ」
 呆れつつ笑う二人を見て、私は友香をうらやましく思った。彼女は別府と中学も一緒だ
から、私の知らない別府も見ているのだ。そんなこと思ってもしょうがないのは分かって
いるけれど、感情というのはどうしようもないものだ。
『安心して、かなみ』
 急に友香が両肩をがしっとつかんできて、私は突然のことに驚きを隠せなかった。
『え? な、なに? 安心してって……』
 戸惑う私に、友香は真剣な眼差しで首を振る。
『透子ってば、面白いからって理由だけで絶対色々ちょっかい出してくるからね。特にか
なみはいじられる体質だし。でも、別府とのデートの時はあたしらが絶対邪魔させないよ
うにするから』
『えー……えーと、その…… いや。ありがたいけど……』
 救いを求めるように別府を見やると、おどけた表情のまま、無言で肩をすくめるだけだった。
『ちょっと!! この状況何とかしてよ!!』
 救いを求めて怒鳴りつけると、周りのクラスメートが待ってましたとばかりにはやし立
てる。恥ずかしくて別府から視線をそらすと、今度は間近に友香の顔があった。彼女は、
安心してとばかりにニッコリ笑う。
『旦那に救いを求めるのは結構だけどさ。あたしのことも信用してよ』
 そう言われると拒絶するわけにも行かず、私は戸惑い気味にうなずく。
『いや、まあ……し……信用はしてるけどさ……その……』
 すると友香は嬉しそうな顔でうなずいた。
『よしよし。だから、別府とのデートの日時はちゃんと連絡するのよ。でないと、透子の
妨害も出来ないからね』
 一瞬うなずきかけた私は、それがどれだけ恥ずかしいことかに思い至って、首を大きく振る。
『それは無理!! 絶対無理!! てか、先行きのデートなんて何にも決まってないし、
私達まだそこまでも行ってないんだから!!』
01496/62017/03/21(火) 01:30:57.910
『またまたあ。そこまで奥手にならなくてもいいんだってば!! てか、別府がそこは男
見せないと。かなみは後ろ向きな性格なんだから、ちゃんと引っ張ってあげないと』
「そこで俺に振るなよな!! 言われなくてもある程度は考えてるって。ていうか、今度
はお前らが邪魔しに来るんじゃねーだろな」
『邪魔だなんてとんでもない。大人しく見守るだけだってば。ねー』
 周りからは同意の声と笑い声が響き渡る。どうやら、どう転ぼうが別府との仲が静かに
進展していくことだけはありえないんだなと、私は絶望のため息を漏らすのだった。


終わりです。
0152ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 09:09:51.140
アップローダにアクセスするとファイルが破損とかサギっぽいのが出るんだけど何とかならん?
どうしても拾いたいファイルがあるんだけど
0153ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 12:09:59.060
ろだはだいぶ前から使えなくなってるんだよなー。管理してた人とも連絡つかないしどうしようもなさそう
0154ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 13:30:24.870
>>153
そっかぁ・・・うーん
長編倉庫で未完結の奴の続きが気になってググったら完走してたみたいで
本編とオマケと後日談がロダにアップしてあるって書いてたからぜひ見てみたかったんだけど
0155ほんわか名無しさん2017/04/08(土) 17:59:35.260
ツンデレなお姉ちゃんとお花見行きたい
ショタ俺がはぐれちゃいけないから手繋いでって言ったら

「む、仕方ないから手を繋いでやる」

「はぐれると面倒だからな」

「まったくお前はいつまで経っても、男らしさの欠片もないな」

「私としてはもう少し男らしい方が…ゴニョゴニョ…なっ、なんでもない!///」

とか言うやつ

んで、なんやかんや一悶着あってちょっとした男気の片鱗を見せると
コロッとデレちゃう感じで

俺がまた来年も来たいねーって言ったら
「お前はホントに姉離れが出来ない駄目な奴だな!」
とか言いながら手ギュッと握ってめっちゃ喜んでるみたいな妄想
0157ほんわか名無しさん2017/04/09(日) 03:26:07.060
>>154
どのSSか教えてくれれば、拾えるかもしれん
ほとんどのログは取ってるし


>>155
こんなお姉さんが欲しいです……
0158ほんわか名無しさん2017/04/09(日) 15:24:03.710
>>157
おぉぉ、まじか助かる!となりのてんしってやつなんだけど

これが最終回っぽい
ツンデレにこれって間接キスだよなって言ったら454.75
ttp://jfk.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1226176295/

792にロダの455〜458になんか全部あるって書いてる
全部入ってるのはメインだけでかもだが
0159ほんわか名無しさん2017/04/11(火) 17:45:12.230
ツン姉ちゃんいいな,,,
あとツンデレ&デレデレとかあったよねー
懐かしい,,,
01601572017/04/14(金) 02:49:39.720
>>158
ログ漁ってみたが、18が見つからず、22も規制中とかで線路に上げたのだけだったので拾えませんでした
そつぎょうしき前の最後の回も25までしか拾えずで、歯抜けじゃ意味ないかなと

期待に沿えず、申し訳ない
0161ほんわか名無しさん2017/04/14(金) 06:35:13.280
>>160
探してくれてありがとう!
さすがに7〜8年前のだし、難しいよね
読めなかったところは妄想して楽しむよ
0162ほんわか名無しさん2017/04/18(火) 22:24:19.510
無いと言われるとどうしても欲しくなるよね!
古いPCからデータをサルベージしてきた
あと需要がないだろうが黒歴史をまとめて大放出だ!

ttp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org1221928.zip.html

お探しのファイルは長編物に入ってるよ!
0167ほんわか名無しさん2017/04/22(土) 21:34:44.970
おお!!ありがとう!
これはいいw
01701/42017/04/30(日) 12:14:21.440
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その1〜

『おっはようございまーす』
 部室にハイトーンの元気良い声が響き、中にいた僕らは一斉に顔を上げた。視線の先に
はショートカットでやや色の黒い活発そうな女の子と、その後ろにコントラストのように
色の白い大人しめなイメージの女の子が立っていた。
「よお、千種ちゃん。静内も」
『あれ? 結構揃ってますね?』
 千種ちゃんが首をかしげるのも無理はない。今日は部活動の日ではないので本来は部室
に寄る必要はないからだ。今部室にいるのは、真っ先に返事をした部長の朝比奈さんと同
じ3年の広上さん、野上さん。それにさっきまで僕と一緒に授業を受けて一緒に部室に寄っ
た脇谷君と調ちゃんだ。
「ああ。俺ら、ちょっと打ち合わせがあってさ。俺と野上はどっちみちゼミもあるし」
『そなんですか。あたしら、学校来たら休講の張り紙が出とったもんで、瞳美ちゃんと学
食でお茶しとったんですけど、間が持たんくなったもんで、部室でゆっくりしよかって』
『ほお? 一年もようやく部室が落ち着ける場所になってきたか。馴染んできた証拠だねえ』
 野上さんが笑顔でうんうんとうなずく。
『アハハ。最初のうちは入るのも遠慮しいしいだったんですけど、最近はちょっと学校の
中にこういう場所があるとええなあていうのは分かってきました』
 彼女の言葉に同意するように静内も微笑んで、それから僕の方を見てほんの軽く、頭を
下げた。僕らは高校の時も部室によく集まっていたから、同意を求めるようなそんな意味
合いなのだろう。その時僕は、わずかに揺れた彼女の髪が肩先で綺麗に切り揃えられてい
ることに気が付いた。
「あれ? 静内、もしかして髪切った?」
 僕の問いに、彼女は少し笑ってうなずいた。以前は確か、肩甲骨を覆うくらいまでは伸
ばしていたはずだ。ちなみに、以前さん付けで呼んでいた彼女の苗字を呼び捨てにするよ
うにしたのは、後輩にさん付けはおかしいだろうという、周囲からの指摘によるものである。
『おー。別府君、気付くの早いじゃん。さっすがぁ』
 広上さんが揶揄してくるので、僕は抗議の視線を送る。
「何がさすがなんですか。意味分かりません」
01712/42017/04/30(日) 12:14:42.410
「いやぁ。静内のことになると早いなあって、そういうことですよね。莉緒先輩」
 隣にいた脇谷君が早速乗っかってくる。広上さんは彼の方を向いてうんうんとうなずく
と、わざとらしく意味深な顔をした。
『いーじゃんいーじゃん。いいと思うよ? 気になる女子の気を引こうと思ったらね。髪
形変えたとか、そういうところに敏感に気づいてあげるのはポイント高いよね?』
『ま、そこでくだらない指摘したら台無しだけどね』
 野上さんが冷静に口を挟みつつ、一瞬だけ視線を朝比奈さんに走らせたのを僕は見逃さ
なかった。どうやら、過去になにかあったらしい。
「いや。スッキリしていいと思うけど。静内のイメージにも合ってるし」
『ありがとう、ございます。そう言っていただければ、嬉しいです』
 控えめにお礼を言って、彼女は小さくうつむいた。それを聞いて脇谷君がさらにからかっ
てくる。
「さっすが。モテ男は違うよな。全く、世の中結局草食系かよ」
『ひがまないひがまない。そんな暇あったら、ワッキーも別府君を見習って女の子の扱い
方勉強しなよ。そうすりゃ、少しはモテるかもしれないし』
 ポムポムと頭を叩いてたしなめる調ちゃんに、脇谷君がブスッとした顔つきをする。
「そりゃそうだろうけどよ…… つか、現状、俺全くモテてないってことかよ? そりゃ
ヒドくねえ? ちょっと」
『あら? じゃあ現状、少しはモテてるとでも? 現実を客観的に見て、自分でそう言え
るのかな?』
「グフッ…… いや、その……だな。俺の前ではおくびにも出さないかもしれないけど、
もしかしたら俺のこともいいかなーとか思ってる女子がいたっていいんじゃねっていう話
で……」
『そんな可能性の話じゃ、ねえ…… 少なくともあたしは知らない、しー』
「お前、結構物言いキツいよな。なあ、別府」
 同期同士の遠慮のない会話に、僕は苦笑してみせる。
「調ちゃんはサバサバしてるから。まあ、ほら。椎水さんの毒舌に比べれば全然大したこ
とないと思うよ。いつも食らってる僕からすれば」
 つい、先輩のことを持ち出して比較対象で調ちゃんをフォローする。しかし、得てして
こういう時は話題の対象が来たりするものだ。
01723/42017/04/30(日) 12:15:03.060
『何よ? 誰の毒舌がヒドいって?』
 背中から、トゲのある声が僕の耳に飛び込んできた。
『あ、かなみさん。おはようございまーす』
『椎水さん。どうも、おはようございます』
『あ。おはよ。先輩方もおはようございまーす』
「よお、椎水。お前はどうした? 授業で来たけど、めんどくさくなってバックれたとか?」
『朝比奈さん!! あたしのことどう見てるんですかっ!! あたしはそんなダメ人間じゃ
ありません。3限は空き時間だから、ちょっと時間つぶしに来ただけです』
『あたしと同じだもんね。ていうか、ドイツ語の課題やって来たの? それともあたしの
ノート当てにしてた?』
『ちょっと。今、それ言わなくたっていいじゃないのよ!!』
 慌てる先輩に、周囲が笑う。すると先輩は、それをごまかすように僕の方に向き直って
睨みつけた。
『で、そうよ。別府君。さっきのは一体、どういう意味なのかしら? あたしの口が悪いっ
て、そう言いたいわけ?』
 高圧的な態度だが、まわりはほとんど慣れているから空気が緊張することはない。むし
ろ痴話げんかとはやし立てるくらいだ。
「比較としての話だって。脇谷君が調ちゃんの物言いに遠慮ないって言って同意を求めら
れたから、それなら椎水さんの方が厳しいよってそういう話。自分だってその程度の自覚
くらい、あるでしょ?」
 先輩はムッとした様子はそのままながらも、一瞬口をつぐんだ。ここで即座にそれを否
定しても、周囲の同意を得られないだけの自覚はあったようだ。
『確かに、口調が厳しいのは認めるわよ。だけど、基本的には言わせるアンタに問題があ
るんだからね。いちいちいちいち正論ついてムカつく言葉並べ立てるから、文句の一つも
言いたくなるのよ』
「まあねぇ。別府が理屈っぽいってのは確かだけど」
 脇谷君の控えめな同意に、先輩はパッと顔をほころばせて彼の方に向き直った。
『さすがワッキー。分かってくれるよね? そもそも別府君の方が遠慮ないのよ。さらっ
と、一番人が聞きたくないような言葉を口に出してくるんだから。そりゃこっちだって文
句の10や20も言いたくなるわよ』
01734/42017/04/30(日) 12:15:43.360
『でもさー。かなみのそれって、許されてるラインが分かってて言ってる感がするんだよ
ねー。別府君ならここまでは怒らない、みたいな。何かむしろ以心伝心って感じで』
 また調ちゃんが余計なことを挟んでくる。何もわざわざそこで先輩をいじり倒さなくて
もいいのにとちょっと苦々しく思うと、先輩は予想通りの反応を返した。
『何で以心伝心なのよ。こんな奴と気持ちが繋がってるわけないでしょ!! 気持ち悪い
こと言わないでって、いつも言ってるじゃない!!』
『でもさぁ。いずれにせよ、別府君が優しいから怒らないって分かってるからそこまで好
き放題言えるんだよね。甘えちゃってるんじゃないのかなぁ? それって。どお?』
 今度は広上さんがツッコんでくる。こうなるともう、どうしようもない。
『甘えてませんでば!! 何でそういう風に見えるんです。単純に不快なだけですから』
『どうかなあ? 実際、本当に嫌いだったらそこまでは言わないと思うよ。私なら白い目
で見るだけで、スルーするし。むしろ絡みたくない、みたいな』
 野上さんの意見に、調ちゃんが嬉しそうにうなずく。
『ほら。やっぱそうだ。構って欲しいからあえてキツいこと言って、会話しようとしてん
でしょ。やらしいな、もう』
『な、何バカなこと言ってんのよ調。そんなわけ、あり得ないでしょ。変なことばかり言
うと、縁切るわよ』
『ほう。では、ドイツ語のノートはいらないと』
『ふぐっ!! 今それ言うなんて卑怯すぎる』
 弱点を突かれてうめく先輩に周囲が笑う。そんな中、一人真顔でやり取りを見ていた朝
比奈さんがボソリと言った。
「椎水。あのな」
『はい? 何ですかもう。これ以上別府君ネタはいりませんから』
 うんざりした様子の先輩をジッと見据えつつ、朝比奈さんは表情も変えずに続けた。
「いや。お前がどう自分のことを思ってるかは知らんけどさ。はたから見れば、100パー、
ボケだから。それ、自覚しといたほうがいいと思うぞ」


中途半端ですが続きます
0175>>1552017/05/02(火) 11:37:19.240
「はひ、はひ、はひ……!」
『ほれほれどうした! 良い若いもんが!』
 まつりさん家の裏山。汗はだくだく、ほうほうの体で歩き続ける俺の遥か前方から、まつりさんの叱咤する声が届く。
 突然、花見に行くと言い出したまつりさん。何の用意もせずに家を出た後を追えば、俺はこの体たらくを晒すことになってしまった。
「い、いやだって、こんな、急坂……! はぁ、はぁ……! 舗装もされてないし……! 」
『関係ない! 普段から体を動かしておればこの程度、すいすい〜のすいじゃぞ?』
 そう言って、和装で文字通りすいすいと俺の所まで駆け下りてくる。彼女、普段から体を動かしている様子は無い。天狗か?
「そうかもしれませんけど……とにかく今は、もう足腰が……」
 それほど高い山ではないが、それでも2〜30分も休み無しで歩きづめだ。貧弱な現代日本人の代表である俺には限界が見えてきた。
『全く貧弱じゃな』
「返す言葉もございません……」
 全身汗みずく、顎を突き出し歩を進める。春なのに、汗だくですね。
『……む。』
「……はい」
『仕方ないから手を繋いでやる』
 ニンマリと笑ってこちらに手を差し出すまつりさん。完全に子供扱いである。
『大分登ってきたからの、はぐれると面倒じゃからな』
「く、悔しい……!」
 と、言いつつも俺はその手を握り返し、引っ張られるように山道を登って行く。
『全くお主はいつまで経っても、男らしさの欠片もないのう?』
『儂としては、もうちょいとでも男らしい方が好みなんじゃがな〜?』
 ニヤニヤとこちらを振り仰ぎながらの台詞。小柄な体にぐいぐいと引っ張られては、立つ瀬がない。
 精神的にも肉体的にも返す言葉がないまま、顔獣道のような斜面を顔も上がらず手をひかれながら登り続ける。
 ペースの変わらない歩みに、この人本当に天狗か鬼なのでは? と何度も思ってしまう。
『ほれ、着いたぞ』
 息も絶え絶えの中聞こえた声に、俺はやっと顔を上げ……息を呑んだ。
 満開の桜の巨木。
 白に近い薄紅色は、まさにまつりさんを思わせるような無垢さで二人を出迎えてくれた。
『……酒も食い物も、いらんじゃろ?』
 舞い散る桜の下、両の手で花びらを受け止めながら言う。
 来年も、再来年も、その後も。彼女に惹かれて、俺はここに来る。
0176ほんわか名無しさん2017/05/10(水) 23:09:43.970
今日はメイドの日らしいです

おっぱいと腋を堪能させてくださいメイドさん!
0177ほんわか名無しさん2017/05/13(土) 20:35:29.290
お題

・サンシャインちなみん

・ちなレーザー

・ワイルドちなみん
0178ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 12:13:09.470
>>176
「残り一時間切ってからいう事といえばそれですか? ご主人様
いったいどれだけ変態なんですか。雇い主とはいえど、セクハラで警察に訴えていいレベルですよ
大体ご主人様はメイドの日を何だと思ってるんですか。いいですか? 母の日といえば母親に感謝する日でしょう?
でしたら、私にだって、例えば贈り物をくださるとか、ねぎらいにどこかに連れて行ってくださるとか。
あ、いえ。例えばの話で決して私が望んでいるわけでは……ゴニョゴニョ……
と、とにかくですね!! ご主人様はいつもいつも――

〜このあと40分ほど説教〜

〜です。分かりましたか? ご主人様。
反省なすったのならいいです。でしたら、その……まあ、本来でしたらセクハラで訴えるところなのですが、
私はご主人様にお仕えするメイドですし、だから、その……日を越すまでは、ご主人様の意向に沿おうかと……
ひゃあっ!! いいい、いきなり過ぎですご主人様っ!!」


という妄想をしながら過ごした一週間であった。
01791/32017/05/14(日) 17:30:59.930
>>177

「ギリギリセーフ!ちなみのせいで今日も遅刻寸前じゃねーか」
『…私のせいにするな。キミが早く起こしに来ないのが悪い』
「…あと5分…あと5分って言ってちっとも起きなかったのは誰だっけ?」
『…えへっ』
「くっ…ま、まぁ明日からはちゃんと起きろよな。って何だ、下駄箱に何か」
『…ラブレター…的な?』
「放課後に校舎裏で待ってます…ラブレターだな」
『…どうせイタズラでしょ』
「本物だったらどうする?」
『…別に…す、好きにしたら?』
「いや、だって…彼女できたら毎朝起こしにいけないぞ?」
『…朝からキミの顔を見なくて清々する』
「そういう言い方するか?」
『…頼んでもないのに毎朝来て…いい迷惑』
「そりゃ悪かったな!彼女ができるし、明日から行かないから安心しろ」
『………』
01802/32017/05/14(日) 17:31:48.060
『ちょっとちなみ!聞いたわよ』
『…友ちゃん』
『タカシがラブレター貰ったって…いいの?』
『…私には関係ないし』
『ちなみはタカシの事が好きなんでしょ?』
『べ、別に好きじゃないし!……ただの幼馴染ってだけ…だし』
『こんな時まで偏屈しないの!先に好きって伝えないと!』
『…もういいよ………もう嫌われたし……今更何を言っても』
『やってみないと分からないでしょ!ずっと想ってたんでしょ?』
『…でも』
『ちなみの全てをさらけ出して…ね?絶対伝わるから』
『…すべてを…さらけ出す』

「どんな子だろうな…。でもなぁ…ちなみ…はぁ…」
『…待って』
「ち、ちなみ?な、何の用だよ」
『…』
「…な、なんだよ?」
『…い』
「い…?」
『…ィェェェェェェ〜〜〜イ!』
01813/32017/05/14(日) 17:33:17.470
『空前絶後のぉ!超絶孤高のツンデレ女子高生!
 タカシを愛し、タカシに愛されたい女!

 あんたのためじゃないんだからね!勘違いしないでよね!当ててんのよ!
 すべてのツンデレの生みの親!
 そう、わたしこそは!
 サンシャインちな………みに池袋に行ったことはありません!

 バスト72!体重43キロ!おっ、オナ…ニーの回数週3回!
 タカシ!タカシをお、オカズに一人でしてます!
 
 そう全てをさらけ出した、この私はぁ!
 サンシャイーン!ちな!ぼふっ!みーん!
 イエェェェェ〜〜イ!

 ジャスティーーース!』
「…」
『…』
「…」
『…本当はずっと好きでした』
「お、俺も…好きだ」
『…だ、だから、校舎裏にはいかないで』
「お、おう…。い、一緒に…帰るか?」
『…うん』
「土曜日さ…デートいくか…池袋」
『…ぁ…うぅ〜〜(///』
「しかし、週3回か」
『うわぁあぁぁ!忘れろ〜!!!(//////』

『ふふん、ラブレター作戦大成功ね!面白いのも撮れたわぁ』
0182ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 18:08:03.710
>>181
GJ

ちなみんそんなに反り返ったら重力でおっぱい潰れちゃうから

ぼふっ!

よりも

ぺたーん

の方が適切な表現ですy(ry
0183ほんわか名無しさん2017/05/14(日) 21:14:12.610
>>177
ツ『かしこまりましたご主人様』
177「うおマジで!?」
ツ『はい、マジでございます』
177「ウヒョオオオいただきま〜〜」
ツ『トランキーロ、焦らずにこちらについてきてくださいませ』
177「〜す、あれ? ま、まぁ雰囲気って大事だよね。うん」
ツ『では、こちらを』
177「はぁ、切符……」
ツ『駅に向かいますので』
177「あ、はぁ(……ご休憩できる場所かな?)」
 ガタコン ガタコン
ツ『次で降りますので、ご用意を』
177「え? ちょっと待って次って両ご……」
 ――。
稀勢の里「ごっつぁんです」
ツ『つてを頼ってお時間を貰いましたので』
177「ほらああああもおおおおおそういう昭和みたいなのいらないからあああああああ!!」
稀勢の里「そう言わず、ほら」
ツ『この様な機会など滅多にございませんので。鯖折り体験をお願いしておきました』
177「やだあああああああああ!!」
稀勢の里「うす。失礼します」
177「あ、ぐぐぐ、ぐえーーーー!!」
ツ『……たっぷりご堪能下さいませ、ご主人様』(ハァハァ)
177「ぐえええええーーー!!」
 あ、やべえ、オチが思いつかない! この後177はメイドツンデレさんとお風呂でスキンシップしたとかそんな感じ。
0186ほんわか名無しさん2017/05/21(日) 10:58:21.240
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その2〜

『なんですかそれ!! つかあたし、芸人目指してるわけじゃないし!! ボケとかツッ
コミとか関係ないし!! いくら先輩でも人のこと名指しでボケとか失礼ですって!!』
 真顔で指摘した朝比奈さんとムキになって反応する先輩が面白くて、みんなに合わせて
ついつい僕も笑ってしまう。
『全くもう…… みんなしてあたしネタにして笑うのやめて下さいってば。ホント、冗談
じゃないわよ』
 僕の方を睨みつけながらも名指しで非難しなかったのは、恐らく静内さんがいたからだ
ろう。予想に反して今のところ、彼女が先輩に対してキツい態度は取っていないけれど、
先輩は油断していないようだった。
『ところで、かなみさん。もしかして、髪、切りました?』
『はい?』
 静内さんに急に違う話題を振られ、先輩はキョトンとして彼女を見つめる。他の人もみ
んな彼女に注目したのに気付き、静内さんはちょっとすまなそうに視線を伏せた。
『あの、すみません。ちょうど、お話、途切れたのかなと…… 割り込んでしまいました……』
『ううん。むしろありがとう。あたしにとっては渡りに船だわ。でも、よく気付いたわね。
ちょっとカットして形整えただけなのに』
 針のむしろから抜け出せて助かったとばかりに先輩が笑顔を見せると、静内さんも顔を
上げて表情をほころばせた。
『いえ。見て、すぐに気付きました。よく、似合ってると、思います』
 珍しく静内さんが先輩を褒めつつ、視線をチラリと僕に走らせる。それに違和感を覚え
るのと、ほぼ同時に脇谷君がはやし立ててきた。
「へー。女ったらしの別府でも、静内には勝てないんだな」
『は?』
 先輩が怪訝そうな顔を向けると、すぐに調ちゃんがフォローを入れる。
「さっきね。別府君って女子の髪型とか、変えるとすぐに気付いて褒めてくれるよねって
話してたのよ。それで女子からもてはやされるのをワッキーがひがんでたって、そういうこと」
『ふーん……』
01872/42017/05/21(日) 10:58:52.040
 先輩の視線が僕に向く。何となく咎められているような気持ちになって、僕は慌てて言
い訳を探す。
「いや、その…… 褒めるとかいう以前に、いきなり椎水さん、僕を責めてきたじゃない。
あの展開じゃこっちからは何も言えるタイミングじゃなかったし……」
『でも、男の人なら、気付かなくても、仕方ないと、思います。私は、結構バッサリと、
切りましたけど、かなみさんは、ほんのちょっとですから』
 さりげなくだが、僕が気づいていないことを前提に話を進める静内さんに、僕は違和感
を覚えた。しかしそれもすぐに、野上さんの言葉にかき消されてしまう。
『それに、かなみちゃんは褒められても別府君相手だと素直に喜ばないからねえ。気持ち
悪いとか罵っちゃうし』
『もしかして、ツンデレで気を引こうとしてるとか? でもやりすぎは逆効果だぞ』
 広上さんにからかわれて、先輩がまた不機嫌な顔になる。
『違いますってば!! 何で別府君相手にあたしがデレをみせなくちゃならないんです
か!! 意味が全く全然分かりません。そういうこと言って別府君が勘違いしたらどうす
るんですか? 全く』
『別府先輩は、そういう勘違いは、しないと思いますけど』
 静内さんが、控えめだが厳しい指摘をする。それに言い返そうとしたのか、反射的に先
輩が静内さんのほうに顔を向ける。だが、その表情を見てすぐに顔を背けてしまった。
『ま、まあ……そうであってくれれば、別にいいんだけどね。あたしは』
『ま、ま、ま。冗談だから。じょーだん。そんな二人ともシリアスにならないでよ』
 さすがにちょっとまずいと思ったのか、広上さんが二人をたしなめる。そのほっぺたに、
野上さんが手を伸ばした。
『ふぉへっ!? い、いふぁいっ!!』
『だから言ってるでしょうが。後輩からかうのもほどほどにしろって。特に静内さん、真
面目なんだからね』
 ちょっとひねりまで加えられて、さすがの広上さんも降参する。
『いふぁふぁふぁふぁふぁふぁ!! ふぁから、ふぁるかっふぁっふぇふぁ。みふぃえ!!』
『ふぅ…… 莉緒はホント、程度ってものをいつまで経っても覚えないんだから。冗談言
うにしても、相手の気持ちに立って考えないと』
01883/42017/05/21(日) 10:59:16.210
『ヒドい…… そもそもあたしは通衣の言葉に乗っかっただけなのに。ここまでの仕打ち
はないんじゃないの?』
 ほっぺたをさすりさすりしつつ、広上さんが抗議する。しかし野上さんはジロッとにら
み返した。
『だから、それが調子に乗り過ぎってことなの。アンタの一言がなきゃ、そこまで瞳美ちゃ
んも気分悪くしたりしなかったって。反省しないと、今度は両方のほっぺにするわよ』
 すると唐突に、広上さんが自分の両方のおっぱいを手で寄せて軽く上げて見せた。
『ほっぺは今のダメージで痛いから、どうせならこっちにしない? 負けず劣らずつまみ
心地いいかもよ?』
『アンタは男子の目の前で乳さらけ出す気か!! この変態が!!』
 罵りながら素早く野上さんが両手を無防備なほっぺたに伸ばす。しかしすんでのところ
で体をひねりつつ避けると、広上さんは背中を曲げて前かがみに逃れる。
『だから冗談だってば!! さすがにそこまでしないって。通衣ってばガチに取りすぎ』
『アンタの冗談は時々冗談に聞こえないのよ。ホントにTPOをわきまえろって言ってるで
しょうが。全然反省してないじゃない。このアホたれ』
『反省してる。反省してるから、もう勘弁してよ〜』
 じゃれ合ってる先輩達を苦笑しつつ見ていると、脇谷君が僕の方に物問いたげな視線を
向けてきた。
「でさ。口に出すタイミングうんぬんはともかくとして、別府は気付いたのか? かなみ
ちゃんが髪切ってきたの?」
 その質問に、みんなの視線が一斉に僕に集まるのを感じた。
『あ。そっか〜 そこ、気になるよね。誰よりもかなみちゃんが』
『何であたしが気にするんですか。意味分かりません』
『でも、あたしやったら、そういうとこ鋭い男の子の視線て、気になりますけど。好き嫌
いはともかく、やっぱ女としたら、男の子の評価って気になるもんと思いますけど。違います?』
『う…… そりゃまあ、一理はあるけど……』
 千種ちゃんの指摘に、先輩も言葉に詰まる。
『ほらほら、別府君。責任重大だよ〜』
01894/42017/05/21(日) 10:59:47.950
 広上さんの面白半分のからかいに、僕は恨みがましく彼女を睨んだ。ここでうっかりし
たことを言えば、後から先輩の相手をする時が大変なのに。僕は何とかして無難な言葉を
探り出す。
「まあ…… ちょっと雰囲気変わったかな、とは思ったけど。ただ、いきなり責められる
展開だったから、それが髪切ったからかどうかって、そこまではチェックし切れなかったけど」
「お? じゃあイメチェン対決は静内の勝ちってことか。なるほど、別府。そういうことか」


続きます
0190ほんわか名無しさん2017/05/26(金) 12:35:47.260
登場人物の切り替わりが激しすぎて誰が誰に何を言ったのかが頭に残らん……
0196ほんわか名無しさん2017/06/05(月) 22:09:31.590
ツンデレ達とタカシでエレベーターにすし詰め状態で乗っている時にエレベーターが止まったらどうなるの?

エアコンも合わせて止まったらどうなるの?
0197ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:25:07.020
>>196
(なぜ、こんなことに)
 薄暗く狭い密室、止まったエレベーター。俺、別府タカシは今、クラスメートの女子たちと一緒にその中に閉じ込められていた。
「うぅ……、暑っつ……」
 誰ともつかないつぶやきが、小さな部屋に響く。同時に聞こえたパタパタと言う音は、服の胸元を動かすものだろう。
(……なぜ、こんなことに)
 二度目の自問に、俺はこうなるきっかけとなった昨日の事を思い返していた。
 ――。
「ねぇ別府。明日ちょっと付き合ってよ」
 ホームルームも終わり、周りの生徒達もはけていく中、椎水かなみが俺に話しかけて来た。
 気の強そうな目、ツインテールにした髪、ハキハキした物言いは、クラスの男女問わず人気だ。
 彼女は俺の幼馴染であり、口喧嘩は多いが、そう悪い仲でもない。むしろ彼女の方からすれば、よく話す男子、という事になると思う。
「……ちょっとってなんだよ?」
 しかし何やら面倒くさそうな雰囲気を感じた俺は、あえてぶっきらぼうに返答する。
「明日服買いに行こうと思ってるんだけどさ、アンタに荷物持ってもらおうと思って」
「ええ〜〜!? なんで俺がそんな事……」
「ん? なんでもするって言ったよね? この前宿題見せてあげた時」
 そうだった。不覚にも忘れてしまっていたが、そんな事もあった気がする。
「他のじゃ……ダメ?」
「ダメー」
「……はぁ〜」
 にっこりと否定する椎水かなみに、俺は肯定の意を込めたため息を放つ。と、そこに。「……こいつを勝手に使ったら、それこそ駄目」
 と口を挟んできたのは、椎水かなみの双子の姉、ちなみだ。同じく幼馴染ということになる。
 眠たそうな目、ゆるく垂らした長い髪、間延びした口調と、妹とは正反対の特徴だ。
 ちなみに二人は二卵性双生児ということだ。駄洒落ではない。
「なんでここでお姉ちゃんが出てくんの?」
「……なんでも。こいつは、私の言うことを聞く約束。ずっと」
 なんだか滅茶苦茶な事を言っている。なんだってそんな事を……。
「……先週、宿題を見せて、お弁当を作って……予習の手伝いも、させられた。その、対価」
 俺のせいでした。
「ちょっと別府!! アンタお姉ちゃんにまでそんなことさせてんの!?」
0198ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:25:58.930
「え、あぁ、まぁ……。その時うちの親がしばらく出かけててさ、で、昼メシをどうしようかってときに椎水姉に相談したら、流れで……」
「……ん」
「なんでお姉ちゃんに!」
「まぁ、その、学級委員長だから?」
 そう。椎水姉はこんな感じだが、面倒見の良さを買われて学級委員長に選ばれた。その割には、俺にだけ風当たりが強い気がするが。
「これも、委員長の務め……。それと君は……私の事を敬意を込めて、ちなみさんと呼ぶ約束」
「何その約束! 別府!! アンタちょっと調子乗ってんじゃない!?」
「お、俺からした訳じゃないし!! 椎水姉が……」
「……ちなみさん」
 静かな圧力を持った声を出す椎水姉。もといちなみさん。たまらず訂正をする。
「ち、ちなみさんが、言ってきたことです。はい」
「うぐぐぐ……!! お姉ちゃん!? 何考えてんの!?」
 姉とは対照的に、直接的なプレッシャーが怖い椎水妹の怒声。
「学級委員長としての威厳を、演出するため。他の人なら心苦しいけど……こいつなら、良いかと」
「たしかにコイツ相手ならまぁ……」
 なんで俺はこんなぞんざいに扱われてるんだ? そう言おうと思った矢先、椎水妹が「じゃああたしの事はかなみさんと呼びなさいよ」などと言い出した。
「もう、二人ともなんなんだよ」
「何をぎゃあぎゃあ騒いでいるのだ、お前らは」
 ぼやく俺に、さらに声が掛けられた。東浪見(とらみ)みことだ。こんな喋り方だが女子である。
 実家が古武術の道場をやっているらしく、人に厳しく自分にも厳しい。質実剛健さと美貌を持ち合わせた姿は、女子からの人気が特に高い。
「東浪見か。そういや、なんだったっけ?」
「明日アンタがあたしの荷物持ちするって話でしょ」
「……それは駄目って話」
「ふん。不純異性交遊は褒められんぞ、かなみ」
  いやいや、いつから俺がこいつと付き合ってる事になったんだ? 椎水妹も同じく思ったらしい。「コ、コイツと付き合うわけないでしょ! 変なこと言わないでよ!」と顔を真赤にして怒っている。
「ならいいがな。どうにも別府は女たらしというか、なんというか……」
 ぎろりとこちらを睨みながら、東浪見の説教が始まる……かと思ったところに、さらに参加者が飛び込んでくる。
「ねぇねぇ、なんの話してんの? ボクも混ぜてよ!!」
0199ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:26:52.430
 精神年齢低めな琴平あずさと、
「何じゃ何じゃ、今日は随分と賑やかじゃのう」
 精神年齢高めな葛葉まつりだ。
 この二人も対照的だが、低めの身長といたずら好きという点で似ており、二人はよくつるんでいるらしかった。
「えー! 別府と買い物!? じゃあボクも一緒に行っても良い? 欲しいものあってさー」
「二人きりではこの助平が何をしでかすか分かったもんでもないしの、儂らも付いてった方がいいじゃろ」
「私も行ってやろう。もし別府が不埒な行動に出れば、その場で鉄拳制裁だ」
「ちょっとまってよ、あたしまだ良いなんて一言も……」
「……抜け駆けは許さない」
「お、お姉ちゃん何言ってんの!? もう、分かったわよ! 別府!! アンタみんなの荷物持つんだからね!!」
 こうなってはもう男子の出る幕はない。結局全員分の荷物を俺が持つことになり……。

(そんで今日、雑居ビルのアクセサリー屋を見たいっつった椎水妹に付いてって、それで……)
 オンボロのエレベーターに全員乗り込んで、いきなり止まった。買い物を始めたばかりで、荷物がそれほど無かったのが不幸中の幸いだったかもしれない。
 外で停電でもあったのだろうか、エアコンすらも止まった。緊急通話もつながらないが、これは恐らく故障なのだろう。
「はぁ……はぁ……」
 人いきれ、と言うのだろうか。熱気と息苦しさに、自然と呼吸が荒くなってきた。
「ちょ、ちょっと別府! あたし汗かいてんだからもうちょっとそっち行ってよ!」
 そんな俺を見て、椎水妹が無茶なことを言い出してきた。6人で既にいっぱいな狭い室内で、これ以上どこに行けというのか。
「勝手なこと言ってんなよな! だいたい誰のせいでこんな事になったと思ってんだ!?」
「何よ、あたしのせいだっての!?」
「止めんか愚か者! 今は下らぬ事で体力を使うでない!」
「そうだ。こういう時こそ心を静めろ。じきに復旧するはずだ」
「でもさー、もうどんだけこうしてるか分かんないよ……?」
「もしこのまま、出られなかったら……」
「や、止めてよお姉ちゃん!」
「そもそもお前がこんなボロビルに入るなんて言わなきゃ……」
 不安と恐怖、室内の不快感から、負のスパイラルに落ちていく俺達。
 そんな中、それは起こった。
0200ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:27:56.410
 ぷす〜……。
 間の抜けた、空気の抜ける様な音。
「……へ?」
 そう、屁だ。駄洒落では……駄洒落じゃねえか!
 いやそんな事を言ってる場合ではない。この閉鎖空間だ。色々充満してしまう。
 それより何より危惧しないといけないのは、犯人探しが起こる事だ。俺がしたのではない、となればこの5人のうち誰かということになってしまうが……。
 こいつらは女子、そして俺は男子の端くれだ。そうなればやることは一つ。
「わ、悪い……。出ちゃったわ。朝から腹の具合が悪くってさ……」
 ……女に恥をかかせるわけにはいかない。俺がこの中の誰かの身代わりにならねば。
「ま、全く緊張感の無いやつじゃのう!」
「ほ、本当だよ! 寝る時、お腹でも冷やしたんじゃねーの?」
 ははは、と皆で乾いた笑いをこぼす俺達。恐らく全員、俺が屁をこいたわけではないと気付いているのだろう。
 しかしまぁ、これ以上掘り下げる危険性も分かっている。自白した人物がいるのだから、それで良しとしようじゃないか。してくれ。
 だがしかし。
「……あ、あたしだよ」
 俺の犠牲を無にする馬鹿な女がいた。
「おならしちゃったのは、あたし!!」
 椎水かなみ。
「お前馬鹿、なんでそれ言う必要があるんだよ!!」
「だってあたしのせいだもん! あたしがここに来たいって言って、皆を巻き込んで、それでまたアンタに責任押し付けるなんて出来ないもん!!」
 目を真っ赤にしながら、狭い室内に声を張り上げる。
「さっきのは! あたしの! おなら!!」
 ……そこまで言い切ることはないと思うんだけど。
「まぁ、何じゃ。そこまででよい」
「生理現象だからな。私にも我慢できない時はあるぞ」
「う、うぅ……」
 やめろお前ら。こういう時にそんな励ましをかけると余計恥ずかしくなるんだ。そう言いたいが、言える雰囲気でもない。
「お姉ちゃんも、外でしちゃったことあるよ……?」
「ボ、ボクもあるよ! ね!」
 いい加減椎水妹を見ろ! さっきより何倍も赤面してるじゃないか! なんで気付かないんだよ。
 そして羞恥心が限界まで達してしまった椎水妹は、先程にも増した大声で叫んだ。
0201ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:29:19.090
「もういい! もうどうなっても知らない! あたし、あたしは!!」
「別府!! アンタのことが、ずっとずっと好きだったの!!」
 ……へ?
「な、何言ってるのかなみちゃん……!」
「おい、かなみ、私にはこの流れでどうしてそうなるのかさっぱり分からんぞ!?」
「こ、こんなに恥ずかしい思いをしたんだから、もうどうなってもおんなじでしょ!」
「じゃ、じゃからと言うて……」
 何がなんだか分からない。完全に頭が真っ白になってしまった俺に、しかし椎水妹は続ける。
「う、嬉しかったの、庇ってくれて……。私がしたって知らなくても、嬉しかったの……!」
「でも、だからってアンタがした事にしてたら、あたし絶対、ずっと後悔してた……」
「じゃなくてね、なんで今告白したかってゆーね?」
「駄目なの!? いつ誰に告白したってあたしの勝手でしょ!?」
 まぁそれはそうだけど。しかし騒動はさらなる山場を迎える。
「……駄目」
「なんでよ! いくらお姉ちゃんでもそんな権利……!」
「私も、別府が……好き」
「えぇぇぇぇーーー!?」
「……だから、駄目」
「ふ、ふざけるな! 私だって……私だってそうだ! 不甲斐ない所もあるが、一本筋の通った男だと思っているんだからな!」
「ちょっとまってよ! みんなには渡さないよ!」
「何を言っとる! こやつは儂の伴侶となる男じゃぞ!!」
 ……。
 生まれて初めてモテ期が来たようだけど。なんだか、離人症めいて現実を俯瞰している自分がいた。
「あたしが最初に告白したの! あたしの!!」
「早い者勝ちなわけないじゃん!! ボクだって権利あるよ!!」
「……駄目。あげない」
 誰ともなく俺の腕をひっつかんで引き寄せようとする。全員汗だくだ。
 ああ、ついに両脚までそれぞれ掴まれた。爛れた情景に、多くの人が眉をひそめるであろう。
0202ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:37:28.950
「ボクの!」
「私のだ!」
「……私の」
「儂のじゃ!」
「あたしの!!」
 俺の五体をそれぞれ抱え、この閉所で引きちぎらんばかりの勢いに力を込める美少女たち。ああ、首が締まる。
 人生最初で最後のモテ期。遺体はきっとミートくんのようになるのだろうか。
『うぅぅぅぅ……ッ!』
 獣のような目でお互いを睨みつける彼女たち。酸欠のせいで理性が失われているだけ。普段はいい子たちなのだ。きっとそうだ。
 どんどんとエスカレートしていく5人は、互いを牽制し、同時に自らの有利になるよう動いていく。
 一触即発の空気。その緊張を破る声が、光が、その時訪れた。
「皆さん、大丈夫ですか!!」
 エレベーターのドアが開く。外の光が差し込み、助けに来たレスキュー隊員が見たものは……。
0203ほんわか名無しさん2017/06/10(土) 16:38:27.140
「た、助けて、下さ……い……」
 あられもない姿の汗だくな5人の少女に、半裸で絞め殺されかけた不運な(幸運な)俺の姿だった。

 ――その後。
「……今日は、私の買い物」
「はい……」
 5人の協議の結果、俺は週替りで彼女たちのワガママを聞かなければならなくなった。「女子に生き恥をかかせたのだから当然」という事らしい。
 もちろん俺に対する他の生徒からの風当たりは強くなり、曰く、「女たらし」、「クソリア充」、「歩く性器」、「淫獣」、「羨ましい」、「死ね」、「バカ」と普通なら心を病んでいる所だ。
「来週は儂じゃからな」
「存じ上げております……」
「じゃ……行くよ。……ふふ〜ん」
 椎水姉……、ちなみさんの後をすごすごと付いていく。平日も休日も、俺に自由はない。
 背後から声がする。
「ボク、負けないからね」
「私相手にか? 無理だと思うがな」
「最後に笑うのは儂じゃ」
「アイツはあたしのなんだから……!」
 これは幸せなのだろうか? そして何より、ここまでどれだけツンがあったのだろうか? それは誰にもわからない。
0207ほんわか名無しさん2017/06/11(日) 11:21:42.150
こういうの久しぶりだ
GJ!!

みんな可愛いが、やはり俺はかなみさんが一番だな
02111/42017/06/18(日) 12:03:26.080
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その3〜

「何がそういうことなのか、よく分からないけど。静内の時はちゃんと見るだけの余裕が
あったけど、椎水さんの時はなかったって、それだけの話だから。変に話を複雑にしよう
とするなって」
 ニヤニヤ笑う脇谷君に恨み言を言うと、横で先輩がウザッたそうにため息をつく。
『別に構わないわよ。そんなの、負けたって。別府君にそこまで髪型チェックされたくな
いし。てか、女の子と会うたびにそういう目つきで見てるのとかキモいし』
『あ。出た出た。負け惜しみ〜』
 広上さんがよせばいいのに茶々を入れる。案の定、先輩が目をむいた。
『何であたしが負け惜しみとか言わなくちゃいけないんですっ!! ホントに別府君なん
てどうでもいいんですから!! いい加減その辺認めてくださいよっ!!』
『かなみ。でもホントは、ちょっとはショックだったりとかない? 瞳美ちゃんがどうと
かじゃなくて、単純に別府君に気付かれなかったってことが。あたしならちょっとガック
リするし』
 調ちゃんも同調するように話に乗ってくる。しかし先輩は絶対違うと首を振って主張した。
『だから言ったじゃない。むしろ見られたくないって。それを負け惜しみとか勝手な思い
込みで取らないでくださいってことなのに』
『かなみちゃん。こういう時は、適当に流しておくスキルを身につけるのも経験のうちよ。
こーいうのとかにムキになって相手にしてたら、そのうち精神が疲れちゃうから』
『だってこの人たち、流したらますます図に乗るだけじゃないですか。いつの間にか別府
君とカップル認定されたらたまりませんし』
 野上さんの忠告に、先輩はブツブツと反論する。
『え? 違ったの?』
 わざとらしく驚いてみせる広上さんに先輩がまた怒る。全く、広上さんは先輩をイジる
のが好きだなあと、ちょっと呆れつつも苦笑して見ていると、ちょいちょいと腕を指でつ
つかれた。反射的にそっちの方に顔を向けると、静内さんがうつむきつつ、上目遣いに僕
を見ていた。
「えっと……なに?」
02122/42017/06/18(日) 12:03:51.190
 何となく雰囲気を察して、彼女にだけ聞こえるよう声を落とす。すると彼女はちょっと
だけためらうように視線を逸らしたが、すぐに顔を上げて僕を見つめた。
『あの、先輩。髪型、変えたの、気付いてくれて…… 褒めてくれて、嬉しかった、です。
ありがとう、ございました……』
 小さくお礼を言うと、そのまま何事もなかったかのように、ソソッと距離を離してしま
う。そんな姿に僕は、心ならずも胸が変にキュンとしてしまうような気分を覚えたのだった。


「じゃーな。別府。また明日」
「うん。それじゃあ」
 授業終わってから、脇谷君が腹へった腹へった別府なんか食ってこうぜって言うので、
ファーストフードで食事から駅で別れ、僕はそのまま帰ろうと改札を通り抜けた。その時
マナーモードにしていた携帯が振動する。それが電話だと確認して、僕は急いで携帯を取
りつつ、コンコースの隅に移動する。発信人は先輩からだった。
「もしもし? 先輩ですか?」
『別府君? 今、どこにいるの? なにしてる?』
 電話の向こうの先輩は、半分不機嫌、半分無気力そうな感じで僕の状況を聞いて来た。
「さっきまで脇谷君と食事してて、今別れたとこです」
『ワッキーと? こんな時間にご飯食べてたの?』
「ああ、いや。脇谷君が腹へって死にそうだって言うから。付き合いで僕はポテトだけ」
『ふーん。じゃ、もう帰るだけなんだ』
「ええ。まあ、そういうことですけど」
 何となく呼び出しな雰囲気を感じて、僕は頭の中で今日の残りのスケジュールを算段し
てみた。特に先輩に呼ばれて困るようなことはない、と確認する。
『あたしさ。今、駅前のエクセルカフェにいるんだけど。ちょっと、寄れる?』
「いいですけど、着くまで15分は掛かりますよ? これから電車乗るところですから」
 そう断っておくと、先輩はどうでもいいといった感じで答えた。
『構わないわよ。どーせ、早くうち帰ったって怒られて用事言いつけられるだけだもん。
なら、ここで時間つぶしてるほうがマシだし』
「分かりました。じゃあ、出来るだけ急いで行きますから」
02133/42017/06/18(日) 12:04:25.910
 電話を切ってから、僕は呼び出された理由を考える。一番多い理由は、授業で課題を出
されたから参考に見せて欲しいとか、そんな理由だ。必修言語が違うとはいえ、同じ学科
なので被る授業も多い。そうでなければ、何か二人でないと言えない愚痴があるとか。い
ずれにしても、ある程度予想をつけておけば、こっちのペースで話が出来る。僕は、先輩
との会話を考えの及ぶ限り妄想することに、電車での時間を費やしたのだった。


「先輩」
『んあ?』
 携帯でゲームに興じていた先輩に声を掛けると、ちょっと間の抜けた声で僕を見上げた。
「お待たせしました」
 テーブルにドリンクの乗ったトレイを置くと、向かいの席に置いてあった先輩の荷物を
手に持って先輩に預ける。席に座ると、先輩がジロリと僕を睨んでいるのに気付いた。
「あの、何かありましたか?」
『あのさ。こーいう時、人を待たせているんだから何かドリンクとかどうですか?とか、
そういう気遣いはないわけ?』
 先輩は、空になった自分のグラスを手で持って軽く横に振る。溶けかかった氷がカラカ
ラと音を立てて鳴った。
「僕がお待たせしたんならともかく、先輩から呼び出したんですから待たせた、というの
は非常に不本意なわけですけど」
 僕の反論に、先輩はより不快とばかりに口を尖らせる。
『それでも待ったことは待ったんだもの。自分の分だけ先にちゃっかりドリンク買ってき
てさ。最初から気遣う気もなかったってのが見え見えってのが頭に来るのよね』
 僕は大仰にため息をついた。この人のわがままは、聞きすぎても図に乗るし、抵抗しす
ぎれば拗ねて態度を硬化させてしまう。扱うには難しい人だ。
「何かリクエストがあれば、買ってきますよ。もちろん、お金はいただきますけど」
 おごる必然性まではないのでそう断っておくと、先輩は苦々しく吐き捨てた。
『アンタってば、本当にセコイ。女の子目の前にして、よくそういうこと言えるわよね。
付き合い長いからって調子乗ってんの? それとも、学年同じになったから? 昔はもう
ちょっと気遣いあったんじゃないの?』
02144/42017/06/18(日) 12:05:58.330
「昔は先輩も人を使った時は大体ご褒美くれましたけどね。僕や渡辺さんの分までお金出
してくれたり、他の方法で、とか」
 すると先輩の顔がちょっと赤くなったのに僕は気付いた。おそらく他の方法、というの
を想像したのだろう。確かに先輩の想像しているものも、その一つではある。二人きりの
時限定ではあったけど。
『ホントに、口が減らなくなったわよね。やっぱり。そういう態度、嫌い』
 ブスッとそっぽを向いてしまった先輩もなかなか可愛いものだ。こういう拗ね方は、他
の部員と一緒の時だと絶対にやらない。二人きりの時に見れる特権の一つだ。
「で、どうしますか? 何か飲みたければ注文してきますけど」
『もういい。どっちみち、これ以上飲んだらお腹が水っぽくなっちゃうし』
 ドリンクはいらなくても気遣いだけは欲しいという、本当にこの人はやっかいな性格で
ある。まあ、それはもう慣れっこなのだが。
「それで、僕を呼んだのはどういう理由でですか? まさか、ケンカするために呼んだわ
けじゃないですよね?」
 席に座り、軽くアイスラテを吸う。そのまま先輩の様子をうかがったが、なかなかこっ
ちに向こうとしない。これは課題を見せて欲しいとかそんな単純な用事じゃなさそうだ。
『……………………』
 聞かれて無反応なのも、ちょっと先輩には珍しい態度だ。怒ったのなら怒ったで、僕の
気を引くために何かしらのアピールをするものなのに。
「どうしました。黙っているのは先輩らしくないと思いますけど」
 ビクッと先輩か体を震わせる。しかし、ほんのちょっとこっちを見ただけで、また顔を
そむけてしまう。しかし、怒っているようには見えず、むしろ困っている表情に見えた。


続く。次回でラストです。
02171/32017/06/25(日) 23:18:58.000
>>216

布団に入っている時、足音に敏感なのは何故だろう。
たぶん床と耳が近いせいだと思うが、安らかな眠りを妨げる「敵」の来襲に
体が反応しているのだと考えている。
間隔の空いた足音は父親、せわしない足音は母親、そしてすり足のような微かな足音は−
『…起きろ』
ノックもせずに部屋に入るや否や、容赦ない足蹴りを食らわせてくる傍若無人なこいつは
近所に住む幼馴染のちなみだ。
うかうかしてると一日が最悪の始まりとなるので、寝ぼけた頭をフル回転させて回避行動を
とり、寸でのところでかわす。
「お前なぁ…」
言いたいことがありすぎて何から言うべきか迷う。ちらりと時計を見るとまだ学校に行くのは
少し早い時間だ。
「まだ早いだろ」
とりあえず一言言い返しつつ幼馴染に目をやると、いつもとは違う事に気づく。
制服が紺色のブレザーではなく白いシャツ、そしてひときわ目を引くその「模様」。
『…今日から夏服。どうせキミは準備してないに決まってる』
「あ、あぁ…いや半袖シャツは母さんが出しててくれてるから大丈夫なんだけど…」
『…何?』
俺のハッキリしない態度に、不思議そうに小首をかしげるちなみ。そんな表情に悪いと
思いつつも、ついつい視線は「模様」に行ってしまう。
02182/32017/06/25(日) 23:20:34.370
わざとか?それとも何かの間違いか?いや、そもそも何故それがそこに存在している?

疑問が山ほど湧いてきて、先ほど言おうと思ってた残りの事はすべて頭から抜けていった。
そんな俺の態度を見て、首を右へ左へかしげる。
『…はっきり言え……気持ち悪い』
「ちょっ、気持ち悪いは言い過ぎだろ」
『…キミが気持ち悪いのは今に始まった事じゃない』
腰に手を当て、ジトッとした目つきで睨んできた。そこまで言われればこちらだって
黙ってやる必要はない。いや、このまま学校に行かせるわけにはいかないから
家を出る前にはいずれ言わないといけない事だが。
「じゃぁ、言うけど。そんな濃い色の下着付けていいのかよ?」
目を丸くするちなみ。まるで超能力か何かで秘密を言い当てられたような顔だ。
両腕で胸を隠すようなポーズを取り、キッと睨みつけてくる。
『…え、エッチ!どうやって下着…み、見た訳?』
みるみる赤ら顔になる。どうやら気が付いてなかったようだ。
男ならまだしも、出かける前に鏡でチェックしないものなのか?
いや、きっと顔とか髪型はチェックしたけど、気が付かなかったのだろう。
「ん」
部屋の片隅にある姿見鏡を指さす。ちなみは、俺、指先、姿見鏡の順で視線を移し
また俺に視線を戻す。
『…何?』
「いいから見て来いって」
納得しない顔のまま姿見鏡の前まで行き、鏡をのぞき込む。
しばらく何を指摘されているのか分からないように鏡の前でポーズを決めていたが
『あっ』という悲鳴にも似た声を上げた。
「黒か?そんな濃い色だとシャツ越しにもバッチリ色が分かるぞ」
俺の声が聞こえたかどうか分からないが、ちなみは慌てて部屋を出て行ってしまった。
02193/32017/06/25(日) 23:21:40.250
朝食を食べ終わり、学校へ行こうと玄関を出ると、ちなみがいまだに引かない赤ら顔で
ベストを着て待っていた。
「さっきのは−」
『…し、質問禁止!』
「気になるだろ」
『…べ、別にキミのために買ったわけじゃ…な、ないんだから』
さらに顔を真っ赤にして睨みつけてくる。ベストで隠れている胸を両手で隠しつつ
これ以上は何も言わせまいと俺に迫りくる。
その気迫に負けて一歩二歩と後退りし、家の外壁まで追い込まれる。
「そ、その…しょ、勝負下着ってやつなのかと」
『…あれはその……と、友達と買い物に行って無理やり買わされたって言うか』
「や、やっぱりそうなのか!?」
『す、捨てようかと思ったけど…一回も着ないで捨てるのもったいないから…そ、それだけだから!』
真っ赤な顔で涙目になりながら目の前で睨みつけるちなみ。俺よりも小柄だから目の前まで
近づかれると必然的に上目遣いになる。
それがとても可愛いくて仕方がない。そんな気持ちが顔に出たのかだろうか
『…に、ニヤニヤするな!この犯罪者!』
「おぉ、言いえて妙ってやつだな」
『な、何が?』
「白と黒に真っ赤な顔。まるでパトカーだな」
『な……パトカー!?』
普段は物静かなちなにからサイレン代わりに『バカ』『変態』『犯罪者』と罵られつつながらの
衣替え初日の登校となったのだった。
0223ほんわか名無しさん2017/07/02(日) 19:41:02.920
ノースリーブツンデレの腋を堪能したい

胸を見つめてると思わせてツンデレの腕を前で組ませて腋を見つめたい

それもバレてツンデレに罵られたい

ションボリして思いっきり反省した素振りをみせてツンデレに罪悪感を抱かせたい

耐えきれなったツンデレから「すこしだけなら好きに〜」的な言葉を引き出したい

ツンデレの腋を性感帯にするほど好きにしたい
0224ほんわか名無しさん2017/07/07(金) 20:15:21.940
乙姫ツンデレ
02261/42017/07/17(月) 10:46:27.950
・ツンデレの目の前で他の女子の髪型を褒めたら〜その4〜

「ホントに、特別用事とかないんですか? まあ、別に僕も用があったわけじゃないです
し、時間を無駄にされたとも思いませんからいいですけど」
 すると先輩は、パッとこっちを向いて僕をにらみ付けた。
『ま……待ちなさいよ。そんなせっかちに判断しなくたっていいじゃない。その……き、
聞きたいことがあったんだけどさ。その……なんて言うのかな? なかなか言葉にまとま
らないことってあるじゃない。だから、その……もうちょっと待ってってば。今、整理し
てる途中なんだから』
「はあ……」
 僕は何とも釈然としない思いにとらわれた。先輩が僕に言葉をためらうなんてそうはな
い。考えられるとすれば、甘えたい時。怒りたいけど嫉妬と取られかねない時。僕は今日
の出来事を反芻してみる。先輩がそういう態度を取るようなことを。
「ああ」
 意外と答えはすぐに出た。確かに、先輩からはねだりづらいだろう。
「先輩。先輩が話さないのでしたら、僕から一つ、いいですか?」
『へっ……!? な…… なによ……?』
 ドキッとしたような表情で、先輩が僕を見た。その、ちょっと驚いて目を見開いた顔も、
とても可愛い。
「そういえば、僕、先輩に言い忘れた事が一つあったなって」
『言い忘れたこと……? って……何よ?』
 キョトンとした顔の先輩に、僕は笑顔を見せてうなずいた。
「はい」
 そして僕は、先輩の顔をジッと見つめて、続けた。
「先輩の髪型。とてもよく似合ってると思いますよ」
『ほえっ!?』
 僕の唐突な褒め言葉に、先輩は驚いて体をビクッと震わせた。あぜんとしたその表情が、
思考を取り戻すと同時に頬を朱に染めていく。
『なっ…… 何よいきなり。急に褒めたりして、気持ち悪い』
02272/42017/07/17(月) 10:46:57.810
「だって、さっきは言えませんでしたからね。大切なことだし、ちゃんと言っておかない
と失礼でしょう?」
 当然とばかりの僕の言葉に、先輩はすぐに顔をしかめてそっぽを向く。
『なに言ってるのよ。バカじゃない? フォローのつもりかもしれないけど、今更言われ
たところで、単なるごまかしか、せいぜいなぐさめくらいにしか感じないわよ』
「だって、あの場で褒めても先輩が困るだけでしょう?」
 僕の問いかけに、先輩はグッと言葉を詰まらせる。
『そりゃあ、その…… こんな風に褒められたら、みんなにからかわれるけど…… でも、
さりげなく一言くらい言う程度なら、たいして変にも思われないわよ。アンタってば、ホ
ント節操なく女の子なら誰でも褒めるんだから。静内さんだって褒めたんでしょ?』
 僕は内心、やっぱりなとうなずく。どうやら先輩は、僕が自分を褒めずに静内さんにだ
け褒めた事を気にしていたようだ。それで、僕があの場で言ったことが本当なのかどうか
確かめたかったのだろう。
「そりゃあ、褒めますよ。10cm近くも髪を短くすれば誰だって気が付きますし、僕の場合
は褒めないほうが不自然じゃないですか」
『じゃ、なんであたしは褒めないのよ』
 とっさに本音が出てしまい、先輩はしまったとばかりに口を押さえる。それから不機嫌
そうに顔をそらした。
『べ、別にアンタに褒めてもらいたいってわけじゃないけど。でも、たまたまあたしが暇
を持て余してアンタを呼ばなかったら褒めなかったわけでしょ?』
「そうですね。でも、もう家に帰ってると思ってましたし、わざわざそのためだけに呼び
出すのは先輩だって迷惑でしょう?」
『ふぐっ…… そりゃまあ、そうだけど……』
 渋々ながら同意する先輩の表情が可愛いなと思いながら、僕はうなずく。
「ですから、むしろ先輩がこうして呼んでくれたことは、僕にとっても良かったなと。二
人きりになる機会にちゃんと言おうとは思ってましたけど、当日に越したことはないです
からね。メールや電話じゃ、味気なさ過ぎますし」
 僕の言葉がわざとらしいと思ったのだろう。顔をそむけたまま、横目で先輩はジロリと
僕をにらみ、文句をぶつけてくる。
02283/42017/07/17(月) 10:47:21.990
『フン。でも、どうせ静内さんが言ったからあたしが髪切ったこと気付いたんでしょ? そ
れで褒められたって、嬉しくもなんともないわよ』
 ひがむ先輩を、僕はジッと見据えた。
「本当に、そうだと思ってますか?」
『な…… なによ。そうじゃないの?』
 ドキッとした表情で、先輩は僕の視線を避けるように上半身を引いた。しかし僕は、逃
すまいとばかりにしっかりと先輩を見つめ続ける。
「そんなわけ、ないでしょう。先輩が部室に入ってきた最初っから、先輩が美容院に行っ
てきたことくらい、気付きますよ」
 先輩はまた、ドキリとしたらしい。本人は意識してないだろうけど、気持ちが顔に出る
からすぐに分かってしまう。そして、それを覆い隠そうとすぐに不機嫌そうな顔つきをす
ることも。
『あ…… アンタって、本当に気持ち悪いわね。女の子と会うたびに、いちいちそんなと
こチェックしてるんだ。静内さんだけじゃなくて、調や野上さんなんかにもそんな目を向
けてるなんて、どれだけのべつまくなしなのよ』
「ジロジロ見ないように努力はしてますけど、一応本人が気付いて欲しそうかなと思える
ときはチェックできる程度には見てますよ。ただ、先輩だけは違いますけどね」
 すると先輩が怪訝そうな表情をした。どうやらちゃんと、最後の言葉に引っ掛かってく
れたようだ。
『アンタのせせこましい処世術はともかくとして、あたしだけ違うって、どういう意味よ?』
「だって、先輩だけはパッと見れば、いちいちチェックしなくたって髪を切ったかどうか
とか、化粧を変えたとか、その辺の変化くらいひと目で分かりますから」
 僕の言葉に、先輩の顔がまたハッとしたようになる。しかしすぐに疑い深そうな顔つき
に変わった。
『な……何で分かるのよ? それって、その……チェックしてるんじゃないの? 結局は』
 僕はゆっくりと首を振ってみせた。
「違いますよ。僕が普段、どれだけ先輩を見てると思ってるんですか? それこそ、ご家
族の方を除けば、僕が一番、先輩のことを見ているんですから。ちょっとでも印象が変わ
れば、気付かないなんて出来っこないですよ」
02294/42017/07/17(月) 10:47:52.870
 今度こそ、隠しようもないくらい先輩の顔が真っ赤に染まる。今まで抑えてきた分もあ
るのだろう。そして気持ちの行き場を持っていきようがないのか、空になったグラスをス
プーンでガチャガチャとかき混ぜる。
『じょ……冗談じゃないわよ。そりゃ確かにその……休みの日も会ってるから、家族以外
じゃ一番一緒にいる時間多いかもしれないけど…… けど別にそんな、アンタに見られた
いと思ってるわけじゃないし…… つか、褒められるとか嬉しくもないし……』
 グラスを持ち上げ、氷の溶けた水を飲んでから、先輩はグッとグラスを僕に突き出した。
『あー、もうっ!! アンタが変なこと言うから、変に熱くなったでしょっ!! 喉渇い
たから、ドリンク買ってきてよ!! オレンジジュースでいいから』
 バンッと叩きつけるように先輩が財布から千円札を取り出して机に置く。僕は先輩のト
レイにその千円札を乗せると、空のグラスも一緒に持ち上げた。
「分かりましたよ。ちょっと待っててくださいね」
 そう断って、僕は席を立つ。先輩が気持ちを落ち着かせるまで、ちょっと待ってからの
方がいいだろうなと判断しつつも、先輩が恥ずかしさをどうこらえてるのか見られないの
が、ちょっと残念な気もしたのだった。


終わりです。
0230ほんわか名無しさん2017/07/17(月) 19:47:10.270
>>229
おっつおっつ!
0231ほんわか名無しさん2017/07/21(金) 21:38:54.040
ツンデレに今日は何の日だ?って聞きたい

少し考えた後にハッとして真っ赤な顔で罵倒してくるツンデレに

今日は日本三景の日なのに何を想像してたのかな〜?って

(・∀・)ニヤニヤして問い詰めたい
0232ほんわか名無しさん2017/07/22(土) 20:05:13.650
カルビツンデレ

ロースツンデレ

タン塩ツンデレ

孕みツンデレ
0233ほんわか名無しさん2017/07/22(土) 21:57:46.490
>>231
「かなみ、今日は何の日か知ってる?」
『ふん、どうせ何かの語呂合わせとかでしょ?知らなくたってだいたいわかるわよ』
「じゃぁ当ててみてよ?当たったら昼飯何か奢ってやるよ」
『いいわよ、ちょっと待ってなさい。えーっと…』
「無理だと思うけどな、ただ飯目指して考えてくれ」
『(使う数字は7と2と1よね。そのまま読むと「ななにいち」…「なにい」…
  「何ぃ!?」で驚きの日?うーん聞いたことないわね)』
「そろそろ降参?」
『(うーん……そういえば、0721って考えれば0も使えるわね。
  「れいななにいち」…「れいなにい」…待って…「れい」じゃなくて「おー」かしら?
  おーなに……はっ!?)』
「おっ、何か閃いた?」
『うわぁぁぁ!?アンタね!何、乙女に変な事言わせようとしてんのよ!(///』
「は?」
『は?じゃないわよ!このバカ!変態!どスケベ!(///』
「いてててっ、殴るなよ!何で変態呼ばわりされなきゃいけないんだ」
『自業自得でしょ!』
「いや、今日は日本三景の日だろ?それのどこが変態なんだよ」
『バカバカバカ!って……に、日本三景?』
「そう、松島とか…松島とかの日本三景」
『あとは天橋立と宮島。ていうか、全然語呂合わせじゃないじゃない』
「詳しくは知らんが、何か昔の偉い人の誕生日が7月21日だかで、それにちなんでって」
『何よそれ!そんなの分かるわけないじゃない!こんなの無効よ無効!』
「だから分かる訳ないって言ったのに。所でさ」
『な、何よ?ニヤニヤして…』
「何を想像してたのかな〜って」
『えっ!?ゃ、べ、別に何も……(///』
「語呂合わせって言ってたし、0721ならさしずめ」
『わーわー!思ってない!考えてもない!(////』
「ほーら、何考えてた言ってごらん?(ニヤニヤ」
『何も考えてない!な、何も考えてないんだから!!!(////』
0234ほんわか名無しさん2017/07/22(土) 22:04:27.750
>>233GJ
これだからお題垂れ流すのはやめらんねぇ
0236ほんわか名無しさん2017/07/31(月) 18:08:59.260
お嬢ツンデレが夏休みに他のツンデレと差を付けるために地中海にあるプライベートアイランドの別荘にタカシを
召使い(バイト)として連れて行って2人きりでイチャイチャする予定だったが
早々にメイドツンデレにバレたのを皮切りに全ツンデレにバレてしまい
結局タカシとツンデレ達のいつもの日常(地中海編)になってしまうお題
0237ほんわか名無しさん2017/08/10(木) 09:39:28.520
野獣タカシ
0238ほんわか名無しさん2017/08/11(金) 19:41:28.900
おっぱいでハートを作るのが流行ってるらしいのでツンデレさん達に作ってもらおうと土下座でお願いしてみたらどうなるの?
0240ほんわか名無しさん2017/08/11(金) 23:02:23.270
イキイキとした顔のダウナー、老成、僕っ子の三人に金玉でハートを作らされるよ
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況